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2010年9月24日 (金)

呂さんの人民元のQ&A

「呂さんの人民元のQ&A」

4月の呂さんの人民元Q&Aですが、当時と中国政府の考え方は変わっていないようですね。

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2010年4月13日 (火)
中国人民元切り上げについてのQ&A:  呂 新一
今朝、日経CNBCに出演し、中国人民元についてコメントさせて頂きました。

その主な内容をサマリーしてみると、以下のようになります(ただし、時間の制限で一部説明できなかったことをここで補足しました)。
なお、Qは日経CNBCキャスター、Aは筆者

Q:中国政府は人民元改革をどう見ていますか?
A:察するに、中国政府は自国通貨について、ゆくゆくその国際化、即ち、世界で信用され、強い通貨になることを狙っています。そして、中国の経済発展について、産業構造を現在のローテク/労働密集型からハイテク/資本密集型に転換することを考えています。言い換えれば、日本みたいに技術立国を目指しています。人民元が緩やかに高くなることは、この2つの目標に合致しています。
ただ、産業の構造を転換させると言っても、技術が一朝一夕で生まれるわけではないので、転換に時間がかかります。そこで、緩やかな人民元高はローテク産業に転換・脱皮への圧力をかけると同時に、転換のための時間も与えます。その意味では、人民元高のペースが緩やかでなければなりません。

Q:人民元切り上げのⅩデーはいつですか?
A:市場にその正確な日にちを予測できないようにするのは、中国政府のつとめであり、腕の見せる所です。

Q:一気に切り上がるやりかたと変動幅を拡大するやりかたがあって、どっちが採用される可能性が高いのですか?
A:アメリカに言われたので、人民元をデジタル的に切り上げ、そして、来年になってまたアメリカに言われ、またデジタル的に切り上げ、そのようなことをしていたら、中国の自主権は完全に無くなります。従って、(人民元の)変動幅を拡大して、その範囲内で時には政府が自らの意向で人民元レートを誘導することは、固定レートにしておいて、時にデジタル的な切り上げをするよりも、市場原理に近い上、中国の自主権も確保し易い。従って、変動レンジ拡大の方は採用される可能性が高い。
ただ、アメリカ側の不満があまりにも大きく、変動幅拡大だけではとても収まらないと中国政府が判断すれば、デジタル的な切り上げと変動幅の拡大を同時に行う可能性があります。ただ、その際も、切り上げ幅は小さなものに止まると思われます。

Q:年末までの中国人民元上昇幅をどう見ています?
A:1%-3%の上昇と見ています。と言うのは、2005年7月当時、中国が人民元の改革に着手する時から、今まで約5年の間、中国人民元は約15%上昇(1ドル=8.11人民元 ⇒ 1ドル=6.825人民元)しました。平均すると、1年間約3%の上昇でした。もっとも、リーマン・ショック以降、中国政府が人民元レートを固定したことを考えると、(金融危機を除いた)平時の年間上昇率が3%を超えましたが、アメリカの景気がまだ完全に回復していないため、3%の上昇は1つの限界でしょう。

Q:国民党が共産党に敗れたのも、天安門事件が起こったのも、背後にインフレの高進がありました。中国はインフレ抑制のため、人民元をもっと高くすべきではないのか?
A:確かに、歴史はそうなっています。ただ、今の中国は、インフレがそこまでのリスクになっていない上、インフレを抑制するには、主に金融政策を使うべきで、通貨政策は補助的な役割しか果たせません。

Q:3%程度の人民元切り上げで、アメリカの議員は満足しますか、議員の中で40%の切り上げを求める人もいますが。
A:そういった議員達の過激な要求は、地元選挙民に向けたポーズでしょう。そもそも、中国から輸入する多くの製品はもうアメリカで生産していません。人民元が高くなったことで、輸入先が中国から東南アジア、或いは他の地域にシフトするだけです。雇用はアメリカに戻ってきません。アメリカの議員もそういうことは分かっています。
その上、中国と長年、色んな分野について交渉したことで、アメリカの議員達は中国が何でも聞いてくれる国ではないことも認識したと思われます。
さらに、過去5年間、中国人民元は15%しか上昇していませんでした。そこで、今、一気に数十%切り上げれば、中国経済そのものが崩壊する可能性はあります。そうなったら、アメリカにとっても何も良いことがありません。
(CNBC):そうですね。アメリカと中国は既に持ちつ持たれつの関係になっています。朝鮮半島の核問題で中国に議長国になってもらい、イランの核問題もあります。

Q:何%ぐらいの上昇であれば、中国国内企業は耐えることができるのでしょうか?
A:中国政府が最近、行ったアンケート調査(ストレステスト)で、企業側からの回答は1%-3%の範囲内に集中しています。それをさらに詳しく見ると、紡績など付加価値の低い産業、中でも特にマーケットシェアが小さい中小企業の方は、耐えられる上昇幅の上限が低い。一方、こういった企業ほど、技術革新、他業種への転換などは図りにくい。その意味では、中国政府は、大企業よりも労働力の受け皿になっている中小企業のことを考え、できるだけ人民元の上昇ペースを抑制していくと思われます。
最も、時間が経つにつれ、中国企業の対応力も高くなっていくでしょう。

Q:人民元の切り上げは、円高を誘発するでしょうか?
A:人民元切り上げが発表される瞬間、同じアジア通貨、同じく対貿易黒字を積み上げた国の通貨として、円が連れ高になる可能性はあります。
ただ、長期的に見ると、もし、米政府・議員が主張しているように、人民元切り上げで米国の貿易収支が改善するなら、いずれ、米ドルが強くなり、円が米ドルに対して弱くなる筈です。

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