ユーロ圏経済見通しにばらつき:水谷
ユーロが強いのが際立ちます。そしてユーロ圏各国によって緊縮財政をとることにより、ばらつきが目立つようです。
良い国からは、スペインがあげられます。少しえこひいき気味ですが。財政赤字が問題で9年には対GDP比で11.2%であったものが、今年は9.3%まで下がる見通しです。11年には緊縮財政により6%まで下がる見通し、そして13年には欧州連合の加盟条件としての安定協定3%をクリアするとのことです。11年には予算が10年比で16%削減すると方針をサルガド経済相は明言します。日本の国家予算でいうと、80兆円の予算を67兆円規模にするようなもので、税収が今年度通り見込めると44兆円の赤字国債発行が31兆円に抑えられるというわけだ。今年のGDPはマイナス成長であるが、来年はとんとんの水準にまで回復する。スペイン国債10年の利回りはここのところ4.2%で落ち着いている。しかし、一つ釘を刺しておくと、不動産バブルの後遺症は至る所で見られ、本当の景気回復には程遠いと言うのが本当のところです。
反対に最近目立つのはアイルランドの財政問題、そして信用不安です。下記グラフはアイルランド国債10年とドイツ国債10年の利回り推移です。9月に入ってからの両者の利回り格差は拡大の一歩です。ドイツ国債が現在2.25%, アイルランド国債が6.95%です。その差が466bpsと9月1日の353bpsからは大きく広がりました。こちらもITバブル崩壊の余波を受けた結果と言えます。アングロ・アイリッシュ銀行が国有化され、資産を2分割することで再生を目指す方針であると言われています。しかし、市場からはNOと言われているようであり、格付け機関ムーディーズ社は格下げに踏み切りました。国家財政にしても対GDP比では今年25%の財政赤字を記録する見通しです。
またベルギーの政治空白をリスクとして指摘する記事を目にしました。民族がフランス系とオランダ系に2分割しており、これがそもそもの政治空白を生んだ要因です。オランダ系の新フランドル同盟が6月の総選挙で第1党に躍進するものの、連立政権交渉に失敗して現在に至っています。10年国債は3.13%とドイツ国債を88bps上回った水準です。でも健全ですね。公的債務残高が対GDP比で97%とユーロ圏では、イタリア、ギリシャについで高いのが懸念要因です。しかし、ベルギーはダイヤモンドの研磨技術では世界有数であり、多くの産業が存在し、経済的には豊かと言えます。貯蓄が約1兆ドルと対GDP比で180%と高い。財政赤字は4.5%とユーロ圏では最低クラスです。日本同様に財政赤字を対外依存することなく、国内の貯蓄でまかなえると言える。状況からしてユーロ売りの材料にはならないのではという水準です。
ユーロ高の基調が強い。それはFRBが追加金融緩和策に11月初旬のFOMCで実施するのではとの臆測から、金利低下、ドル売りの流れになっているため、結果としてユーロ買いになっている面があるのではと思います。アイルランド、そしてポルトガル、ギリシャも財政赤字問題があり、このようなユーロ売り材料が出ると、どうしても利食い売り材料にされる傾向があります。相場はどうしてもポジションが一方に傾くと不安感が増してきます。ガス抜きを時々する必要があります。格好の利食い材料の標的にされます。ガス抜きが終ると再びユーロ買いの相場となります。それが現在のユーロ相場ではなかろうか!
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