為替次第の株式市場(その2) : かかし
相変わらず為替の動きに翻弄される毎日です。ただし、多少の光明が差してきたような気がします。政府の為替に対する姿勢が、予想外に変化したように見えるからです。
株式市場に臨むスタンスは「徐行運転」継続。依然として注意運転は欠かせないのですが、状況は改善してきたと考えています。
1ドル83円台に突入した厳しい中でも、政府は「日銀に話を聞きたい」、「注意深く見守りたい」、「為替介入の話は一切していない」などという発言を繰り返していた政府でしたが、小沢氏が民主党代表選に出馬すると表明した途端に、「必要な時には断固たる措置をとる」と態度が一変しました。政府内での狼狽ぶりが目に浮かぶようで興味深い変化でした。
その意味で「小沢効果」が非常に大きかったと考えています。もし小沢氏の出馬表明がなければ、菅首相のコメントは「断固たる措置」ではなく、「30日の白川総裁の帰国を待って話を聞いてみたい」というようなものではなかったかと推測しています。しかし、理由はともあれ、望ましい変化であると考えています。
先週金曜日の日経平均株価は後場になって大きく上昇に転じました。
その背景はドル円の円安への振れ。菅首相が当日中に為替対策に関して記者会見をするということがきっかけになったようです。
記者会見で「断固たる措置」が表明された時点では、為替はすでに「小沢効果」で動揺する菅首相の足元を見透かして、予想される発言内容を早々と織り込んでしまっていたせいか、大きな反応は見せませんでした。
今週は、政府の為替に対する対応の変化から、少なくとも大幅な円高への振れはないだろうと推測しています。7月の鉱工業生産動向など気になる経済指標もありますが、マーケットは比較的に無難な展開になると考えています。
順序が前後してしまいましたが、先週のマーケット動向です。日経平均株価は1週間で2.05%の下落となりました。
日足で見ると、円高が進んだ週の前半の低迷ぶりが目立ちます。
一方、ダウ平均株価は0.62%の下げにとどまりました。このために日米の株価乖離が拡大が目立ちました。乖離幅は約13%に達しています。
今年の5月7日には日米の株価乖離は僅か0.15%にすぎませんでした。
先週も指摘したように、日米の株価乖離はドル円の動きと連動しています。
したがって、5月7日以降の日経平均株価の低迷は、円高を放置し続けたためと見ることができそうです。
これも先週触れましたが、世界の注目市場の中での日本の位置は惨憺たるものです。年初来の株価パフォーマンスは-14.8%。ドバイの-17.0%と肩を並べ、最下位グループに停滞しています。
しかし、日本の状況はそんなに悪いのか? そこで、日経平均株価を円建てではなく、ドル建てで見てみます。すると、年初来パフォーマンスは-14.8%ではなく、-7.3%となります。
日本の株価パフォーマンスは、決して高いとは言えないものの、オーストラリアを上回り、ブラジル、台湾、香港と肩を並べます。可もなく不可もなしという、平均的な位置です。
つまり、為替に対する無策が現在の株式市場の低迷の非常に大きな理由であると考えることができそうです。
その意味で、政府が円高に対してようやく意味のある反応を見せるようになったことは、歓迎すべきことと言えそうです。
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