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2010年10月28日 (木)

人民元批判に距離を置く豪州:津田

先日のG20ではその声明文で“競争力強化のための通貨切り下げを回避し、市場原理に基づく為替レートを支持”する旨謳われたが、豪州の金融当局者の見方は若干異なっているようだ。つまり、自分たちが先頭に立って人民元切り上げを主張しなくとも、米国はじめ回りが騒ぎ立ててくれるため、敢えて中国など大事な貿易相手国の反感を買う必要はないとの姿勢が見え見えである。
今週スワン財務相は議会において「G20合意は豪州に恩恵をもたらす。ここ数カ月見られる競争力増進のための通貨切り下げは望ましくない」と表面上G20の合意を擁護する立場を示した。ただG20において同財務相は「通貨改革は世界経済における不均衡是正の多くの手段の内のほんの一つにすぎない。通貨問題は重要であるが、より重要なアジェンダは先進国と新興国両方における構造改革問題である」とも発言している。

一方、スティーブンスRBA総裁は一昨日キャンベラで行われた豪州産業グループ会議において「為替の柔軟性を更に拡大させてもそれは世界経済における不均衡の万能薬ではない。世界の為政者、当局者は通貨の柔軟性が、“より現実的に”実現できる手段を考えるべき。為替レートを変更させても世界経済の発展を創造することにはならず、単に利益を再分配するだけである」と述べた。
また「為替の柔軟性が効果を現すのは、特に中国を含めたアジア各国の内需の拡大を伴う場合に限られる。ただアジアの国々は難しい問題を抱えている。つまり昔ながらの慎重な財政スタンスと中国をはじめとした貯蓄率の低さである。中国は国営企業から個人に富を分配すべきであるが、それは遅々として進捗しない」と述べた。

またスティーブンス総裁は、ガイトナー財務長官を先鋒としたG20における中国通貨政策に対する声高の批判とは対照的に、「アジア諸国の通貨の柔軟性実現には、より現実的なタイムテーブル(実行スケジュール)が必要」と述べている。
中国はガイトナー発言に対して、「中国の通貨政策の今後の進捗は全面的に中国国内経済状況による」とかわしており、中国人民銀行副総裁のYi Gang氏も“人民元改革は漸進的であるべき”と繰り返している。事実中国の人民元切り上げも止まっている訳ではなく、今年の年央以降3%弱切り上がっている。ただその間ドル円は91円から80円まで10%以上上昇しているわけで、まさに中国は“柳腰”風に圧力をかわし、その圧力が倍加されて国際的な通貨切り上げ要求などない、“物言わぬ通貨円”に振りかかっているという、皮肉な結果になっている。
スティーブンス総裁は、また同会議においてアジア諸国の豪州経済に及ぼす影響の大きさに言及し、「世界経済の重心はアジアにシフトしつつある」とまで述べている。
実際豪州輸出の60%は中国、日本、韓国、インドに向かっており、その下に来る米国、ニュージーランド、欧州との水を開けつつある。
かつて“米国がくしゃみをすればアジアが風邪をひく”と言われたものだが最近の事情は、“米国は風邪をこじらせて肺炎になりつつある一方、悪性風邪をひいたアジアは驚くほどの速さで風邪から回復しつつある”となる。
豪ドルは今月変動相場制移行後初めて対米ドルでパリティーとなった。豪ドル高の輸出産業への悪影響や税収減など負の側面も指摘されるが、一方スワン財務相は「豪ドル高がインフレ抑制に役立っている」と豪ドル高メリットも口にしている。
商品相場が豪ドルとパラレルに上昇している限り、豪州金融当局者は何も優良顧客中国の為替問題に首を突っ込んで中国を逆なでする必要はない。
嫌な役割は米国、日本、欧州はじめ各国が引き受けてくれるのである。

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