2011年の株式市場を読む(その3) : かかし
日本の株式市場の停滞が続いています。先週の日経平均株価は2.38%と大幅に下落しました。これで3週連続での下落となってしまいました。
今週はFRBによるQE2や、週末に発表される10月の米国雇用統計をめぐって、為替市場や米国株式市場がかなり揺れそうな気配です。日経平均株価にとって、その影響は国内の経済指標や決算発表などをはるかに上回ると見ています。
したがって、毎度で恐縮ですが、今週も「徐行運転」です。
そこで、頭を切り替えて来年のことを考えてみたいと思います。「2011年の株式市場を読む」も既に3回目となりましたが、今回は先週金曜日に経済産業省が発表した9月の鉱工業生産動向速報を使って考えてみたいと思います。
この鉱工業生産動向をベースに作成した景気指標である在庫循環モメンタムは、次のようになっています。急速に調整が進んでいる様子が鮮明です。
最近の動きに絞って、多少詳細にみると、下図のようになっています。リーマンショックの翌年、2009年2月に-29.81で大底をつけて、2010年の2月に34.92で天井となっています。そして下落基調に転じ、2010年9月には5.95となりました。株式市場はこの動向とかなり連動しています。
黒い実線で示した出荷金額の基調が弱まっており、9月は前年同月比+11.77%まで低下しました。一方、黒い点線が示す在庫金額は積み上がり傾向を示しており、9月は+5.82%になっています。したがって、9月の在庫循環モメンタムは11.77-5.82=5.95と計算します。
余談ですが、在庫循環モメンタムは景気先行指標です。通常の景気循環には先行して動くため、転換点では景気の実感と異なった動きを見せます。通常の景気指標が強く、企業業績も良いのに、在庫循環モメンタムはなぜ下落しているのかと指摘されることが多いのです。もちろん、底打ちの局面ではちょうど反対の指摘が頻繁になされます。その状況を図で示すと、下記のようになります。株価は景気先行指標に沿って動くことが多いようです。
では本論に戻りますが、注目しているのは在庫循環モメンタムの下落のピッチの速さです。このペースで進むと、かなり近い将来に底打ちしそうな様子です。
なぜでしょうか? 実は8月、9月は本来であればもっと急速に下落していたかもしれないのです。それは、部門別に詳細に見ていくとわかります。紙面の都合で長くなりすぎてもいけないので、ご興味のある方は、私の株式ブログ「スケアクロウ投資経済研究所」の「9月の鉱工業生産動向を出荷在庫バランスで読む」をご参照ください。
8月や9月は暑夏の影響で、飲料や夏物衣料などの非耐久消費財が好調であったことや、エアコンに加えて、エコカー減税の切れる乗用車の駆け込み需要などから耐久消費財も好調であったことが大きく影響しています。したがって、今後はその反動が出る可能性が高いのです。
となれば、来年、つまり2011年の鉱工業在庫循環モメンタムは比較的に早い時期に底を打って上昇に転ずる可能性が高いと見ることができます。
もしその局面で、大幅な円高が反転して円安に振れるようなことがあれば、株式市場の上昇は加速しそうです。
したがって、来年は今年とは打って変わって良い年になることを期待しています。
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