米国景気の方向性を読む : かかし
先週の日経平均株価は1.1%上昇しました。
しかし、日足で1週間を振り返ると相変わらずのデコボコ道でした。
どうも、この状況から抜け出す決定的な要因が見えてきません。今週も「徐行運転」を継続です。
先週は日本の景気動向の話をしました。今日は8月3日に米国商務省が発表した6月の「製造業受注統計」、より正確には「製造業出荷・在庫・受注統計」を使って、米国景気の方向性を探っておきたいと思います。日本の株式市場にも重要な影響があるためです。
まず、全体(全製造業)の動きを在庫循環モメンタムという景気指標にして見てみます。在庫循環モメンタムは、出荷の対前年同月増減率から在庫金額の対前年増減率を差し引いて算出する景気指標です。
以前にもお話ししたと思いますが、全製造業の在庫循環モメンタムはいよいよピークアウトが鮮明になってきました。
今後の動きをシミュレーションしてみると、下落基調が一段と鮮明になりそうな様子です。
この在庫循環モメンタムの動きと株式市場の連動性はかなり高いため、基本的なトレンドとしての米国株式市場の上値は重そうだと見ることができます。方向性は右上がりではなく、右下がりです。
全製造業の内訳を見て気になるのは、コンピュータ及び周辺機器という代表的なハイテク分野のピークアウトが目立ってきたことです。
この指標との連動性が高いナスダックの上値も重くなりそうです。
一方で、自動車関連分野の在庫循環モメンタムが依然として堅調です。
ただし、図からも推測できる通り、この指標がさらに大幅に上昇を続ける可能性は低く、早晩ピークアウトに転じると見ています。
注目したいのは、日米の在庫循環モメンタムの連動性の高さです。したがって、米国指標のピークアウトに連動して、日本の指標も似たような動きになる可能性が大きいといえます。
というわけで、今後の株式投資戦略としては、在庫循環モメンタムの下落局面に焦点を当てた対応が必要になります。
在庫循環モメンタムの局面に応じて、株式市場で活躍するセクターが異なってきます。指標の上昇局面では成長株が強く、指標の下落局面では景気抵抗力の強いディフェンシブ株が強いといった具合です。まとめると次のようになります。
この図は私が作成して用いているものですが、米国カリフォルニア大学のピーター・ナバロ教授は、「ブラジルに雨が降ったら、スターバックスを買え」(2002年、McGrow-Hill, p.12)で景気動向と米国マーケットの関係について、次のように説明しておられます。
そこで話を戻しますが、日本の鉱工業在庫循環モメンタムも米国と同様に頭打ちが鮮明になっています。
したがって、投資戦略としては、電力、医薬品などのディフェンシブ株の比重を高めることが必要だと考えています。この点については、私の株式ブログ「スケアクロウ投資経済研究所」の中で「在庫循環モメンタムと株式市場」という記事の中に多少詳細に記述しましたので、ご参照いただければと存じます。
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