「トルコはどんなリラ防衛策をとったのか、通常政策から、海外の支援、評価、と元気づけまで」
(通常のリラ防衛策)
*為替変動で利益を上げている企業に罰金
*介入(外貨準備が900億ドルから600億ドルに減少)
*上場銀行2位のアクバンク、外貨建てシンジケートローン借り換えに成功
*新規のインフラ開発を事実上凍結する。財政規律を重視し、金融市場の信頼回復を優先する姿勢を示した
*トルコ中銀はリラ建て預金準備に対して支払われる金利を7%から13%に引き上げ
*トルコ当局は期間が1年以上のリラ建て銀行預金に課す源泉徴収税の税率を現行の10%からゼロに引き下げる一方、期間が1年以内の外貨建て預金については税率を15%から16%に引き上げた。 期間が1年以内のリラ建て預金については税率を12%から3%に引き下げ、6カ月以内の預金については15%から5%に引き下げた。
*銀行監督当局は国内銀行が外国投資家と行う為替スワップの取引量を、規制上の自己資本の25%までに制限した。
*トルコ政府は企業が破産申請の判断をする上で外貨建て債務による損失を含める従来の規則を撤廃
*エルドアン大統領は、不動産の売買および賃貸の契約を外貨建てで行わず、自国通貨のリラ建てで行うよう義務付けた。
*エルドアン大統領は輸出・輸入業者以外は外貨で事業を行うべきでないと述べた。大統領はこれより先、不動産の売買および賃貸の契約を外貨建てで行わず、リラ建てで行うよう義務付けたた。すでに外貨建てで結ばれた不動産売買・賃貸契約については30日以内にリラ建てに変更する必要があるという。 トルコでは、不動産売買・賃貸契約は特に小口の案件では外貨建てが通例だった。
*トルコは政府、乗用車やアルコール、たばこなど一部の米国製品に対する関税を2倍に引き上げた。追加関税は乗用車が120%、アルコール飲料は140%、葉タバコは60%。この他、化粧品、コメ、石炭などの関税も2倍に引き上げられた。
(海外からのリラ支援)
*中国大手企業がリラ急落を背景にトルコ資産の買いの好機とした
*ゴールドマン・アセットがトルコ債購入
*カタールがトルコに150億ドルの投資を約束。資金はトルコ国内の金融市場や銀行に回るという。
(精神面)
*エルドアン大統領は、「わが国経済への攻撃は、礼拝への呼びかけや国旗に対する攻撃とまったく変わらない。目的は同じ。目的はトルコおよびトルコ国民をひざまずかせ、捕虜にすることだ」と述べた。 さらに「為替相場をもってトルコを屈服させられると考えている者たちはじきに、自らの誤りに気づくだろう」と語った。 国や機関を名指しはしなかったが、過去に西側の格付け会社や投資家をリラ売りの犯人と批判している。
*エルドアン大統領は、通貨リラが値下がりする中、国民に対し保有するドルや金をリラに両替するよう訴えた。 大統領は「もしドルや金を枕の下に入れているのなら、銀行でリラに両替すべきだ」と発言。「これは国家の戦いであり、経済戦争を仕掛けた者に対するわが国民の報いとなる」と語った。「ドルがわれわれの道を阻むことはできない。心配無用だ」とも述べた。
(国際機関の評価)
* 国際金融協会(IIF)は、現在のトルコリラ相場について適正価値を著しく下回っているとの見方を示した。国内景気の減速や輸出動向加速で国際収支見通しが改善し、向こう1-2年間、リラは底堅くなると予想した。
(参考1)
欧州復興開発銀行(EBRD)がトルコリラ相場が40%下落した場合に備え、内部的にストレステスト(健全性審査)を実施していた(リラ暴落前)。
EBRDはストレステストの結果、この規模でリラ相場が下落した場合は損失は出るものの、衝撃には耐えられると判断。結果は理事会で加盟67カ国・機関に報告された。
関係筋は「(リラ相場の急落は)深刻な事態だが、EBRDの財務基盤を揺るがすものではない」とした。EBRDが2014年に対ロシア投資を打ち切ってからは、トルコが最大の投資先となっており、プロジェクト、融資、株式保有などで合計73億ユーロを投入している。
(参考2)
トルコは今回のリラ急落に際し、IMFにもEU、独にも支援を求めなかった
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