白川日銀総裁の包括緩和について思うこと:水谷
白川日銀総裁が包括緩和なる新語で追加緩和策を発表しました。資金を潤沢に供給する量的緩和とバーナンキFRB議長の造語の信用緩和を足して2で割った緩和策と何らか複雑な緩和策のように聞こえます。CP, ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)という従来リスク資産の購入は日銀としてはなかったことを始めるらしい。市場にはリスク資産を担保対象として資金供給する姿勢に驚いているようです。最初の反応はものめずらしさも手伝ってドル上昇、株上昇の反応となりました。しかし、中身を見ると次第に市場は冷静になっているようだ。
35兆円の創設基金を設立となっており、そのうち35兆円は従来の新型オペ(20兆円3ヶ月、10兆円6ヶ月)で、残りの5兆円が新たな資産購入の枠ということになる。そして3.5兆円が長短国債買い取り分、残りは1兆円がCPで5000億円分がETFとREITと言うことです。EFTとREITは市場規模はまだまだ小さい。そして価格下落リスクは国債、CPよりも遥かに高い。規模が小さいから日銀としてもリスクを取って、不動産会社、ETF保有会社に資金供給をして、お金もめぐりの良くしたいとの思いが伝わる。反対に資産デフレが続けばREITはしこったまま日銀が保有することとなります。アナウンス効果は抜群だが、結果はどうか。
このようなリスク資産を事業会社、不動産会社が金融機関を経由して日銀が買うことになると推測されますが、果たして経由地の銀行はその会社の内容を日銀には報告するのだろうか。危ない会社がREITを持ち込み、すんなりと審査が通るのだろうか。建前は積極的にリスク資産を買いますと日銀は言うものの、実務ではどうか疑問に思います。不動産会社は短期資金を必要としています。資金繰り悪化でここ3~4年ほどで大手の不動産投資会社が多数倒産しました。
元々デフレ下の日本経済は資金需要が減退しています。企業は内部留保をアリのように増やし、設備投資には向わないようです。それは先の日銀短観の先行きDIで明らかです。資金需要が減退しているときに、日銀が資金を潤沢に供給しても企業は積極的に借りたいとは思いません。大手邦銀資金担当者はバブル崩壊後会う度に「資金需要がぜんぜん駄目です。」と口癖のように繰り返されるのを聞かされました。私はむしろ財政政策で例えばエコカー減税継続とか、景気を刺激し、そして継続的にメーカーの設備投資計画を助長するような政策、或いは批判のある公共投資を一時的に復活させるということは積極的にすべきであると思います。需要サイドから資金を借りるマインドに変化させる努力が必要だと思います。公共投資には政府はきっちりと事業査定をし、後ろ向きではなく、十分費用対効果を吟味して決定すべきです。蓮舫さんに頑張ってほしい。(もう少し柔軟に)成果が上がり、関連の建設業者が潤い、そしてその金が消費者に回り、購買力上昇、消費上昇へと向わせる努力が必要ではないかと思います。日銀ではなく、政府が包括緩和の需要掘り起こしに本腰を入れるべきだと思います。地方は酷い状況です。キリギリス的生活を復活させないといけません。
為替市場からは、ちょっと少ない新たな量的緩和策に不満の声があるようだ。私はむしろ6ヶ月の新型オペの供給量を20兆円に倍増する方が、良かったのではないか。どうしても来月のFOMCでの追加緩和策に焦点が当てられることになり、FRBは国債購入などの策に打って出てくると予想されます。国の規模が違うから日米比較は難しいが、どうしても日銀の追加緩和策が貧弱に映ってしまうことは否めない。
政府は赤字国債の上限枠など一時棚上げにして、短期に景気浮揚する補正予算を組まないといけないのでは。既にエコカー減税廃止で自動車メーカーは急速な生産落ち込みに年後半陥りそうです。税収が景気浮揚で増えるというリスクを政府は取るべき時代が来ているのではと個人的には思っています。第4四半期のGDPは相当酷いものとなりそうだ。菅首相頼りの日本経済か。
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