日米株価動向の乖離を考える : かかし
3週間連続して僅かながらも上昇基調を維持してきた日経平均株価ですが、先週は4.03%の大幅な反落となり、それまでの上昇分を一気に帳消しにしてしまいました。
1週間を日足で追うと、金曜日を除いて下落が続く厳しい展開でした。
今週はどうでしょうか?
残念ながら、「徐行運転」を継続です。決算シーズンが終了して、今日の4-6月期GDPの速報値を除けば、マーケットの基調に影響を及ぼす可能性のある要因が見えません。
それでは、マーケットは意外な上昇を見せる可能性は全くないのか? 実は、ないわけではありません。今日はそのことについて考えてみたいと思います。
まず、日米株価の動きから。ダウ平均株価も先週は3.29%下落したのですが、日経平均株価に比べて下落率は小幅でした。この図が示している通り、日米の株価は基本的に高い連動性があります。ところが7月以降は両者の乖離が拡大して、日本の低迷が目立つようになりました。
日経平均株価からダウ平均株価を単純に差し引いた乖離を見ると、両者の乖離が拡大して、日経平均株価が引き離されていく様子が鮮明です。
この様子を数字で見ると、下記のようになります。両市場は建値が異なるにもかかわらず、とても似た数字であるのが興味深いところです。それが、現在は10%を上回る差がついてしまいました。
この格差の背景にあるのは、日米経済のファンダメンタルズの差と言うよりも、単にドル円の動きなのではないかと考えています。今年の初めにドル円は93円/ドルでした。現在は86円/ドル程度。円はドルに対しておよそ7.5%上昇しています。
この円高が日経平均株価の重石となってきたわけですから、日米の株価乖離10%のうちのなんと75%が円高の影響だと見ることができます。
では、本当に為替(ドル円)がそのように大きな影響力を持っているのでしょうか?先ほどご紹介した日米の株価乖離に、ドル円の動きを重ね合わせてみると、かなりきれいに一致しています。
というわけで、円高が株価低迷の元凶なのではないかと推測することができます。ならば、今後のドル円をどう読むか?難しいところですが、過去300カ月のドル円の動きは次のようになっています。
1995年4月28日に一時79.75円をつけたのが、日本の資産バブル崩壊後につけた円高のピークでした。しかし、この日の円はすぐに84円近くまで戻しています。
先週金曜日(8月13日)は一時84.71円まで円高が進みました。ただし、その後86円台まで戻しています。ポイントは、そこまで円高が進んでいるという点です。
さらに一段と円高は進むのでしょうか?日本の経済金融政策を担うべき人々が、ちょっとした「口先介入」や「レートチェック」などという小手先の対応でお茶を濁している程度では、円高の進行を阻止することができないかもしれないという恐怖心が強いというのが正直なところです。
しかしながら、米国経済の減速は今後さらに鮮明になります(「米国景気の方向性を読む : かかし」)。円高圧力の高まりの中で、結果的に為替介入に追い込まれる可能性はあるかもしれません。
そうなると、日経平均株価にはかなり強力な上昇ドライブがかかることになります。少なくとも、日米の株価乖離を埋めるまで短期間の急上昇が期待できそうです。
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