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2019年12月25日 (水)

トルコリラ「次から次へと外交内政問題、リラ下落」

トルコリラ「通貨最下位(同)、株価8位、次から次へと外交内政問題、リラ下落」(失業率 小売売上→) 

 やや景気が回復、経常収支の黒字化、インフレも25%のピークから一時一桁台になるほど落ち着いてきたところに、従前から予想していた外交、内政の問題でリラが売られた。週足では19円に乗り切れなかったこともありボリバン下限まで下落、日足は一時、ボリバン下限を割り込んだ。

エルドアン大統領は、ロシアから購入したS-400ミサイルシステムを巡って米国側から示された制裁を実行した場合にはトルコが報復を行うと発言した。また米国がトルコストリーム(ロシアの天然ガスを黒海とトルコを経由して欧州に輸送するパイプライン)に関して制裁を示唆したことにもエルドアン大統領の怒りを買った。さらに米上院が1世紀前のオスマン帝国時代に起きたとされるアルメニア人虐殺事件について「ジェノサイド(虐殺)」と認定する決議案を可決したのに大統領は反発しトルコ南部のインジルリク米軍基地について「必要なら閉鎖する」と述べた。
 

内政では、与党AKPを9月に離党したダウトオール元首相が、新党「未来党」の設立を発表し、現政権が「権力維持しか考えていない」と批判した。外交内政の混乱が大きくなるとせっかくの景気回復が挫折してしまう。


 さて為替面では最近は国営銀の介入がないとされている。通貨安で伸びていた輸出は10月、前年同月をわずかに下回るなど陰りがみえてきた一方で、輸入は8%増と急増している。政府が輸出促進のためにある程度のリラ安を容認しているのではないかとみられている。ただ一方で当局はボラティリティーを抑え相場を下支えするために一部のデリバティブ取引を制限、銀行が扱う外国人による期間7日以内の為替スワップ、フォワード、オプション取引を一定水準以下にするよう通知した。スワップ市場への介入により、リラ売りやリラの売り持ちが難しくなる。尚、1月8日にはトルコ・ロシア首脳会談が開催される。

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