米国経済

2009年11月11日 (水)

米中両国のチープマネーの後: 呂 新一

7日にスコットランドのセントアンドルーズで開催されたG20で、関係各国が景気刺激策を維持していくことを合意したと伝えられた。

 

このような結論になるのはある程度予想されたものです。というのは、今の世界経済の2大主力であるアメリカと中国を見ると、アメリカは、つい先日発表された10月の失業率が10.2%という26年半ぶりの高水準まで上昇しまして、景気刺激策からの脱却を議論できる状況にありません。一方の中国は、8月に緩和的な金融政策からの脱却を試みたが、株価急落という市場の反撃を受け、その後、景気刺激策の維持が不動のものとなりました。

 

無論、この世界には、イスラエル銀行が8月24日政策金利を0.25%引き上げ、オーストラリア準備銀行が10月7日、そして11月3日連続2回で政策金利を合計して0.50%引き上げ、ノルウェー中央銀行が10 29 日政策金利を0.25%引き上げたなど、景気刺激策からの脱却を進む動きもありますが、大きな流れにはまだなっていません。

 

現行のアメリカの超低金利が長期化する見通しがより鮮明になったことで、投資家はさらに安心してドルを売ることができ、その証として、昨日、ドルインデックスは一時、08年8月以来の低い水準まで落ちました(下記チャート参照)。また、今までのパターンからみると、ドル安(チープマネー)が株価を押し上げ、商品市場などを含め、1つのバブルを作り出す可能性があります。

 

Usd

 

ただ、世界の基軸通貨であるドルが周りに何の悪影響も与えず長期下落していくことは考えにくく、仮にその途中で何らかの混乱が起こっていれば、既に実体経済の回復を遥かに先行している株価が大きく躓くことは十分に考えられます。また、逆に何らかの理由でドルが下落傾向から回復するトレンドに転じる際も、米株価は大幅調整する可能性があります。

 

他方、最近の米国の対中経済戦略を見ると、自国の苦境を反映しているためか、ムチの方は多くなったと思われます。今のオバマ氏が、トウ小平氏の弟子にでもなったように、「白猫であれ、黒猫であれ、ネズミを取っていれば良い猫である」の教えに従い、自国市場を守るために自由貿易の原則を捨て、無闇に色んな中国製品に高額の反ダンピング関税を課すことにしました。さらに、中国に対しては、人民元の切り上げも求める計画であると伝えられています。

 

こうして見ると、今の米中間の貿易摩擦が前世紀80年代後半の日米貿易摩擦に共通点があります。当時の日本は、結局、円高の圧力下で内需に活路を求めることになり、不動産バブルを引き起こしてしまいました。そして、今の中国は、輸出主導の経済構造を是正する目的と8%の成長を確保するとの大義名分下で不動産バブルを作り出し、それを膨らませています。

 

中国の不動産バブルの進行状況を示す1つの例として、浙江省瑞安県のケースを見てみます。瑞安県の中心都市である瑞安市は未だに映画館が1つもない地味な町ですが、ここにきて不動産投資(投機)熱が頓に高まってきました。まず、500メートルにもならない東の大通りに今年になってから70件前後の不動産仲介業者が現れ、その多くが客引きするために、毎日、無料のランチを提供しています。そして、地元にある銀行支店は預金総額の90%にも相当する大金を不動産融資に回し、今、不動産投資に充てられた資金が日本円で4,500億円を超えたと言われています。さらに、田舎のおばさん達も不動産投機に手を出し、全員参加型で誰もが住宅価格が上昇することこそあれ、下落することがあり得ないと考えて投機に走った結果、新築マンションはスケルトン(内装する前)のままで、廊下、エレベーターホールなども計算に入れて、平均して1平方メートルが2-3万元(日本円で約30-40万円)の高値となっています。

 

無論、このような不動産バブルが長期に亘って持続することは考えられません。チープマネーが不動産バブルを演出していますが、そのチープマネーの勢いが少しでも衰えると、中国不動産市場の大規模な調整、そして銀行の不良債権の急増が避けられません。

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2009年11月 4日 (水)

景気はまだまだ大丈夫とは言えません: 呂 新一

先週の本欄において、筆者は「目先の楽観を通り越して」とのタイトルで、中国、そしてアメリカの国内消費の先行きがあまり楽観できない理由を説明しました。その後、アメリカの10月消費者信頼感指数が47.7と、9月の53.4から大幅に低下したと発表されました。筆者の憂慮が的中しました。

 

消費者が元気になれない最大の理由はやはり雇用情勢が一向に改善しないことにあると思われます。事実、コンファレンス・ボードが行った調査によれば、雇用について「就職困難」との回答が9月の47.0から49.6に上昇しました。企業は売上が増えない現在の状況下で収益を拡大しようとすれば、おのずと人件費削減に走り、その結果、雇用の拡大は暫く絶望的と思われます。

 

さらに悪いことに、近いうち、政府による公務員削減の動きが顕在化し、雇用情勢が一層悪化する可能性はあります。というのは、今のところ、カリフォルニア州を始め、多くの地方政府はワークシェアリングあるいは強制無給休暇を増やすとの方法で支出を削減していますが、そのうち、税収の落ち込みによりさらなるコストダウンを迫られると、大規模な人員削減に踏み切る恐れがあります。アメリカの国家・地方公務員の合計人数が製造業の1.8倍にも達しているだけに、その職の安全性は消費、社会安定、そしてアメリカ経済にとって非常に重要であることは言うまでもありません。

 

民間消費の回復が期待できないだけに、政府による刺激策が引き続き大事ということになります。それが、米上院民主党が8000ドルの初回住宅購入者向け税控除措置の延長を合意した背景と思われます。言い換えれば、今までのところ、景気回復が依然非常に脆弱です。

 

景気回復が脆弱であるにも関わらず、3月上旬から今までの間、米株は上昇基調を維持してきました。その理由は景気がある程度回復しているほか、金融機関を救うために政府・FRBが金融システムに投入した大量の資金が実体経済に向かう代わりに、株・国債・商品先物などに流入した可能性が考えられます。金融機関が融資姿勢を厳しくした結果、Wall Streetが株高に喜び、Main Street(企業、一般大衆)が借金難に陥っている構図が鮮明になっています。

 

ただ、言われている景気回復が意外に脆弱であることが判明したため、米株式相場が今年3月以来の最大の試練を迎えています。下記チャートは恐怖指数との別名を持つVIX指数の推移で、3月上旬以こう低下または低位安定を保ってきましたが、ここ2週間急騰を見せています。このことは、言うまでもなく、株式市場が3月以来の大波に晒されていることを示しています。

 

Vix

 

中国について言うと、PMIは改善しているが、それよりも熱くて手付けられないほどになっているのが不動産市場です。今日伝えられたニュースによると、過去7カ月で、深圳市の新築住宅の平均価格が97%上昇しました。また、上海では、国有企業が一等地で高級住宅の販売に乗り出し、その中で最も豪華なものは15億日本円になると言われています。

 

中国の不動産価格急騰が中央政府の日本円にして57兆円にものぼる景気刺激策に支えられています。今の中国では、各大都市の至る所で、国有企業による土地の高値買収が盛んに行われています。眼玉が出るほど高い値段で土地を買収する目的はただ1つで、さらに高い値段で売ることです。景気刺激・銀行の融資加速 ⇒ 資金が国有企業へ流入 ⇒ 土地転がし・不動産価格急騰この構図は今のところ中国経済を支えているように見えるが、もはやソフトランディングできる段階を通り越したと思われ、本来は憂慮すべき事態ですが、止める力は見当たりません。

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2009年10月28日 (水)

目先の楽観を通り越して: 呂 新一

景気に持ち直しの兆しが出てきたことから、ドイツ、フランスなどは総合対策からの出口戦略を考えているようです。そして、ここにきて、米国も利上げが早まるとの観測で国債が売られています。

 

しかし、実体は多分これからずっと楽観していられるほど好転していない可能性が大きい。

 

今回の世界的な金融危機の後、一足先に出口戦略を考えて実行しようとしていたのは中国政府でした。先々月5日、中国の中央銀行である人民銀行が現行の金融緩和策を微調整する可能性を仄めかしたことをきっかけに、中国株が3日間連続売られました。それを見て、中国政府・人民銀行は慌てて現行の金融緩和・積極財政路線の堅持を宣言しました。

 

確かにGDP成長率だけを見ると、中国経済は順調すぎると言えるほど回復しています。事実、第1四半期のGDP成長率が6.1%、第2四半期が7.9%、第3四半期が8.9%で、回復するぶりは驚異的です。そして、多くの大型プロジェクトがいま進行中であることを考えれば、第4四半期のGDP成長率はさらに高くなると予想されます。ただ、一方、株価が景気を先行するとの観点からみると、矛盾するところもあると感じられます。というのは、中国上海総合株価指数が8月初めに3,478ポイントの高値を付けてからは、未だにその高値を抜けずにいます(下記チャート参照)。即ち、株式市場はまだ景気の先行きに不安を感じているようです。

 

Shanghai_composit_6m

 

株式市場が抱いているその不安はそれなりの理由があります。というのは、現在の景気回復は主に政府主導の社会固定資本投資によって引っ張られたもので、民間・消費主導とは言えません。GDPの内訳をみると、投資と輸出が75%も占め、消費は35%しかありません。また、そうなった理由を見ると、これまでの3四半期において、政府によるインフレ建設投資が前年同期比52%も増え、特に鉄道建設投資は87%も増えました。言い換えれば、中国の景気回復は政府が作り出した回復で、自律的、持続可能な回復とは程遠い。

 

また、最近、政府が発表したGDPと違う風景を見せている調査結果が発表されています。その二、三を見てみましょう。

 

・北京市では、昨年夏の大卒(中国では夏に卒業する)の半年後就職率は88%で、一昨年の93%より5%低下しました。そして、卒業した半年後の平均月給は2,746元(日本円で約3万円)で、一昨年の3,080元より8.9%(!)も少ない。

 

10大都市で3,295人を対象にした調査結果によれば、20081年で、収入が全く増えなかった家庭は全体の79.6%も占め、そのうちの27%は収入が減りました。そして、今年前半の5カ月で収入が全く増えなかった家庭は全体の85.4%まで上昇し、そのうちの31%は収入が減りました。言い換えれば、中国経済が7%前後の成長をしている間に、8割超の都市住民は収入が全く増えず、3割弱の都市住民がより貧乏になりました。

 

このような状態では、民間消費の盛り上がりはあまり期待できません。

 

中国はこの状況ですが、米国を見てもそれほど状況は変わらないと思われます。決算発表で米企業の収益回復ぶりが目覚ましいが、その最大な原動力が給与削減などのリストラであることを考えると、米国の消費回復もまだまだ先であると思わざるを得ません。

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2009年10月 7日 (水)

米株価の今後について考える: 呂 新一

今回の株価反発は既に数カ月という長い時間を経ち、そしてボトムからの上昇率も6割弱(S&P500種)に達しまして、歴史に残る記録となりました。

 

Spx

 

では、これから株価が反発し続けるのか、或いは今年または来年中に失速し2番底を試しに行くのか、皆が関心のある所でしょう。

 

言うまでもなく、最終的に株価の行方を決めるのはファンダメンタルズです。今のところ、表面的にファンダメンタルズも株価に遜色なく改善してきているように見えますが、政府による一時的な刺激策の役割が余りにも大きいため、持続力がそれほどないのではと疑われます。

 

これまでの間、政府が車の買い替えに補助金を出し、一次住宅所得者には8,000ドルにものぼる減税を実施しきました。そして、FRBが金融機関から総額12500億ドルの不動産担保証券購入計画を実施しています。ただ、時間の経過と同時にこういった刺激策が次々に終了することになり(車購入補助策は既に終了しました)、そうなると、景気の本来の弱さが戻ってくる可能性が大きい。

 

刺激策が終了しても、景気が引き続き順調に回復するには、米経済の7割を占める消費が拡大していく必要があります。しかし、それが非常に期待し辛いと思われます。その理由としては、まず、失業率が長期に亘り高止まりする可能性が高いことです。9月の失業率が9.8%と報道されていますが、実際の失業率はそれより遥かに高いと思われます。仕事探しを諦めた人、そして、そもそも合法的な身分がなく、仕事をしていた時は雇用統計に入らず、今、仕事についていなくても失業者統計に入らない人は沢山います。言い換えれば、雇用の実態が9.8%の高い失業率が示したよりも悲惨ということです。

 

そして、これまでの間、給料収入のほか、株式投資および住宅価格上昇からの利得も米国民の消費を支えてきました。しかし、昨年から情勢が一変しました。今では、株価がある程度戻ったものの、まだリーマン・ショック前のピークの75%にしかならず(S&P500種)、住宅価格に至っては一部で下げ止まりの兆候が出ているものの、高値回復することはもう無理と思われます。

 

このように、雇用情勢と保有資産の価格低下が消費の足を引っ張っていますが、消費を抑制するもう1つの要因は、金融危機を経験しさらに環境保護意識が高まったことで、過剰消費を意識的に避けるようになった米国民が増えてきたと見られることです。事実、昨年のリーマン・ショック以後、米国民の貯蓄率が上昇傾向にあります(下記チャート参照)。

 

Personal_saving_rate

 

このように、米国内の消費ひいては国内市場に期待できないためか、米企業による新興国への投資が非常に盛んであります。S&P500種の構成企業では既に収益の過半が海外から得ている事実から見ると、今後、米企業の収益がますます海外市場、そしてドルの為替レートに依存するようになります。事実、下記のドルインデックス・チャートはドル安が株高の原動力になっていることを示しています。

 

Dollar_index

 

と言うのは、このチャートはドルインデックスが今年3月にピークを付けてから下落の一途を辿っていることを如実に示していますが、米株は3月にボトムを打ち反発し始まりました。

 

こうして見ると、米株の反発が今後も続いていくかどうかは、刺激策が切れた後(来年の春以降)、国内消費がどこまで景気を支えられるのかと、ドルがどこまで下落出来、そしてドルが下落しても長期金利が低位安定出来るかどうかにかかっていると思われます。無論、筆者は米国民の消費拡大意欲および混乱を起こさないドルの下落の2点とも疑問に感じています。

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2009年9月30日 (水)

中国の国慶節 と 株式相場: 呂 新一

今日は米国の株式マーケットについて書こうと思っていましたが、中国の国慶節(10月1日、明後日)が近づいているため、それについての報道が多くなり、触発され、やはり国慶節について書くことにしました。

 

というのは、今日、中国の各ネットニュースサイトが共に、国慶節当日に予定されたパレートに、名門理工系大学の清華大学の学生達が、「毛沢東思想万歳!」との巨大な看板を掲げてデモ行進することを報道しました。

 

下記の写真はそのリハーサル様子を映っています。

 

Photo

 

毛沢東思想は非常に豊富で多岐に渡り一言二言でサマリーすることはできないが、晩年の毛沢東氏はますます「階級闘争」の重要性を強調するようになり、「階級闘争」という概念は間違いなく毛沢東思想の中心であると言えます。

 

筆者が小学生の時、共産党中央が毛沢東の最新指示を全国民に伝える際、必ずすべての学級が授業を中断し、全員が大講堂に集められ、1時間にしよ、2時間にして、ラジオから毛沢東の言葉が伝えられるまでじっと待つということになっていました。伝えられた毛沢東氏の最新指示は往々にして、一言か二言のようなものでした。

 

その一言か二言かの最高・最新指示(当時はそう形容されていました)のうち、筆者がどうしても理解できず、そのためか今も鮮明に覚えているのは、次の2つです。

 

「八億の人がいれば、階級闘争をしなければならないのではないか」

「階級闘争をしっかりやれば、(経済建設など)すべてがうまくいく」

 

毛沢東の指導下で、中国全国で階級闘争の渦が巻いていました。すべての中国人が成人であれば、14種類に分けられ、そのうち9種類が人民(イコール正義)側、あとの5種類が売国賊、邪魔者或いはゴミカスとされる敵(悪)側とされていました。一旦敵側の”人間”にされると、もう、一生、人間として扱われることはありません。

 

新中国が建国当初、田舎で階級(敵と味方)を分ける際、金持ちであれば敵ということでした。そして、余りにも貧乏な村で金持ちがいないと、一人当たりの土地面積を計算して、多い家族が自動的に敵になります。そこで、このようなこともありました。ある家で御爺さんが病気でなくなった際、持っていた土地を二人の息子に均等に分けましたが、長男に6人の子供がいて、次男に子供がいませんでした。そこで間もなく共産党がやってきて、一人当たりの土地面積を計算した結果、自動的に、長男一家が味方にされ、次男夫婦が敵で制裁を受ける対象にされました。

 

毛沢東が晩年になった際は、建国からも二十数年が経ち、革命当初”敵”というレッテルが貼られた人は死亡で数が少なくなりました。そこで、田舎では毛沢東氏の階級闘争の思想を実践するため、敵の子孫を敵と定義しました。無論、その新しい敵は全員建国後に生まれ新中国で教育を受けた人達です。筆者が10代の時に2年半ほど過ごした村では、ある日、お父さんが革命前でちょうどした金持ちだった男が夜逃げしました。それが、借金返済できないための夜逃げではなく、革命の対象、階級闘争の対象に指定され、間もなく拘束される噂を聞いたための逃走でした。

 

毛沢東氏がなくなって33年が経った今年の国慶節に「毛沢東思想万歳」の看板が復活したが、思うにはその実践が非常に難しくなりました。というのは、革命当時の定義によれば、金持ちが革命・闘争の対象ですが、今の中国で超を付く金持ちの9割以上が高級幹部の子弟で、共産党が身内を闘争の対象にすることは考えられません。では、どうすれば良いのか、清華大学の学生達に聞いてみたくなりました。

 

今の中国では、ところにより地方政府も金持ちになりました。報道によれば、広州市番禹区が主な出資者で800万元(日本円で約1億600万円)を投じて造ったトイレ(!!)928日にマスコミに初公開され、そのトイレの壁に合計500gの金箔も貼られました。

 

下の2枚の写真はそれぞれ黄金トイレの外観と内部です。どうですか?

 

Outlookofthetoilet

 

Insidethetoelet

 

この黄金トイレのオーナーである番禹区政府が革命の対象になるかどうかは清華大学の学生達の判断に任せますが、筆者がここで強調したいのは、このような億ションならぬ億トイレが建設されたことが中国経済、或いは少なくとも中国の官僚たちの発想がバブル状態になっていることの症状です。そのようなバブル化している症状は探せば幾らでもありますが、問題はそのバブルがいつ崩壊するのか、又、中国国民にとってより重要なことは中国政府がどこまで現状を認識し、対応する政策手段を考えたのかです。

 

文書が長くなりました、最後に米国経済と株価について簡単に触れて置きます(詳しくは先週の本欄である「当局とマーケット」を参照にして頂きます)。

 

まず、景気は回復していないことを確認しましょう。先週末に開かれたG20では景気について前より大分楽観的になりましたが、しかし、決して景気は回復していません。というのは、住宅を失った人達は棲家を取り戻していないし、失業した人達は再就職できたわけでもなく、給料がカットされた人達が前の所得に戻っていません。悪くなったものが悪いままで、このような状態はとても“景気回復”とは言えません。

 

我々が中国経済を論じる際、輸出が依然不振であることを中国の景気回復が難しい理由の1つに挙げることに慣れているが、中国の輸出不振はそのまま先進諸国の消費がまだ戻っていない証明でもあります。

 

このような状況が続くようであれば、早かれ遅かれ、株価は2番底を付けに行くと思われます。

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2009年9月23日 (水)

当局とマーケット: 呂 新一

金融市場において、明らかに緊急モードが過去のものとなり、当局が出口戦略を検討し始めています。

 

事実、先週、バーナンキ米FRB議長は初めて公式に“リセッションは終了した可能性がある”と発言しました。そして、昨日は、今週開催されるFOMC会合において“出口戦略が検討される”との観測を受け、ドル買いが優勢になっていました。また、中国の温家宝首相は10日、大連市で開かれた国際経済フォーラムで、今年の目標である実質GDPの8%成長に自信を示しました。

 

一方、目を金融市場に転じると、波乱を示唆する症候は幾つかも現れています。

 

まず、下記のチャートはジャンクボンド・ファンドの過去2年半ほどのバリュー推移ですが、楽観ムードが広がれば、皆が高いリターンが欲しがり、ジャンクボンド(別名ハイイールドボンド)は買われますが、警戒感が高まれば、ジャンクボンドは売られ値崩れします。チャートから昨年9月リーマン・ショックの直後、ジャンクボンドが崩落したことが見て取れます。ところで、今は、ジャンクボンドの値段はほぼリーマン・ショック前のレベルまで戻り、貪欲さが再び剥き出しになり、楽観ムードが危険なレベルまで広がっていることが分かります。

 

High_yield_bond

 

また、別名「恐怖指数」であるVIX指数は、ここにきて、再び底値まで低下しました(下記チャート参照)。「恐怖指数」が低いということは、大方の投資家が近いうちに株価が急激に動き出すとは予想していないことを示しています。言い換えれば、仮に株価に大きな変化が訪れると、楽観ムードに浸っている多くの投資家はどう対処すれば分からなくなることは十分に予想されます。

 

Vix

 

目をさらに中国に転じると、当局の経済成長への自信とは裏腹に、株価の上値が重くなっています。下記のチャートは中国上海総合株価指数のここ6カ月の推移であるが、8月初頭に下落した後、3,000ポイント超えがむずかしくなりました。建国60周年(孔子「六十而耳順」)という盛大な祝典を前に、株価に祝賀ムードが感じられないのは不思議なことで、警戒する必要はあります。

 

Shanghai_composit_6m

 

最後に日本について言うと、内閣府が今月8日発表した8月の景気ウオッチャー調査によれば、2-3カ月先の先行き判断指数が7月以来、2カ月連続の下落となりました。過去の経験から言うと、日経平均と景気ウオッチャー先行き判断指数との相関が高く、先行き判断指数が悪化すれば、日経平均の上値も重たくなります。

 

要するに、政策当局の判断とは別に、近いうち、株式市場が違うシグナルを出す可能性は充分にあります。

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2009年8月26日 (水)

9月以降米株調整の可能性: 呂 新一

米株は依然強気ムードに支配されています。今月上旬当たり調整する局面が見られましたが、すぐさま反騰し始め、さらに上進しました。このような現象は殆どの参加者が投資リターンを目指し、全力投球していることを意味し、同時に、調整らしい調整をしていないため、今進行中の上昇が脆弱である可能性を示唆しています。

 

米景気の先行きにとって、住宅市場は依然1つ重要なファターであるに変わりがありません。その住宅市場について言うと、抵当銀行協会(MBA)の調査によれば、今年第2四半期の住宅ローン延滞および差し押さえ件数はローン全体の13.16%(季節調整前)を占め、過去最高を記録しました。そして、プライム固定金利ローンの延滞率が第1四半期の6.06%から6.41%まで、差し押さえ率が第1四半期の2.496%から3%まで上昇しました。一年前では、プライム固定金利ローンの差し押さえは全体の五分の一であったが、今は差し押さえ全体件数の三分の一まで占めるようになりました。このようなプライム固定金利ローン返済状況の悪化は、今まで余裕があると考えられていた家庭も資金繰りに悩んでいることを示し、注目すべき現象と言えます。

 

住宅市場の好転が期待しにくい理由の1つは雇用市場状況の悪さにあると思われます。労働省が7日発表した7月の雇用統計によると、失業率が9.4%で6月の9.5%より低くなったとは言え、非農業部門就業者数は6月より247,000人減り、給料受給者の減少はまだ止まっていません。そして、就業者数の減少と同時進行しているのは、給料の削減であります。言い換えれば、非農業部門就業者の総所得が就業者数の減少を上回るペースで進んでいます。

 

このような状況はそう簡単に変わらないと思われます。事実、Conference Board(全米産業審議会)が7月に発表した100社前後の大企業CEO(最高経営責任者)への調査結果によれば、これからの12カ月で収益の向上を見込んでいるCEOの56%が人件費などのコストカットがその最大な原動力と見ていることが分かります。言い換えれば、雇用、給料・福祉の改善はなかなか見込めず、そのため、住宅市場の本格的なボトムアウトも期待しづらいと思われます。

 

住宅市場がボトムアウトしなければ、銀行のバランスシート改善も時間がかかります。こういったことは、景気回復、そして株価に悪影響を与えかねません。

 

米株式市場は、1つの習性として、夏を過ぎて、9月、10月に入ると暴れる(大きく下落する)ことが多い。今年も、3月上旬から今までの間、相場上昇が続けてきただけに、9月以降相場は暴れる(調整する)可能性が十分にあります。そのような下落相場を利用し高いリターンを得たい投資家にとっては、秋以降のボトムでの投資のため、キャッシュの一部をキープした方が良いと思われます。

 

米株価上昇が脆弱である可能性を示すもう1つの証拠はドルインデックスの動きです。というのは、3月上旬に株価がボトムアウトし反発してきた軌跡は、ドルインデックスが3月上旬から下落してきた軌跡(下記チャート参照)と一致しています。言い換えれば、米株価の上昇は、ドル下落の犠牲の上に立っています。

 

Dollar_index

過去1年のドルインデックス変動

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2009年8月19日 (水)

地に足が付かない米中の株価上昇: 呂 新一

米国の経済指標の改善、中国の景気回復ぶりは世界の投資家を勇気付け、リスクテークが活発になり、米中の株価が急激に反発してきました。

 

しかし、よく見ると、米中両国の景気は政府による臨時・緊急対策に支えられている所が非常に大きい。そして、不思議なことに、政府による支えがどこまで持続できるのか、その支えがなくなれば、景気がどうなっていくのかについて真剣な議論は殆どなされていません。

 

米景気にとって、住宅市場の悪化は依然ガンであると言えます。全国範囲で見れば、住宅価格の下落が止まらず、差し押さえが増え続けています。事実、不動産仲介会社のリアルティトラックによると、7月の住宅差し押さえ件数は36万件を上回り、前年比32%増加し、6月からは7%増えました。

 

米住宅市場が悪化し続けている理由は主に以下の2点と思われます。

 

1)90年代後半から始まった住宅価格の上昇は前例のないスピード、長さであったため、その反動も前例では測れない大きなものになります。下記のチャートはケース・シラー住宅価格指数で、字が小さく良く見えないが、それでも90年代後半から始まった住宅価格上昇の凄まじさが見て取れます。

2)住宅価格の急激な上昇とローン債権の証券化商品氾濫の相乗効果で、見せかけの好景気を演出し、雇用市場も活況を見せていました。そこで、見せかけの景気が崩壊してしまうと、雇用も失われ過去の盛況に戻るのは非常に難しいと思われます。雇用市場が悪いままでは住宅の買い手がとんとん少なくなっていきます。そのような状態では、住宅市場の回復が難しいと言わざるを得ません。

Home_values

 

住宅市場が回復しなければ、逆資産効果で米国民の消費余力が削がれると同時に、関係する金融機関の不良債権も膨らんだままで、景気にポジティブな循環が生まれ難い。

 

そして、ポールソン財務長官時代に策定した金融機関から不良債権を買い取り計画は現政権の下で真剣に実行される形跡が全くありません。金融機関にとって、過去は時価評価が必要であったが今はしなくても良い不良債権をわざわざ時価評価するメリットが小さく、まして不良債権の買収に応じ、投資損失を実現してしまうことです。ただ、不良債権が金融機関のバランスシートに居座りしたままでは、景気回復の道はナローパスにならざるを得ません。

 

中国についてまず言えることは、政府の景気刺激対策は質より量を重視していることです。質より量を重視してしまうと、景気回復の質にも大きな疑問符が付くようになります。

 

事実、質より量であることの弊害が随所に出ています。その1つの好例は、新車へのクレームが頻発していることです。中国品質協会全国ユーザー委員会が729日公表した報告によると、今年第2四半期での新車へのクレーム件数が第1四半期に比べ30%も急増しました。即ち、多くのメーカーは政府による新車購入奨励策を千歳一遇のチャンスと捉え、質よりは生産量を優先し、アフターケアーよりは販売を優先しています。無論、その結果、見かけ上は景気がよくなりましたが、一方では、資源が浪費され、税金、消費者の資金が無駄にされ、企業も質、社会・消費者への責任をないがしろにし、王道を外れることになります。

 

質より量、見せかけの景気回復であれば、おのずと株価の急上昇も見せかけになり、大幅調整が当然のこととなります。

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2009年8月12日 (水)

難しい局面に入った株式投資: 呂 新一

中国の上海総合株価指数は昨年10月にボトムを打ち、その後、今年の7月までに倍以上の上昇を見せました。それに遅れて今年3月にボトムを打った米国のダウ平均も今までの間65%前後の急上昇を見せました。

 

ただ、これからは今までのような急上昇が期待できないだけでなく、大幅調整の可能性すらあります。というのは、今までの米株価急上昇は主に次の3つの要因に押されましたが、そういった要因は急速に消えつつあります。その3つの要因とは、1)金融市場のパニック状態で一部の株が過剰に売られていたこと;2)FRBによる洪水のような流動性提供;3)オバマ政権の金融システム・自動車産業救済策が奏功したことです。そこで、1)の株の売られすぎは株価の急上昇によって解消されました;2)のFRBによるなりふり構わぬ流動性供給策は見なされる時期に入ってきました(報道によれば、今週のFOMCは国債買い入れの9月終了を発表する可能性が高い);そして、3)の金融システム・自動車産業救済策が奏功したことはそろそろインパクトが薄れ、代わりに投資家は今のオバマ政権の政策・人気度に注目しています。そこで、伝えられているのは医療保険改革への支持率の低さであり、筆者が資源浪費と過剰消費を助長するでしかないと認識している自動車買い替え補助金策などであります。

 

下のチャートは過去2年弱のNYダウの推移であるが、チャートから3月以後の株価急上昇はある意味では1月から3月上旬にかけて急落したことへの反動に過ぎないとみて取れます。振り返ってみると、過去数カ月の間、市場に恐怖感が蔓延していましたが、ここにきて楽観的な見通しが幅を利かせています。楽観的な見通しが増えれば増えるほど既に株を購入した投資家が多く、そのため、株価の上昇が難しくなると思われます。


Indu


また、中国株について言うと、下半期入りにつれ、不当に流用され、株式市場に流入した固定資産投資資金、およびその他の各種資金がそろそろ本業へ還流せざるを得ず(資金を還流させなければ、政府の検査で流用が発覚するリスクが大きい)、株価上昇の勢いが削がれる可能性が非常に大きい。次のチャートは中国上海総合株価指数の推移を示すものです。


Shanghai_composit

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2009年7月21日 (火)

アメリカの財政赤字が次の波乱材料 竜河

いろんな報道が明らかにしたように、中国でドル価値の低下へ恐怖感が非常に強い。最近の欧州通貨高(ドルが欧州通貨に対して安くなること)、そして米連邦政府・地方政府(例えばカリフォルニア州)の急速な財政悪化で、その恐怖感が一層強まりました。

 

ブッシュ時代で、アメリカの財政赤字が大きく膨らみましたが、オバマ政権になってからは財政赤字の増加が急カーブを描き、留まるところを知らない勢いとなってきました。また、先行きを見通すと、景気の好転がまだまだ先であるため、当面、税収の増加が期待できません。一方、景気を刺激するため、政府の財政支出を平時モードに戻ることはとてもできません。言い換えれば、米国の財政赤字拡大は当面続くことになります。

 

ただ、いまの所、米財政赤字問題はまだ最悪の状態(ファイナンスが出来ない状態)になっていません。というのは、グローバル不況で各国の政策金利水準が歴史上の低水準に抑えられ、どこも金利水準が低いレベルにあり、そして、企業は設備投資を拡大する考えがあまりなく市場から積極的に資金調達をしていません。他方、家計では消費を慎んでおカネの節約に励み、政府の調達ニーズに応じる資金は潤沢にあります。

 

無論、現在のこのような構図は、景気が停滞しデフレが続く状況下の産物で、将来的に、景気が好転し或いはインフレ期待が台頭し、金利が上昇すれば、財政赤字の(り)ファイナンスがかなり難しくなると予想されます。

 

米国政府は財政赤字問題がどうにもならなくなるまえに、借金の削減に動く必要があります。今のところ、次の3つの削減手段が考えられます。

 

1)国民からもっと税金を徴収すること;

2)ある程度の物価上昇を許し、政府の実質負債を軽減すること;

3)ドル価値の低下を放置し、海外債権者への返済負担を軽くすること。

 

 無論、中国政府・国民が恐れているのは上記の3)のドル価値の低下を放置することです。ただ、中国政府・国民の心配をよそに、長期的に見れば、ドルが緩やかな低下トレンドを辿ってきています。

 

 また、米長期金利の動きを見ると、3月中旬以降は上昇トレンドにあります。この下期に、連邦・地方政府財政赤字の拡大が原因で長期金利が上昇し続ければ、株式相場ひいては米国の景気回復にひと波乱が起こる可能性は充分にあります。

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2009年7月14日 (火)

道程の遠い米景気回復 竜河

この数週間、米国で、株価の下落と歩調を合わせ、国民の将来への期待が再び低下しました。事実、コンファレンス・ボードが6月30日に発表した消費者信頼感期待指数は前月の71.5から65.5に低下し、3月からの回復基調が中断しました。

 

3月以来、株価の回復に伴い市場心理が好転し、消費者センチメントも改善していました。しかし、それが問題解決され将来が明るくなったことの表れではなく、単に、最悪期を通り過ぎ、気分がこれよりさらに悪くなるようがないといった状況の反映であると思われます。

 

米景気回復が強くなれない最大の理由は雇用市場の弱さです。数年先に亘る“見込み収入”を借金で前倒し使い、住宅の値上がりした分(home equity)も担保にして資金を調達して使ってしまった米国人にとって、今ほど安定した収入が得られる職を欲しがる時はありません。しかし、残念なことに雇用市場の状況は非常に悪いです。

 

というのは、6月の雇用統計を見ると、非農業部門の雇用者数は前月から467000人減り、これで雇用者数の減少は18カ月連続で戦後最長となりました。そして、普段言われている失業保険継続受給者数に緊急失業救済を受けている人をカウントされていないが、それをカウントに入れると、失業保険継続受給者数は報道された688万人からより現実に近い940万人に膨れ上がります。

 

雇用の回復難しいということは、新しい産業、又は経済の新しい姿がまだ見えていないことを意味し、“新しい現実”に米経済が適応し、そこから再出発することは簡単なことではありません。

 

バーナンキFRB議長はこの点をよく認識しているようで、13日の議員との会合で、米経済が雇用なき回復に直面する可能性があるとの認識を示唆しました。

 

雇用市場が悪化し続けていくと、住宅市況の回復が望みにくくなり、個人消費が停滞し、企業の収益(売上)回復も難しくなります。

 

思い起こせば、3月からの株価反発は、米政府が大手金融機関に公的資金を導入し金融システムの安定化を図ったほか、企業業績の回復期待も背景にあると思われます。ただ、その企業業績回復は人員削減に頼った所が大きく、景気回復の追い風を受けたものとは言えません。そこで、最終需要が盛り上がらず、収益見通しが依然暗いままであれば、企業は再び大規模な人減らしに動く可能性は大きい。そうなれば、米景気の回復が一層遠くなります。

 

Wmt_2

 

上記チャートは小売チェーン大手ウォルマートの過去1年の株価推移であるが、チャートが示している通り、“everyday low price”のウォルマートも収益を上げることに苦労しています。

 

米国内消費の委縮が続く限り、株価の上昇トレンド入りは難しいと思われます。

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2009年7月 7日 (火)

FEDによる出口戦略の順序:竜河

FEDが現行の緩和的な金融政策からの出口戦略を真剣に検討しているようです。

無論、深刻な不況と低迷する物価を考えれば、緩和的な金融政策をすぐに変更する必要はありません。

ただ、景気が改善したら直ちに現行の金融政策から脱出する意思を周知させなければ、インフレ期待が台頭し、それに呼応して長期金利が上昇してしまうと、景気回復の機運がそがれる可能性が大きい。

 

昨年12月より、FEDは政策金利を実質ゼロにし、そして、そのゼロ金利政策をある期間維持する約束で緩和的な金融環境を作り出しました。また、金融危機を受け、FEDが緊急流動性供給策を発動し、CPRMBS(住宅ローン担保証券)、政府機関債および国債の買い取りで市場に1.75兆ドル(日本円で約167兆円)の資金を提供しました。FEDによるこういった一連の政策・措置は効力を発揮し、市場機能の回復に大きく寄与したと見られます。

 

ただ、こういった金融政策・措置は、その性格から、あくまで一時的なものと思われます。

 

そして、今のところ、インフレ期待がまだ高まっていないとは言え、マネーサプライが今までのペースで増加し続けていくと、インフレ期待が高まるのは時間の問題と思われます。無論、巨額な財政赤字もインフレ期待が生まれる土壌になる可能性を孕んでいます。というのは、巨額の財政赤字は最終的にFEDが穴埋めするとの思惑が広がっていれば、紙幣の垂れ流し観測が生まれ、インフレ期待が増長されます。

 

その意味では、FEDにとって、現行の金融政策・措置が十分に効果を発揮したと確認できた時点で、インフレ期待をうまくコントロールことは重要な課題となってきます。

 

幸い、現行の金融政策・措置が既にそれなりの効果を発揮しました。その象徴の1つは、最近、多くの資金注入ルートが使われなくなったことです。こうした現状から見ると、今後、FEDがとるべき又は最も取りやすい行動方針は、将来的に使われる可能性が最も低い資金注入ルートを取り外し、そして、金融混乱が再び起きる際使われる可能性の高いルートを残しておくことです。

 

FEDがインフレ期待をうまくコントロールするには、政策金利の引き上げ、準備金の調整、又は、購入した資産(証券)を再び市場に放出するなどの手段が考えらます。

 

緊急流動性供給策の縮小・放棄、又は購入した資産(証券)を再び市場に放出するなどの操作は、政策金利の変更、又は準備金の調整より実行し易くかつ機動性に富んでいると見られます。そのため、出口戦略の順序では、緊急流動性供給策の変更が政策金利の変更・準備金の調整より先行する可能性が大きいと見られます。

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2009年7月 1日 (水)

米株式相場にとって試練の日が来ました:竜河

米株式相場は3月上旬にボトムをつけ反発してきました。S&P500種を例にすると、3月9日の終値である676.53から昨日の終値である927.23までの上昇率は37.1%に達しました。

 

株価が大きく下落する局面から回復する局面までの段取りは次のようなものと考えられます。まず、恐怖心理が全てを支配する状況下で狼狽売りが止まらず、株価は適正価格を大きく下回るレベルまで下落します。その後、空売りの買い戻しと安値拾いの買いが入り、株価は回復へ転じ、そこで、政府による政策対応と中央銀行の緩和措置などのバックアップがあれば、株価は一段と上昇ピッチを速め大きく反発します。そして、株価反発に伴い投資家心理が改善し、買いが一層広がります。

 

今のアメリカの株式相場はこのような投資家心理が改善し買いがさらに広がった状態にあると見られます。この状態の特徴を言うと、楽観心理が蔓延しているだけに、下落への備えが足りず、何かのきっかけがあれば、急上昇してきただけに調整しやすいことです。

 

そこで、考えられる相場急落の2つのきっかけは、長期金利が大きく上昇することと、企業の決算発表です。まず、長期金利について言うと、長期金利が高騰すれば、実体経済、中でも特に住宅市場への悪影響は非常に大きいと考えられます。幸い、今のところ、長期金利は5月の下旬で一服しました。もう1つの企業業績ですが、これから1か月ほどの間、米主要企業による2009年度第2四半期決算発表が目白押しです。無論、企業業績が失望的なものであれば、今までの株価上昇の拠り所がなくなり、相場が再び下落トレンドに入ることが明らかです。その意味では、米株式相場はこれから試練の時期を迎えると言えます。

 

我々の見るところでは、4月の主要20都市圏の住宅価格動向を示す(ケース・シラー)指数が前年比18.1%低下し、住宅価格の底打ちはまだ見られず、そして、個人貯蓄率が上昇傾向にあり(3月:4.3%、4月:5.6%、5月:6.9%)、米国民は消費抑制する指向を強めているなど、最終需要がまだまだ弱く、企業業績の大幅改善が期待できない可能性が大きい。言い換えれば、企業の決算発表を1つの転機に、株式相場が再び低下トレンドに入る可能性が大きい。

 

チャートも、米株がこれから試練の時期を迎えることを示唆しています。下記チャートはS&P500種の過去3カ月の推移を示したものですが、それをよく見ると、5月に入ってから三尊の形を形成しているように見えます。まず、5月上旬に左肩、そして6月中旬に頭が完成し、今は右の肩を作っている所のようです。また、出来高の方も右肩を作っている現在が左肩を作っていた5月上旬より少ない。言い換えれば、米株がこれから時間をかけ右肩を完成し、その後再び下落トレンドに入る可能性が大きい。


Spx

 

ただ、1つの留意されたいことは、米株式相場が下落トレンドに入るには、ダウ・ジョーンズ、S&P500種、そしてナスダックの3主要株価指数が共に下落することが必要で、上昇する指数が1つでもあれば、下落トレンドに入らないことは多い。

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2009年5月26日 (火)

案内図をチェックする時です:竜河

3月上旬のボトムから、日米主要株価指数はそれぞれ37%、34%ほど反発してきました。無論、その間、ファンダメンタルズの改善が見られ、エコノミスト達の論調もポジティブなものになってきました([アブダビ 25日 ロイター] ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン氏は25日、世界経済は絶対的な大惨事を回避したと指摘するとともに、先進諸国の経済成長率が年内にプラスに転じるとの見通しを示しました)。

 

他方、チャートを見ると、日米株がともに行き詰まりを見せています。今日の日経夕刊に、期間の違い移動平均線の組み合わせから見ると、日経平均がこれまでの上昇を維持できるかどうかの正念場に差し掛かっているとの分析を載っていますが、米株価についても同じことが言えます。

 

下のチャートはS&P500種の動きですが、日経平均と同じように、反発してきた株価の勢いが下がってくる200日移動平均の手前で衰え、頭が押さえられています。このチャートは、また、今月初め頃の戻り高値である930ポイントは年初の高値である944ポイントに迫っていたことを示しています。言い換えれば、S&P500種が近いうちに944ポイントを超えて上昇していかないと、年初の高値と今月の高値がダブル天井を形成し、これからずるずる下がっていく可能性が大きくなります。

                             

Spx


株価と同じように、原油のチャートもここが正念場と示唆しています。というのは、今、原油価格が昨年11月中旬以来の価格上限に張り付き、一旦、62ドルを突破すると、青天井となり、原油高が再び世界経済の足枷になる可能性が出てきます。

 

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原油価格が高止まりしている背景には、景気鈍化ペースのスローダウンとともに、ドルじり安傾向は挙げられます。ドルの先安観が払拭できなければ長期国債が敬遠され、長期金利は上昇しやすい。

 

今の米国にとって、長期金利が上昇してしまうことは厄介な出来事です。長期金利が上昇すると、企業は資金調達難に陥り、住宅が売れなくなり、金融機関の評価損が膨らみ、経済が圧迫されていきます。

 

このように、米国経済にとって長期金利を低く抑えることは非常に大事ですが、事実としては、長期金利が年初の2.461%から現在の3.47%へ1%超も上昇しました。長期金利上昇の悪影響はこれから徐々に出てくると思われます。

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2009年5月11日 (月)

米銀のストレステスト結果:竜河

 

9日(土曜日)に発表されて、古くなったニュースですが、FRBが譲歩=公表前に資本不足額を圧縮-したそうです。

 

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009050900254

 

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2009年5月 6日 (水)

米銀は不良債権の重圧から解放されたのか:竜河

各国政府による明日の財政状況を考えない思い切った金融システム救済措置、および民間企業による迅速な生産・在庫調整で、ここに来て、世界経済が縮小するスピードはゆっくりなってきました。

 

景気後退のスピードが遅くなった最初の兆候は米銀の収益状況の改善でした。シティグループ、バンク・オブ・アメリカが相次ぎ予想を上回った第1四半期決算を発表したことで、投資家は最悪期が過ぎ去ったのではとの期待を高めてきました。

 

我々は4月21日の本欄において、「企業の在庫削減努力が実り、景気の改善を示す指標はこれからも続々と発表される公算が大きい」と述べたが、その考えは今も変わっていません。ファンダメンタルズが改善したことで、株価の反発もしばらく続くと見られます。

 

ただ、長期的にみれば、現在の改善は一時的な現象に止まり、事態がさらに悪化する可能性は十分にあります。

 

問題の深刻さを集中的に象徴しているのはやはり米銀です。決算で各大手銀行が軒並み好業績を発表したが、爆弾を抱えていることに変わりがありません。

 

というのは、まず、銀行の決算書は、幾つか“合法的”な手法で厚化粧した後のものでした。その厚化粧とは、例えば、1)保有資産の評価を時価より甘く算定する;2)貸倒引当金を減額することで当期収益を嵩上げする;3)社債の評価が下落したため、その社債を安く買い戻して償却するとの仮定で負債の評価を小さくする;等々です。

 

そして、銀行の先行きも決して平坦なものではありません。

 

これから予想される難関の1つは、来年年央と再来年年央にそれぞれ3千億ドル前後と4千億ドル弱にのぼる変動金利型融資(ARM)の金利再設定(借り換え)です。労働市場が劇的な改善を見せなければ、返済できない家庭が続出し、銀行の不良債権が急増するのは火を見るより明らかです。

 

もう1つの難関は商業用不動産向き貸出が急速に不良債権化していることです。商業用不動産調査大手のReis, Inc.が発表したレポートによると、上位76のショッピングモール/センターの空室率が昨年年末の8.3%から今年第1四半期の9.1%まで上昇しました。無論、ショッピングモールに止まらず、ホテル、オフィス・ビルの空室率も上昇中です。今年中に3-5千億ドルの商業用不動産向きローンが期限を迎えるが、そのうち、かなりの部分が不良債権になると思われます。

 

さらに、米銀にとって、クレジットカード・ローンの劣化も重荷になっていくと思われます(421日本欄参照)。

 

このように、米銀にとって前途は決して平坦なものではないが、その険しい山道をさらに険しくするのは、米長期金利上昇の可能性です。下記チャートは米国の10年国債利回りを示しているが、最近、上昇傾向を鮮明にし、ついに3%を超えました。アメリカでは全てが貸し出し(借金)に依存しているため、長期金利が高止まりしたら、景気停滞が余儀なくさせられ、銀行の経営は一層圧迫されます。

Treasury10y

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2009年4月21日 (火)

米株価の調整が続く:竜河

米供給管理協会が4月1日発表した3月のISM製造業景況指数をみると、3月の新規受注指数は41.2%と、前月より8.1%上昇しました。これで、新規受注指数の反発は3カ月ほど続くことになり、企業の在庫削減努力が実り、景気の改善を示す指標はこれからも続々と発表される公算が大きい。

 

他方、銀行は引き続き重荷を背負っており、融資拡大して景気を引っ張っていく役割を果たせないでいます。事実、昨日発表されたバンク・オブ・アメリカのQ1決算を見ると、利益の90%前後が中国建設銀行株の売却益、資産評価基準の変更益、及び債券トレーディング益など一過性のモノであり、他方、不良債権が昨年同期の70億ドルから260億ドルまで膨れ上がり、資産内容の劣化は止まりません。

 

米銀にとって、今後、クレジットカード・ローンの内容劣化も重荷になると思われます。報道によれば、マスターカードの最大発行機関であるシティグループでは、3月のカード・ローンのデフォルト率が9.66%と、前月の9.33%から上昇しました。同じように、ビザカードの発行が多いJPモルガン・チェースでは、3月の貸し倒れ償却率が7.13%と、前月の6.35%から上昇しました。カード・ローン総額が100兆円にも達していることを考えれば、その内容の劣化は決して小さいことではありません。

 

保有している資産の劣化が止まらず、銀行が貸し出し増に動けないとすれば、消費の回復が遠のき、在庫補充が一巡すると景気が再び落ち込む可能性は高い。

 

我々は、先週水曜日(15日)、S&P500種の出来高が縮小していることから、反発力がそろそろ限界に来ていると書きましたが、事実、昨日の急落(-4.28%)で、S&P500種は14日の終値すら下回るようになりました。

 

下記はそのS&P500種チャートの再掲載(今回はデリー変化)ですが、調整がまだまだ続くと示唆しています。

Sp500apr21

 

中国について言えば、先週火曜日、我々が、「今年第1四半期の新規貸出残高は45800億人民元にのぼり、昨年の年間総額に接近しています。…、投資好きな人達からみると、マネーサプライのスピードが落ちてくるまでは株式投資を増やすべきです。…、今後、中国にとって、1つの危惧は、記録的な銀行貸し出し増の結果、数年後、中国版サブプライム問題が起こり、金融システムがメルトダウンすることです」と書きましたが、その考え方は変わっていません。

 

昨年1年の貸出増加額が5.8兆人民元で、それに対し、今年第一4半期だけで4.6兆人民元になりました。ここがまさに中国の中央銀行である人民銀行の難題です。即ち、これからの3四半期はどうすれば良いのか、今のスピードでお札を刷り続けば人民元の価値低下は避けられないが、抑制すれば景気が減速し株価も下落すると予想されます。政治からの8%成長確保至上命令は決して容易いものではありません。

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ルイス・バンク・オブ・アメリカCEOによる決算説明:竜河

昨日発表されたバンク・オブ・アメリカの四半期決算で、不良債権が拡大したことが明らかになり、それをきっかけに米株、そして今日の日本株が大幅安となりました。

 

バンク・オブ・アメリカのルイスCEOによる決算説明および景気見通しは下記のサイトでご覧になれます。

 

http://72.76.177.114:8080/utalk/viewtopic.php?f=3&t=64

 

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2009年4月15日 (水)

S&P500種のチャートが語っていること:竜河

下記のチャートは過去1年のS&P500種の週次チャートです。ここ4週間、価格が上昇する一方、出来高が綺麗に縮小しています。

 

このチャートが語ろうとしているのは、株価の反発に付いてきている投資家が少なく、そろそろ上昇する力が限界になるとのことです。

 

Sp500


これはアメリカのS&P500種ですが、中国の上海総合株価指数も同じ状況です。

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2009年4月 7日 (火)

グローバル株価は大底を付けたのか:竜河

3月上旬以降、米株価が大きく反発し、グローバル的な株価上昇をリードしてきました。米主要株価指数の1つであるS&P500種で言うと、39日に676.53を付けてから46日現在の835.48まで、23.49%の反発を演じました。

 

今回の株価反発に2つの理由が考えられます。1つはテクニカル的に見て売られすぎたことで、もう1つはファンダメンタルズ的にもサポート材料が出たことです。

 

売られすぎとのことは、3月上旬に株価と200日移動平均との乖離率が36%にもなったことから分かります。同じような売られすぎは、昨年11月中旬にも起りました。当時、株価と200日移動平均との乖離率が一時的に36%を超え、その後、今回と同様に株価が急速に反発しました(チャート参照)。

 

Sp500

ファンダメンタルズ要因についていうと、以下のような経済指標の改善が挙げられる。

 

それを時間順にリストアップすると、

 

2月の小売売上高は前月比0.1%減と、市場予想の平均である0.5%減より下落幅が小さかった(312日発表)。

2月の住宅着工件数は年率換算で583000戸と、前月に比べ22.2%増えました(17日発表)。

2月の一戸建て新築住宅販売件数は年率換算で337000戸と、前月に比べ4.7%増えた(25日発表)。

2月の耐久財新規受注は、前月比3.4%増と7カ月ぶりに増加に転じました(25日発表)。

 

このように、テクニカル要因とファンダメンタルズのサポートで株価が反発してきました。

では、今後、米株価が順調に上昇トレンドに復帰するのかというと、答えは恐らくノーです。

 

下記のチャートは2002年初頭から2003年半ばまでのS&P500種の値動きおよび200日移動平均です。チャートから分かるように、20027月下旬と10月上旬において、2回ほど株価が200日移動平均から大きく乖離しましたが、その後ともに急反発しました。ただ、いずれの場合も株価が上昇トレンドに復帰できず、再び反落してしまいました。そこで、株価が最終的にテークオフしたのは、翌年3月になってからでした。

 

Sp500year2003

今回の場合でいうと、株価がさらに反発し、200日移動平均との乖離が縮小するにつれ、割安感がなくなり、買い戻しの動きも止まると思われます。

 

また、経済指標の改善について言うと、耐久財新規受注増および住宅販売件数の反発は、迅速な在庫削減への反動およびキャッシュを保有していて住宅価格の下落を待っていた一部の人達が買い出動した結果と見ることができ、持続性が期待できないと思われます。

 

そもそも、米経済問題の根源は過剰負債・信用の無限膨張であるが、そこで、FEDとオバマ大統領が打ち出した対策はさらにおカネを刷りまくり、信用を膨張させることであり、それが本当に有効なのか、或いはさらに大きい問題を引き起こすのか、まだ、答えは見えていないと思われます。

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2009年4月 2日 (木)

米経済学者が中国人民元を論ずる:竜河

この前、英語のラジオでアメリカの有識者による金融評論を聞いた際、中国の外貨準備高についてカリフォルニア大学の経済学教授のコメントが耳に入りました。

 

司会者がその教授に、「中国はドル下落による外貨準備の目減りを心配しているそうですが」と聞いたところ、教授は「中国の外貨準備高は不正な為替レートを操作で貯められたものなので、目減りしても、アメリカのしったことではない」と答えました。

 

その答えを聞いて、丁度だけびっくりしました。確かに人民元レートが市場で決められたものではないが、それが理由で、中国人が汗を流し、せいせいと働いてアメリカに製品を送り出し、手にしたドルの価値を目減りしても知ったものではないというのは、経済原理のみで世の中を見すぎている感じをします。

 

中国の対米輸出について、1つ言えることは、その製造ラインに立つ中国人がしている仕事は、多くのアメリカ人が嫌がる低収入で楽しくない仕事です。

 

その教授の話を聞いて、ニクソン政権のコナリー財務長官は、「ドルは我々の通貨だが、問題は君たちにある」と放言したことを思い出しました。

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2009年3月27日 (金)

株価の本当の底入れはまだ先でしょう:竜河

津田さん、

 

ベアマーケットの翌年、株価が上昇しやすいというAustralian Financial Reviewの記事は正しいと思います。

 

振り返ってみると、90年初頭に日本の土地・株バブルが崩壊し始め、株価は急落しましたが、その翌年の1月16日から3月18日まで約2カ月の間に、日経平均は21%弱も反発しました。

 

ただ、このような暴落直後の急騰は、往往にして長続きしないことが多い。

 

その理由は、ファンダメンタルズとテクニカルの観点から説明できると思います。

 

ファンダメンタルズの面からみると、行き詰った今までの経済成長パターン(今回の金融危機でいうと、クレジットバブル、即ち信用の無限膨張)は破滅したが、代わりになる新しい成長パターンを見つけ出し、経済がそれに適応するには時間がかかるとのことです。そのため、陰の極に達した相場は自律反発したものの、ファンダメンタルズのサポートが得られず、再び下落する可能性は大きい。

 

テクニカル的な面からみると、株価急落した後、時間をかけて底を作らなければ、反発しても、残っている在庫玉がやれやれの戻り売りに出され、相場を圧迫することになります。逆に、長い時間をかけて相場の底が作られると、戻り売りに出される可能性のあるシコリ玉は殆ど処分されたため、相場の上値が軽くなります。

 

私見では、今月上旬に米株価は1つの大底を見たものの、将来的に再びその大底を訪ね、或いはそのレベルを下回る可能性は十分にあります。言い換えれば、今月6日以降のグローバル株価急騰は単なるベア・マーケットラリーの可能性は否定できません。

 

米株価の本当の底入れは、来年夏か又は秋頃になるでしょう。

 

オバマさん政権による一連政策が効力を発揮し、米経済の体質転換が順調にいけるとの確信が得られるのは約2年後と仮定すると、その約半年前の来年半ばが株価の大底となります。

 

テクニカル的には、S&P500の大底は500前後となるでしょう。

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2009年3月24日 (火)

中国にとっての米国債:竜河

中国の米国債保有は、増加スピードが落ちてきているものの、日本を超え、世界一となっています。米財務省が今月16日発表したレポートによれば、1月末現在、中国が保有している米国債は7,396億ドルに達し、第2位の日本より1,000億ドル以上も多い。他方、中国側から見ると、1.95兆ドル弱の外貨準備のうち、約70%の1.4兆ドルがドル建て資産になっています。

 

そのようなわけで、中国にとって、米ドル資産、中でも特に米国債の価値が保っていることが最大の関心事となっています。

 

中国国内で米ドル建て資産の安全性について関心が高まっている中、今月18日、FRB公開市場委員会で、今後半年間で長期国債を最大3,000億ドル買い取り、住宅ローン担保証券の購入規模を7,500億ドル拡大するなど、洪水のようにドル資金の供給増を決めました。FRBの決定が発表された途端、ドルインデックスが2.9%急落しました。米金融システムにおける不良債権の大きさを考えれば、これからもFRBが買い取りのため、ドルの供給を加速させ、その結果、ドル価値の下落が避けられないように見えます。

 

今の中国政府にとっては、ドルの下落が頭痛の種であるが、ほかに膨大な外貨準備の運用先がないことで、仕方がなく我慢しているところです。中国人民銀行の胡暁煉副総裁は23日の記者会見で、「信用リスクが比較的低い米国債への投資は外貨準備運用の重要な一部分であり、こうした投資は今後も続ける。……、我々は(在米)資産の価格変動に高度な関心を持っている」と発言したことは、今、中国が置かれている状況を鮮明に表わしています。

 

無論、中国にとって数少ない自衛策はまた残っています。

 

1)保有する米国債をできるだけ短期ゾーンに集中し、長期ゾーンをさけること(そうすることでインフレ期待による長期金利上昇・価格低下リスクが避けられる);

2)米国債のほか、戦略備蓄用の石油、ゴールド、その他の資源を購入するなど、外貨準備の運用先を分散させること;

3)企業の“走出去(海外投資)”を奨励すること;

4)貿易決済通貨の分散化を図り、中国に流入するドルの量をコントロールすること;

 

最も、中国にとっての根本的な解決策は、資本の流動性を認め、人民元の自由化を実施することと思われます。資本の流動性を認めれば、企業または個人からドルを半強制的に購入する必要はなくなり、巨額な外貨準備の運用に悩むこともなくなります。

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オバマ大統領へのアドバイス:竜河

15日のThe Huffington Postオバマ氏への“誠心誠意”なアドバイスを載っているので、ご紹介させて頂きます。

 

その文章のタイトルは「中国から電話がきたら、私がいないと言ってください」

 

文章は、オバマ大統領が国内経済、アフリカでの戦争に忙殺されているだけでなく、中国からの借金をどう返すのかにも頭を悩ましていると言っています。

 

文章は、オバマ大統領に次の4つの対策を薦めました。

 

1) ホワイトハウスの全ての人に、「中国から電話が来たら、私がいないと言ってください」、と頼むことです。それでも、中国側が執拗に聞くなら、ブッシュの電話番号を教えてください。どっちみち、借金したのはブッシュですから。

2) 間違って、中国からの電話を取ったら、自分がオバマではなく、別人であると言って下さい。

3) 問題が片付ける前に、中華料理の出前を頼んではいけません。もしかして、中国はサービサー官員に出前をさせるかも知れません。

4) 事態が悪化したら、ほかの収入源を探さなければなりません。例えば、“Who wants to be a millionaire?”などの番組に出演してみることです。番組に出演することで、膨大な賞金を手にしたら、中国に返すお金の当てができるようになります。

 

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2009年3月11日 (水)

一石二鳥 英語ビデオで見るサブプライムローンの生い立ち:竜河

You Tubeでサブプライムローンの由来および問題点を分かりやすく説明するビデオを見つけました。

 

英語のビデオということで、今回の金融危機のきっかけについて理解を深めると同時に、英語も上達できる、まさに一石二鳥のチャンスです。

 

Part 1

http://www.youtube.com/watch?v=Q0zEXdDO5JU&feature=related

 

Part 2

http://www.youtube.com/watch?v=iYhDkZjKBEw&feature=related

 

ビデオの製作者に感謝、感謝。

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2009年2月24日 (火)

米景気の早期回復はあるのか:竜河

今回の景気後退をどうとらえるのかは、人によって様々ですが、1つだけはっきり言えることは、米経済の病根は借金が余りにも積み上がり、そして、その借金が米国の競争力向上に使われずに、身の丈を超えた消費に使われたことです。

 

借金に頼る生活とは、入るかどうかが分からない将来の収入を現在のために使うことであり、将来を食いつぶすことですが、米国民の借金依存症(貯蓄率の低下)は20世紀80年代前半(今から25年ほど前)から始まったもので、長期に亘って、その弊害が蓄積されてきました。

 

今でも、一部では、アメリカの金融技術に対する憧れが強いですが、その高度に発達した金融技術がサブプライムローン市場の拡大、住宅を担保にしたホーム・エクティ貸出の拡大に使われ、アメリカの借金経済を持続不可能なレベルまで膨らませたこともまた動かしがたい事実と言えます。

 

今回の金融危機は、ある意味では、アメリカの借金体質と高度な金融技術の相乗効果が極限までに発揮され、そしてついに破滅した結果であり、その当然の帰結である景気後退が短期間のうちに終焉することはほぼ不可能と思われます。

 

近年、企業の海外移転と消費経済が急速に加速した結果、米産業のアンバランスが顕著になり、国内経済が金融を中心としたサービス業に頼ることになりました。そうした歪んだ構造の弊害は、金融システムが崩壊し、新たな資本金を欲しいとしている現在、国内において、ニューキャッシュを生み出す製造業がないことと、金融システムが崩壊したことで、消費経済を維持するのに最も必要である貸出しの増加が維持できないことと言えます。

 

米国の借金経済体質を示す1つのデータは、毎年の銀行ローン残高とGDPとの比率ですが、2000年までは、その比率が50%を超えていなかったですが、2000年以降は急上昇し、昨年69%まで上がりました。

 

借金が急速に膨らんだ結果、さらに1ドルの借金が増えることによるGDP増加額(寄与)が毎年低下することになりました。手元のデータでは、その寄与効果は、前世紀90年代後半の60セントから07年の30セントまで低下しました。その意味するところは、借金経済はもうこれ以上持続できないということでしょう。

 

また、借りる側の事情をみると、借金経済の復活は難しいと思われます。米連邦準備理事会(FRB)が12日公表した統計によると、2008年の米国の家計純資産額の平均は前年から22.7%減少しました。言い換えれば、借り手の資産状況は急激に悪化しました。そのようなことで、バランスシートが既に痛んでいる銀行は、こういった借り手にさらに貸し込むことは想像できません。

 

借金経済の復活がないということになれば、米景気の早期回復はないということでしょう。

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NYKダウがITバブル以来の安値ですね?:津田

NYKダウは景気の先行き不安と金融機関/自動車会社の経営不安を背景に先週引値比250ドル以上大幅続落し安値7103ドルまで下落。1997年5月7日以来11年9ヶ月ぶりの安値だそうです。市場の注目はCITI G、バンカメ、GM、クライスラー、GE。
欧米株安を受けて、リスク回避の動きからユーロが1.29台後半→1.27、ポンドが1.46半ば→1.44台に下落。一方今までと違いリスク回避の円買いの動きは乏しくドル円は94円台半ばをキープ。円クロスはユーロ円120円台、ポンド円137円と、むしろ円安地合いです。
しかし”95円を越えない”―円高信奉者の怨念が効いているようです。

最近私が市場ボラティリティーの目安にしているポンド円の1日変動幅が久しぶりに500ポイントを越え(133.89-139.12)昨年10月~今年2月中旬までの平均値幅500ポイントに達したと言うことはボラがまた上昇し始めています!!

ユーロについてはやはり東欧問題が焦点。
ECBのNowotnyは「東欧問題は解決可能であるが彼らがビジネスモデルを変更する必要あり」と述べています。
チェコ中銀のTumaは「東欧地域の各国中銀は共同歩調を取る」と述べ、ハンガリーとポーランド中銀が同調の意を示しています。同地域中銀は異口同音に「最近の東欧各国の通貨下落は経済のファンダメンタルズを反映していない」と延べています。1.27台後半ではBIS(Bank of International Settlement)のまとまったユーロ買いがあった模様ですが、同レベルも既にブレークしていますね。

さて金融機関に対しては米財務相が追加的な資金注入を行う用意があるとの声明や、国有化以外の方法で同社を支援することを検討していると伝えられて不安が若干和らいでいます。政府がCITIの株を40%まで取得する話、$45bioの同行優先株のうち大きなポーションを保有する政府が普通株に転換する話が出ています。それに先立ち財務相とFRBは米銀に対するストレステスト(リスクの計量化と管理)を25日から実施すると発表しています。

一方WSJは経営危機に直面しているGMとクライスラーが破綻した場合に備えて米政府は両社に少なくとも400億ドル(約3兆8000億円)の緊急融資を供与するため財務省の外部アドバイザーが金融機関と協議を行っていると報じています。
しかし自身問題を抱える金融機関が自動車業界に対して今度は救済側で政府と協議するのもおかしな話???

またGE株は先週の木、金の大幅下落に続いて続落。傘下のGE CAPITALの商業不動産や海外の居住者用住宅抵当に対する同社の巨額エクスポージャーに対する懸念が背景にあります。

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2009年2月16日 (月)

日本製紙は豪社買収、王子はネピア

「日本製紙豪社買収、王子はネピア」

日本製紙はオーストラリア製紙3位のオーストラリアンペーパーを6億豪ドルで買収する(為替は出るだろうか?)

 円高で国際的M&Aが活発化しているが、日本の雇用は減少する。ただ経営者にとっては避けられない課題だ。

 製紙業では既に王子製紙の製紙工場はニュージーランドのネーピア市に進出している。地名がそのまま日本のティッシュパーパーのブランド名となっている。ネーピアはニュージーランドの北島の東海岸にある街でワインでも有名だ。

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シドニー概況:津田

おはようございます。シドニーは先週末から雨で肌寒い天気です。
G7明けのシドニー市場はドル円が91.35のギャップオープン後じり高推移。ユーロ、ポンドなどの欧州通貨がオープン後約100ポイント下落。オセアニア通貨も欧州通貨ほどではないですが40ポイントほどオープン後下落しています。
G7の内容に大きなサプライズなく、やはり調整 ”Sell on fact”の展開。また新たにリスク回避の動きも見られるようです。
また先週金曜日のユーロ圏の弱いQ4 GDPの影響残り、G7の欧州関連当局者発言からもユーロ圏、英国の景気後退懸念が強いようです。ポンドは金曜日に発表になったロイズ・バンキング傘下の住宅金融大手HBOSの大幅赤字、そしてロイズ・バンキングの国有化の噂などを嫌気しているようです。

               NYK CLS     Sydney range         current level ( Tokyo 7:00am)
USDYEN     92.10            91.19-91.88           91.75
EURUSD    1.2865           1.2782-1.2880        1.2782
GBPUSD    1.4355           1.4209-1.4330        1.4225
EURYEN    118.50            117.02-118.14        117.30
GBPYEN    132.15            129.96-130.76        130.45
AUDUSD    0.6554            0.6515-0.6545        0.6515
AUDYEN    60.30              59.63-59.93           59.75
NZDUSD    0.5225            0.5204-0.5237        0.5205
NZDYEN    48.03              47.66-48.04           47.66
DOW CFD  7850                                           7800
OIL           37.51                                          37.81
GOLD       942.20                                         942.10

それでは

Have a nice week!

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2009年2月11日 (水)

やはりSELL ON FACTでしたね?:津田

先週金曜日米雇用統計後の"BUY ON FACT"といい、きのうの"SELL ON FACT'といい、まるで教科書のような展開が続きますね?

米国のNEWS SOURCEの気になる情報は

①きのうの金融安定化策の内容はガイトナーの発表以前、前日の夜にかなりリークしていた可能性が高い。特に官民共同ファンドやTALF(ターム物資産担保証券貸出制度)の金額など。

②投資家がハンガリー、ポーランド、チェコ、ルーマニアなどの中央ヨーロッパから投資資金を引き揚げつつあり、同地域の通貨がこのところ下落している。この地域の通貨下落が景気後退に追い打ちをかけており、政府の景気対策の効果が薄れている。

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2009年2月10日 (火)

米株価指数先物落ちてます:津田

どうも本日の米金融安定化策発表や景気対策法案採決に対する期待先行で92円台、ユーロ1.30台、ユーロ円119円台、豪ドル0.68台、豪ドル円62円台とリスク回避の動きが後退していましたが、実際に”ふた”を開ける前に(米国のイベント前に)、全通貨ペア反落の動きですね。
理由はいろいろあるようです。

①まず米株価指数(DOW INDEX)が引け値の8270ドルから8150ドル近辺まで急落。米ボーイングが第四四半期の一株損失を8セントから12セントに下方修正したのが直接の原因のようです。
②又上記株価下落の背景には米バッドバンク構想が米金融安定化策から除外される可能性があるとCNBCが報道しています。結果として野村さんの言うドル円の「行き詰まり線」が効いてますね?
③独連銀ウエーバー総裁が「積極的な利下げをためらうべきではない」と発言。また早朝発表された英RICS住宅価格が悪化。
④ロシアの民間債務繰り延べでユーロ経済圏が打撃を受けるとの観測。
⑤原油価格の40ドル以下への下落とリオ・ティントの会長辞任劇を嫌気して豪ドル反落。

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2009年2月 9日 (月)

オバマ・タイムという新語:竜河

報道を見ると、大統領就任してから2週間余り経ってオバマ氏が早くも“オバマ・タイム”という新語を生み出した。

 

これまでの間、オバマ大統領は全ての行事および記者会見に遅刻してしまい、景気回復顧問委員会の設立セレモニーには45分も遅刻しました。

 

共和党に比べ、民主党は規律のルーズさで有名ですが、オバマ氏の“自律のなさ”が思わぬ執政の足枷にならないことを祈っています。

 

報道のリンクは下記の通りです。

 

http://www.foxnews.com/politics/first100days/2009/02/05/obamas-tardiness-sets-apart-predecessor/

 

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米国の在庫循環モメンタムを読む:かかし

「かかし」です。

相変わらず、悪い経済指標が続きますが、底堅い株式市場ですね。このような状況が続くと、「弱気のコンセンサス」に多少の乱れが生じます。「弱気ではない」(強気に見える?)見方も出てくるようになります。

「次の一手」を真剣に考えるべき時期にさしかかっていると思いますが、大きな転換点では油断は禁物です。嵐が完全に去ったわけではありません。

そこで、「次の一手」に入る前に、もうちょっと時間もありそうなので、米国の様子を見ておこうと思います。なにしろ、株式市場から見る限り、日本は米国の完全連結子会社なのですから。

米国商務省のM3と呼ばれる出荷在庫データを使います。日本の経済産業省のデータは数量ベースですが、米国商務省のデータは金額ベースです。金額ベースで見た出荷の増減率から在庫の増減率を差し引いたものを「在庫循環モメンタム」と呼ぶのは以前お話したとおりです。

まず長期の展開から。70年代の石油危機以降に全製造業の在庫循環モメンタムがダイナミズムを失ったように見えるのは、他の成熟国にも見られる共通した動きです。現在は在庫循環モメンタムが大きく下落しています。その大きさは石油危機のころに近いですが、下落のスピードは石油危機を上回ります。

00001_2

次に、最近の動向をもう少し詳細に見ます。意外にも、底が抜けたような下落にはなっていません。それどころか、12月には若干反騰しました。もちろん、わずかですが。

00004_2

気になる自動車の動向はもっと意外です。出荷は落ちていますが、減産で在庫調整が順調です。そして、出荷でさえ下げ止まりの動きが出ています。

00005_2

IT産業の動きも見ておきましょう。自動車よりも状況は悪いのですが、在庫の積みあがりは限定的です。フィラデルフィア半導体指数を見ると、下げ止まりはもっと鮮明です。

00000

結論として言えることは、実体経済は確かに弱いのですが、どうも底が抜けたようなとんでもない状況ではなさそうです。ちょうどオデキができた時のように、腫れがひどい時には、命にかかわる重大なことに思えるのですが、腫れが引くと本当の患部に限局してきます。同じような展開になるのではないでしょうか?

かかし

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2009年2月 7日 (土)

米雇用統計後はダウが上がる??:津田

米雇用統計は特に去年の10月分以降悪化の一途をたどっています。これで過去1年余りで360万人が職を失った格好です。しかし発表日のNYKダウの引値を見てみますと前日比高値引けの確率が特に10月分以降は3/4と圧倒的で、しかも大幅上げで終わっています。ドル円も株価に連動して陽線で引けているケースが多いようです。ポジション調整の”Buy on fact”が原因でしょうが、最も注目される指標に”典型的な市場の習性”が見て取れるのは面白いところです。ただ本日の数値はNYK pm 3:00現在のもので、この後大どんでん返しがある可能性もゼロではありませんが、、、

発表日

hh

NFP(千人)

失業率

前日DOW cls

金曜DOW cls

騰落

6/2/09

1

-598

7.6

8063

8275*

+212

9/1/09

12

-524

7.2

8742

8599

-143

5/12/08

11

-533

6.7

8376

8635

+259

7/11/08

10

-240

6.5

8695

8943

+248

3/10/08

9

-159

6.1

10482

10325

-157

(数字は修正前)   *NYK pm 3:00現在

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2009年2月 2日 (月)

為替の金利化、いつの間にすなおになった?:津田

ここにきて円高、オセアニア通貨安が進行しています。

本日の安値は 豪ドル:0.6248、豪ドル円:55.54円
          NZドル:0.4975、(2003年以来)NZドル円:44.21円(2002年以来)
特にNZドルが激しく下値をテストしています。

100年に一度の世界的な経済危機で各国共に金利がゼロに向かって一直線に低下するのはロジカルで納得できます。

しかし、最近の為替は悪材料がクローズアップされるごとに素直にユーロが売られ、ポンドが売られ、オセアニア通貨が売られて対価として円や米ドルが買われてきました”買われる通貨サイド”はリスク回避という特殊要因があるためファンダメンタルズ通りではありませんが、”売られる通貨サイド”は、まさにある意味金利環境も含めて”ファンダメンタルズに非常に合致した通貨の動き”で素直な動きであり、逆張り志向の小職としはつらいところ。このまま豪ドルが60セント、55円を大きく割り込んで行く場合は相場観を下方修正する必要が出てきます。

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2009年1月30日 (金)

大山さんありがとうございました、そして米GDP:津田

大山さん、燃油サーチャージよくわかりました、ありがとうございました。ポイントは”シンガポールケロシン45米ドル”ですね!

さて米国第4四半期GDPが発表になりましたが、予想値-5.5%(前期比年率)に対して-3.8%と事前予想ほどは悪化しませんでした。在庫投資がマイナスを抑制したようです。これを受けてダウも一時50ドルほどプラスに転じていましたが現在8155ドルと昨日の引け値近辺です。
ドル円は一時89.17まで落ちていましたがGDPを受けて現在89.75.、ユーロも1.2803から1.2875に値を戻しています。

ところでオセアニア通貨が弱いですね。豪ドルは2月3日のRBA理事会における0.75%~1.00%利下げを意識しているようです。一時0.6353まで下げて、現在0.6385、豪ドル円も57.00円まで下げて現在57.35です。
NZドルはRBNZのボラード総裁が「追加利下げの余地がある」と発言したこともあり朝方の0.5135から0.5062まで下げて現在0.5085、NZドル円も朝方の46円近辺から45.33円まで下げて現在45.60というところです。

それではHave a nice weekend!!

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オバマ氏の大統領就任演説への私見:竜河

オバマ氏の大統領就任演説は絶賛を浴びています。非常に素晴らしく、無数の人が勇気づけられたと思われます。ただ、それでも、以下の4か所が違う言い方であれば、筆者がもっとハッピーな気持ちになりますが。

 

下記の日本語訳は読売新聞によるものです。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081107-5171446/fe_090121_01_01.htm

 

“And each day brings further evidence that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet.(さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが、我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、日増しに増え続けている。)

--エネルギーを供給している人々がアメリカの敵であると捉えられやすく、思考の混乱が見られます。

 

“Know that America is a friend of each nation and every man, woman, and child who seeks a future of peace and dignity, and that we are ready to lead once more.(米国が平和と尊厳の未来を求めるすべての国々、すべての男女と子供の友人であり、我々がもう一度、指導力を発揮していく用意があると、知ってほしい。)

--1つの特定の国が、世界で指導力を発揮しようとすればするほど、世界の矛盾が深まり、人為的な災害から抜けられなくなる可能性は高まると思いますが。

 

“To the Muslim world, we seek a new way forward, based on mutual interest and mutual respect. To those leaders around the globe who seek to sow conflict, or blame their society's ills on the West - know that your people will judge you on what you can build, not what you destroy.(イスラム世界よ、我々は、相互理解と尊敬に基づき、新しく進む道を模索する。紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする世界各地の指導者よ、国民は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきだ。)

--西洋、東洋という分け方は非常に良くない。ブッシュ政権を批判してきた多くの外国指導者は必ずしも全ての西洋の国を敵視しているわけではありません。

 

“But those values upon which our success depends - hard work and honesty, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism.(しかし、我々の成功は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観にかかっている。)

--family value”も大事で、挙げてほしかったです。

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Australian Financial Reviewの面白い記事:津田

<この疲弊した時代への特効薬は前例のないものとなるかもしれない>

ゼロ金利でも不十分な時はどうなるか?米国が金融緩和により必要な通貨供給量の拡大を実現するためには2010年の暮れまでにFFレートを<-6%>に下げる必要があるとの試算がある。しかし問題はゼロ以下に金利を下げることは実質的に不可能であるということ。その結果として”ゼロ金利”でも景気実態から言えば”高金利”というおそろしいことになる。

通常景気がスローダウンすればFRBは短期金利をインフレ率以下に下げることによりインフレ調整後の実質金利をネガティブにすることができる。もしインフレ率が6%の時に金利が4%であれば実質金利は-2%ということである。実質マイナス金利に誘われて人々はお金を借り入れて消費や投資を行うことになる。

問題はインフレーションがゼロ%に低下した時にFRBは金利をインフレ率以下に下げられないということである。そしてこのゼロインフレ率は間もなく訪れると多くのエコノミストは予測している。明らかにFRBは人々に1000ドルを預けさせて1年後に950ドルを払い戻すことはできない。またそうなれば人々は単にお金の目減りを防ぐために銀行以外のたとえば”箪笥の中”に金をしまい込むことになる。

解決策は明白である。それは”FRBが慎重にインフレ率を引き上げる策に出る”ということ。上記のようにすぐさま必要とされる”6%”にインフレ率を引き上げるのではないが、しかしかなり高い水準に引き上げる必要性が出てくる。
そのための一つの方法は多くの紙幣を印刷することである。FRBは財務省証券や住宅担保証券を買い取り、ニューマネーで支払うことによりこの目的に合致することができる。この方法により現在のゼロ金利を実質マイナス金利にもっていく訳である。

過去FRBの責任者の99.99%はインフレ退治のために困難な時を過ごしてきたが、インフレ率を上げるために苦労したものはいないであろう。しかし今FOMCのメンバーの大半はデフレはインフレよりも”諸悪の根源”になりうるということに気付いている。

もちろん実質マイナス金利を実現しても景気回復には十分とは言えない。そのためにオバマ政権は金融システムを強化し、減税と財政支出の拡大を図っている。

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2009年1月29日 (木)

FOMCの結果は予想通り金利据え置き、長期国債購入の構え:津田

FOMCの結果が出ています。

内容は:

①FF金利誘導目標は0.00-0.25%で変更無し。
②長期債購入の構え-前回と同じ購入の可能性に留めたことから長期債売られ利回りが上昇する動きになっている。
③金利は当面低水準にとどまる見通し。経済見通しは重大な下振れリスク。信用状態は依然としてタイト。
④家計・中小企業向けに信用緩和のため資産担保証券貸出制度実施へ
⑤政府機関債とMBS(住宅担保証券)の大量購入を続ける。

この結果を受けて、利回り上昇、株価は+180ptsであまり変わらず、ドルは上昇。ドル円は一時90.72円まで買われ、ユーロは1.31近辺まで下落。
またRBNZはキャッシュレートを予想より大幅に1.5%カットして3.5%に下げました。

NZドルは0.5350から0.5250に100pts下落。豪ドルもFOMCとNZドルの下落の両方受けて0.6730から0.6630近辺に下落しています。

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2009年1月27日 (火)

いや若干リスク回避後退?:津田

おはようございます。きのうはオーストラリアデー休日。市民権の付与などいろいろ行事がおこなわれましたが、なかでも、”2009年オーストラリア・オブ・ザ・イヤー”を受賞したアボリジニ(先住民族)のミック・ドッドソン教授は「1月26日はアボリジニの国が外国人によって侵略された日と認識しており、オーストラリア・デーの他の日への移動を望んでいるのはアボリジニだけではない」と述べたのが印象的でした。

Professor Mick Dodson named the 2009 Australian of the year at Parliament House in Canberra.

ところで市場は”行ったり来たり”ですね?ドル円60円、ダウ5000ドル、ジョージ・ソロスによるポンド危機の再来、ポンド/ドルパリティー予想と、かなりセンセーショナルな字句が踊りますが、なかなか市場の期待通りにすんなり”メルトダウン”は起こらないようです。
悲観ムードで2月13/14ローマの休日G7に突入か、あるいは市場の再生エネルギーが高まるか、見物と行きます。

ではでは

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2009年1月21日 (水)

祝賀ムードに冷水ですね?:津田

いや、オバマ新大統領の就任演説が終わるやいなや、ダウが急落した感じですね?
市場にとってはオバマ演説もアトラクションの一つにすぎない感じですね。
今回、英銀RBSの巨額損失から火種がまた米銀に飛び火して、またまた金融不安がクローズアップされていますが、まあ世界中に火種はあるわけで、やはり主流は”リスク回避の動き”で”ドル高・円高”なんでしょうか?

そういう意味ではドル円60円、ダウ5000ドルと言っている人の方が現実直視型なのでしょうかね、、、、

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2009年1月20日 (火)

オバマフィーバー、似ているアメリカと中国:竜河

中国人とアメリカ人に似ているところは多い:スケールの大きなものが好き、派手好き、豪語癖、などなど。

 

そして、近年、感じているのは、英雄崇拝傾向も両国民の間で驚くほど似ていることです。

 

オバマ氏の大統領就任式に向けたアメリカメディアの報道過熱ぶり、民衆の興奮、周到に用意された演出など色々見ていると、アメリカ人は結構スター好きで、一人の人間に国家の運命、自分の将来を託している感じがします。

 

その点において、中国人もアメリカ人に劣らずスター好きです。一昔、毛沢東が“中国の救い星”であると讃える歌は各地で熱唱されていましたし、改革開放が始まった後は、鄧小平を改革の総設計師と賞賛する巨大な壁絵が至る所に描かれていました。

 

ただ、新中国建国後の政治・経済現状のおかげで、中国人の英雄崇拝心情は少しずつ冷めてきました。寧ろ、それとは対照的に、アメリカでは、8年に及んだブッシュ政権への失望、およびオバマ氏が史上初の黒人大統領との点が手伝い、高揚感、スターへの期待が頂点に達したように見えます。

 

中国人の英雄崇拝は皇帝による独裁政治が何千年も続いてきたことに由来すると思いますが、アメリカ人のそれは宗教(神)への信仰心と関係があるのではと勝手に推測しています。

 

どのような歴史的・文化的な背景があるにせよ、1つ断言できることは、英雄が歓迎されている時代は、大抵暗黒で、かつ、その暗黒時代の幕が閉じようとしている時です。

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2009年1月19日 (月)

かかしさん並びに株の専門家の皆さん質問です:津田

かかしさん、本日もまたわかりやすい株のレクチャーありがとうございました。いや世の中ドル円60円とかダウ5000ドルとか言う人が多くて、私も少々辟易しています。私はかなり天の邪鬼ですが、2001年豪ドルが47セントまで落ちていたとき、市場の見方豪ドル30セントには断固反対でした(といいますが50セントがボトムと言ってました)し、昨年7月の豪ドル円パリティー予想にも断固反対でした。(まあ98セントもパリティーも同じだ、、と言えばそれまでですが、、)過去を見ても1985年ポンドが対ドルでパリティー(1STG=1USD)に行くかどうか?というう大論争が起きましたが結局1STG=1.02USDあたりで止まったと記憶しています。なんで市場は下がればもっと下、上がればもっと上なのでしょうか?本当に投資目的で円を買うのでしょうか?米株を売った資金でどこの株を買うのでしょうか?景気下降局面が終了したとき米国の回復が一番早いのではないでしょうか?すみません、なんで興奮しているのか自分でもわかりません!!??

それで本題ですが、1月6日付の当地Financial Reviewに以下の記事が出ておりました。これに対するご意見はいかがでしょうか?単に偶然で、今年が最初の例外年になるのでしょうか?

「.米国の株式市場において歴史的に見て1932年以来例外なく、BEAR MARKETの翌年は最低21%株価が上昇している。これはたとえ今年米国経済が停滞する場合にも当てはまるということで38.5%下落した昨年とは違い今年は期待できるとのこと。因みに最初のBEAR な年の翌年1932年に株価平均は46%上昇している。」

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2009年1月17日 (土)

ニューヨーク市場so far, good or bad?:津田

月曜日のMartin Luther King Holidayを前に本日のニューヨークでは多くの指標、企業決算が発表になっています。内容的に相変わらず決して良くない。しかし昨日のECB利下げや政府によるバンカメ支援、更には米上院によるTARPプログラムの第二部可決を好感して一部リスク資産への資金流入も見られたようです。もっとも上伸後また今現在ダウもマイナスに転じていますが。
市場ではあいかわらずドル円60円、ダウ5000ドルなんて声がかまびすしいですね?ただ、しかし、ここまで皆が皆下を見出したら、このベア・マーケットも”市場の期待に反して”案外長続きしないかも??

<市場レベル>
       本日のレンジ   現在(NYK 1:00pm)
USD YEN  89.75-90.90       90.45
EURUSD  1.3111-1.3343    1.3235
GBPUSD 1.4631-1.4980    1.4665
EURYEN  117.80-120.70    119.70
AUDUSD  0.6629-0.6795    0.6670
AUDYEN  59.57-61.60       60.35
NYK DOW  8100-8363      8170
CRUDE OIL(Feb) 34.31-35.72    34.85
GOLD (Feb)      817.50-839.40  835.60

<bad news>
・対米証券投資(11月)-217億ドル(予想+150億ドル、前月-4億ドル)-米国は経常赤字ファイナンスできない議論再燃?
・鉱工業生産(12月)-2.0%(予想-1.0%、前月-1.3%)
・第④四半期決算-シティーG 一株損失 -1.72ドル(予想-1.082ドル)
           バンカメ一株損失 -0.48ドル (予想+0.056ドル)

・Sony Ericsson Q4 Net loss EUR 187mio (前年同期+EUR 373mio)

<good news>
・ミシガン大学消費者信頼感指数(1月) 61.9(予想59.0、前月60.1)
・米政府によるバンカメへの200億ドルの支援発表

<その他ニュース>
・中国人民銀行スポークスマン:ポールソン財務長官のglobal imbalanceに対する発言に対して「中国の貯蓄性向が国際金融危機を生み出したわけではない。米国の政策ミスと過剰消費が背後にある」
・ロシア中銀は6日間で6度目のルーブル・トレーディング・バンドの拡大を実施。USD/RUBは32.6675と1998年1月のデノミ実施以来の最高値をテスト。

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2009年1月15日 (木)

酒田五法のろうそく足:津田

Image002_2 

        ①  ②        ③    ④    ⑤      ⑥   ⑦    ⑧  ⑨  ⑩   ⑪    ⑫     ⑬
(それぞれの番号の真上の線が示す箇所を下に解説してあります)

上のチャートは過去2年間の豪ドル米ドルの週足の「ろうそく足」ですが、酒田五法のいくつかの典型パターンを表しています。こうして2年分を眺めますと、酒田の教えが生きていることがわかります。また「ろうそく足」とは別に短期線(20週)が長期線(90週)を上から下に交差(デッド・クロス-特に下降する長期線をデッド・クロスする場合は真性)することにより下方圧力の増大が確認できます。移動平均線(moving average)はかなり明確にトレンドを表し、特にゴールデン・クロス、デッド・クロスは“たまにしか現れない”重要現象であり、この現象が現れる可能性が高まった時には(出てからでは遅い)注意を払いたいところです。それでは逐次典型的パターンを説明いたします。

     高値で出た下ヒゲの長い線は「首吊り線」もどき。一見下ヒゲが長くて上昇力がありそうだが、ここを買ったら首吊りもの。

②「二つ星、三つ星」-次の上放れが買い増しの急所。(黒く見えますが長大陽線です)

③ 「やぐら」―大陰線のあと順次底入れとなる。下値を切り上げタイミング良く好材料が出ていきなり大陽線。

④ 「三兵」―上伸開始の象徴。ある程度底もみを経た後、陽線三本連続。(3本目黒く見えますが陽線です)

⑤ 「波高い線」もどき。通常の波高い線より上ヒゲが若干短い。―天底の兆し。

   しかも「波高い線」の実体の陰線が前日の陽線の引けより上で始まり値を下げて陰線となって前日の陽線に食い込んで終わるいわゆる「かぶせ」は‘“ドテン売りこし”。

⑥ 「たくり底」-実体が短く下ヒゲの長い線。反発上昇。

⑦ 「波高い線」もどき。通常の波高い線より上ヒゲが若干短い。―天底の兆し。

⑧ 「たくり底」-実体が短く下ヒゲの長い線。反発上昇。

⑨ 「上部の抱き線」-天井近し。

⑩ 「三羽カラス」―1ヶ月以上も相場が上伸したところで陰線は三本“ツタイ”で出る。

“ツタイ”とは前日の陽線の実体の範囲内から翌日の陰線が始まる。ただし最初の陰線が上放れた位置から来る“押さえ込み”は逆に買い線となるので要注意。今回は微妙だが結果的に「大三羽カラス」。

⑪ 「差し込み線」―前日までの連続陰線に急に陽線(画面上陰線に見えますが陽線です)が出るが、翌日前日の陽引けのレベルを下回ったところが追撃売りの急所。

⑫ 「鍋底」―122日から20日で鍋底形成。相場反転の用意整う。

⑬ 「波高い線」―翌日は“放れにつく”で売りから入ります。

(画面上いくつかの陽線が陰線のように黒く見えますがご容赦ください)

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2009年1月13日 (火)

ニューヨークは再び円高・ドル高の動き:津田

NYK am 11:30現在、NYKダウ平均は4日続落して始まり現在8508ドルと-91ドル。オバマ次期大統領への景気刺激策への期待も一巡、米雇用統計の弱い数字の影響が残り、プラス本日世界最大のアルミ製造会社アルコアを皮切りに決算発表がスタートするが警戒感が強い。また資源株以外にも個人向け証券子会社のスミス・バーニーをモルガン・スタンレーとの合併事業にする方向で合意が近づいていると報道されているシティグループやバンカメなどの金融株も軟調。

リスク回避の円買いの動きが強まりドル円は89.00まで下落。またS&Pはスペインの長期ソブリン債の格付けを引き下げ方向で見直すと発表したこともあり、ユーロは1.3289まで下落。
豪ドルも0.6826まで下落。クロスではユーロ円が118.70円まで、豪ドル円が60.83円まで、ポンド円が132.20円まで下落、また原油価格は1バレル37.63近辺まで下落とリスク回避の動きが鮮明になっている。

ドル円は90円を明確にブレークしており、下値は12月の87円台前半まであまり抵抗線はない状態。このまま円高が進めば本日の東京市場では日銀介入に注目が集まる。

以上  津田

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2009年1月12日 (月)

グリーンスパン元議長と未病:津田

いやしかし、”稀代の名議長”と言われ在職期間18年にわたったグリーンスパン元議長もサブプライム以来非難の矢面に立たされるケースが多いのは皮肉ですね?彼は確か在職中も加熱する米国経済に対して「根拠なき熱狂」と警鐘を発していたと思いますが。(未病対策を示唆??)

そういえばクリントン政権下で財務長官を務めたルービン氏も米シティーグループを辞任する意向を示しており、「自分自身を含めてこの業界の多くの人達が金融システムが直面している厳しい状況を認識できなかったのが極めて遺憾」とコメントしています。ただ日本のバブル時に破綻した諸金融機関のトップが裁判などで訴追されたのに反してグリーンスパンさんを断罪することは出来ないでしょうね。でもリスクを取っている個人トレダーの資産増大/減少という褒貶が一番はっきりしているけど、時としては厳しいかもしれませんね??

時として人類に警鐘を与える市場   津田

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2009年1月10日 (土)

NYK市場概況:津田

おはようございます。昨日のニューヨーク市況です。

発表された12月の雇用統計は予想されたとはいえ、改めて戦後最悪の不況を物語る内容でした。失業率は7%の予想(前月は6.7%→6.8%に修正)に対して7.2%と1992年以来16年ぶりの悪い数字。非農業部門就業者数は524千人減と市場予想とほぼ同じでしたが11月分は533千人減→584千人減とこれまた下方修正。昨年1年で258万9000人の雇用が減少したことになり、これは第二次世界大戦中の1945年の275万人以来で、就業者数減は12ヶ月連続、4ヶ月連続40万人以上減少などという記録まで付いています。

これを受けた市場の動きはまず、就業者数が予想の範囲内であったことから、対欧州通貨で米ドル買戻しが活発化しユーロは1.36台から1.34台前半に下落、豪ドルも71セント近辺から70セント台前半に下落です。またさすがに内容の悪さに株価は下落しダウも8566ドル近辺の安値圏(NYK 4:00pm)で、リスク回避の動きが激化しドル円は90円台前半まで、また原油価格も一時39ドル台前半まで下落しています。

主な通貨、株などのレンジ(9日):

           レンジ        現在(NYK 4:00pm)

USDYEN       90.18 - 91.65                 90.30
EURUSD       1.3415 -1.3750               1.3423
GBPUSD      1.5117 -1.5347                1.5132
EURYEN       121.24-125.26               121.37
GBPYEN      136.56-139.90               136.75
AUDUSD      0.7014-0.7198               0.7040
AUDYEN      63.35-65.14                  63.60
OIL             39.36-42.62                  40.50
DOW           8550-8777                   8566

では

Have a nice weekend!

Joe Tsuda 

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2009年1月 6日 (火)

株式相場の長期見通し:竜河

長期的に株価がどうなるのかは、これから世界経済がどこに向かうのかによって決められます。