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2020年9月29日 (火)

「びっくり円高が消えた二つの理由」

「びっくり円高が消えた二つの理由」

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 2016年1月の日銀マイナス金利導入で本紙は「マイナス金利は円高」と予想したが
それ以降、1ドル120円から毎年、小幅ながら円高が続いている。

 ただその円高の勢いには20世紀ほどのものはない。20世紀ならば、1日に5円、10円と円高が進む日もあった。
プライスが消えて一瞬のうちに大台が変るすさまじさがあった。
日本全体に円高トラウマが出来て、今も少し円高が進めば、恐怖が蘇り騒ぎだす。

 ただ事実を見ると2016年以降の円高は毎年小幅なものだ。1日で5円、10円どころか1円以上円高が進む日も殆どない。
もちろん、円安にはなっていないが明らかに「恐怖の円高」は消えている。1998年のLTCM破たんで2日で24円、年間で36円の円高や
1985年から3年間、240円から40円ずつ円高が進んで120円になったようなパニックは起きない。

 さて円相場が平穏になった理由は二つある。

一つは常々言っている貿易収支の均衡(最近は小幅赤字)だ。大幅円高が起きる時は
10兆円以上の貿易黒字があった。投機家がドル円をかなり低い水準で売ってしまったと思っていても
翌日は、輸出業者がもっと低いところを売ってくれて儲かったものだ。
 今はドル売りにそういう輸出業者のフォローがなく、ドルを売ったら自分で買い戻すしかない。出遅れれば損金となる。

二つ目は、円キャリーが消え去ったことだ。日本だけが低金利の時は、海外勢が円を借りて高金利通貨や新興国に投資することが流行った(例:LTCM=今のFX)。

 円キャリーの造成(円売り)は、増税時期が各主体で違いマチマチで、輸出も出ることからあまり目立たない。


ただ円キャリーの巻き戻しは大きなニュースがあって集中して起きることが多い(LTCMや他の経済ショック)
その時に急激な円高となる。輸出業者のドル売りも重なる。
 最近は世界全体が低金利なのでわざわざ日本円で借りる必要もなく、巻き戻しの円買い集中もない。
日本の投資家のリパトリも円買い要因だが、日本の投資家は海外のヘッジファンドと異なり
頻繁に売買しないし益出しもしないので急激な円高を引き起こさない(GPIF、生保など)。あるとすれば
 大型買収案件やその撤収か


以上、「貿易均衡」と「円キャリー消滅」がパニック円高を失くしたと言えよう。
ただ「びっくり円高」は消えたが「びっくり円安」になる需給の大きな変化はまだない。静かな相場が5年ほど続いている。

(今のようなオンラインで相場がリアルで見ることのできなかった20世紀には夜中に叩き起こされたり
朝目覚めると相場の景色が変わってしまっているような円高ショックが何度もあった)

 

 

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