« 豪ドルNZドルテク | トップページ | 月曜早朝シドニー市況:津田 »

2010年9月 6日 (月)

2011年の株式市場を読む : かかし

 早いもので、2010年も3分の2が終わってしまいました。今年もあますところ120日ほど。そこで、今日は少し長い目で今後の相場展開を読んでみようと思います。

 結論から先に申し上げておくと、2011年は株式投資にとってかなり良い年になると考えています。

 昨年は春先以降、株式市場の上昇を期待しました(「4月の鉱工業生産動向を読む200961日)。出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いた景気指標である「在庫循環モメンタム」が反騰に転じたことが理由でした。幸い株価は3月を底に20101月にかけて55%近くの上昇となりました。

 今年は、一転して警戒スタンスを取りました。特に年後半の悪化を心配しました(「来年の株式市場は?20091221日、および「2010年後半の株式市場を考える201076日)。懸念したように、年後半になって景気の減速感が広がっています。在庫循環モメンタムが頭打ちから下落に転じることが、予想の背景でした。

 来年は、下落が進む在庫循環モメンタムが早々と底打ちに転じると見ています。したがって、株式市場も上昇に転じ、かなり良い年になりそうだと期待しています。

 それでは、日本の株式市場に重大な影響を及ぼす米国の在庫循環モメンタムを確認しておきます。

20100904

 頭打ちから低下傾向が鮮明になりました。面白いことに。100年に1度の大不況と大騒ぎしたリーマン不況も、この指標から見る限り、石油危機のころとマグニチュードでは大きく変わらないようです。気をつけたいのは、米国の景気減速が「2番底」というような性格のものではなく、通常の景気サイクルの下降局面にすぎないものらしいということです。

 この米国の景気サイクルは日本のものと極めて高い連動性を維持しています。日米の株式市場が、為替による影響部分を除けば、強く連動しているのと整合的です。

20100904_2

 日本の鉱工業在庫循環モメンタムをもう少し詳細にみると、このようになっています。

720100904

 そこで、今後の動きを単純な前提のもとでシミュレーションすると次のようになります。

20100904_3

来月発表される8月の数字は少し改善します。暑夏効果や、自動車の駆け込み需要の影響もあって、さらに強めになるかもしれません。ただし、それは一時的なもので基調は下落です。これが今年後半の景気減速と、株式市場低迷の背景の一つとなります。もちろん円高も重要な要因です。

では2011年は? データの制約のため、在庫循環モメンタムではなく、出荷在庫バランスを長期的にみると、どうやらリーマン・ショックの影響がおさまり、通常のサイクルに戻りそうです。現在のペースで調整が進むと、かなり早くボトム建に達する可能性が高く、したがって早い時点で反騰に転じると見ています。私の株式ブログ「スケアクロウ投資経済研究所」の「景気サイクル分析の基礎(1)へのご質問の追加回答」に多少詳細に振れていますのでご参照いただければと存じます。

20100904_4

 今週は長くなりますので、定例のご報告は割愛させていただきます。ただ、相変わらず「徐行運転」です。ISM製造業景況指数と雇用統計で大きく上昇した米国株式市場の利益確定による調整の可能性が気になっています。日本の株式市場にも大きく影響するためです。

野村雅道と楽しい投資仲間達おすすめFX会社

|

« 豪ドルNZドルテク | トップページ | 月曜早朝シドニー市況:津田 »

日本株」カテゴリの記事

6かかし(2)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 豪ドルNZドルテク | トップページ | 月曜早朝シドニー市況:津田 »