G20財務相・中央銀行総裁会議を終えて : かかし
今朝は、株式関連の分野での話題をあれこれ検討してみたのですが、頭の中をG20が占有してしまっていて、どうしても他の話題が浮かんできません。そこで、策を弄するよりも、昨日私の株式ブログ「スケアクロウ投資経済研究所」に書いた記事をそのまま転載させていただきたいと思います。決して手を抜いたわけではないのですが、あらかじめお詫び申し上げます。
「G20財務相・中央銀行総裁会議を終えて」(「スケアクロウ投資経済研究所」、10月24日)
G20を終えて、日本は「為替介入はダメよ」と書いた首輪をぶらさげられて帰国したような印象があります。
振りかえってみれば、日本は以下のような戦略をとるべきだったかもしれません。
(1)まず、他国に迷惑をかけようと、通貨安競争の元凶になろうと、徹底的に円安にする。たとえば対ドル120円。
(2)G20が近づくにつれて、「日本は円安を望まない」「為替は適正水準」と繰り返します。
(3)G20 直前になると、「日本は世界のために円高にする努力を惜しまない」「円高は国益である」と一段とトーンを高めます。ドル円を100円程度まで円高に持って行くように為替操作をします。
(4)G20では、「日本は円高にする努力をした」と自慢して意気揚々と会議に臨みます
(5)ただし、これは見え透いているために、批判を受ける可能性があるので、適当な煙幕を張ります。たとえば、各国の経常黒字や赤字をGDPの4%以内するというような、皆を煙に巻く話題を提供します。なぜ4%かはどうでもいいのですが、2%とすると貿易黒字国の一部が発狂してしまいますから、適当に4%程度としておきます。
(6)これで、1ドル100円程度の円安水準でも、各国に喜ばれるわけです。
個人的には、このような戦略は好みませんが、どうも似たような戦略を実践した国があったような気がします。これを実践できるかどうかは、政治家としての資質や能力の問題もあるのだろうと推測します。
というわけで、市場が決定した(determined)為替に対して、為替介入などの操作はしにくくなったようです。短期間に何円という大幅な変動がない限り、為替介入は正当化出来なくなったわけです。
となると、円はどうなるのか?円高への歯止めが期待しにくくなったようです。財団法人国際通貨研究所が算出した最新の購買力平価を輸出価格ベースで見ると、1ドル68.76円。とうとう70円を越えました。放っておけば、とんでもない円高になるかもしれないということです。
それにしても、なぜ購買力平価がどんどん円高へ振れていくのか?おそらく、デフレを野放しにしている政府・日銀の方針が色濃く影響していると思います。もちろん為替に対しては「断固とした」姿勢を政府が示す一方で、日銀もデフレに対して「許容しない」と勇ましいのですが・・・・
今年に入ってからの日米の株価乖離とドル円の動きを重ねると見事に一致しています。要するに、日本の株式市場はドル円の動きで決まっています。そのドル円に対して「円高」の首輪をつけられてしまったのですから困ったものです。
「『反省』だけなら○○にもできる」というコマーシャルがありましたが、「『断固とした』という言葉だけなら政治家にも言える」ということなのでしょう。
国会議事堂内での写真撮影がどうしたこうしたということより、もう少しマシな議論を政治家の方々にしてもらいたいところです。
以上が昨日の記事からの転載です。
以下は蛇足ですが、定例のご報告です。
先週の日経平均株価は0.77%下落しています。
中国の基準金利引き上げショックで大幅に下げた米国株式市場を映した水曜日の下落が大きく足を引っ張りました。
一方、ダウ平均株価は0.63%上昇したため、日米の株価乖離が一段と進んでいます。
そこで今週ですが、本格的な決算シーズン入りとなります。経済指標も盛りだくさんです。しかし、株式市場へのインパクトが格段に大きい為替から目が離せないようです。
となると、11月初めのFOMCのQE2の規模が気になるわけですが、株式市場orientedというより、株式市場determinedな気質の米国で、FRBが株式市場の急落を招きかねないような規模縮小という政策を採る可能性は小さいと見ています。
したがって、円高に要注意ということで、「徐行運転」を継続せざるを得ません。
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