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2010年5月12日 (水)

ギリシャの財政危機とこれからの株価:  呂 新一

EU全体の経済規模に対し僅か2.5%しか占めていないギリシャの財政危機が、株式相場にこれほど大きな影響を与えた背景は、恐らく以下の点にあると考えらます。

 

1)ギリシャの負債額が金融危機の発端となったサブプライムローンの残高(約150兆円)より小さいとは言え、19988月にロシアが90 日間支払停止にした対外債務と、20024月にアルゼンチンが宣告したデフォルト債務の合計に匹敵する金額であり、決して小さな額ではありません。ロシアの債務支払停止が一世風靡の大手ヘッジファンドLTCMの倒産に繋がったことは記憶に新しい。

2)ギリシャの次は、伝染病にかかるように、ポルトガル、スペイン、イタリアなどが相次ぎ財政危機に陥ることは危惧されていました。

3)金融危機後の世界景気回復は、巨額な財政出動・資金(信用)供給の上に実現したものであり、ギリシャの財政危機は、このようなおカネの力で景気回復を図るやり方に警鐘を鳴らしています。言い換えれば、おカネ任せの景気回復が脆弱なものであることを喝破しました。

4)ギリシャなど財政が危機的な状態にある国の債務(国債)を抱えている金融機関が不信な目で見られ、市場が疑心暗鬼になり、十分な流動性が確保できなくなる状況も考えられました。

5)株式相場に過熱状態にあり、何らかのキッカケがあれば、株価が急落する可能性は十分にありました(4月7日付けの本欄「NY株式相場、一息いれますか?」を参照)。

 

そして、さらに深層にある背景は、ギリシャを含め、今、この地球で経済成長を図っている殆どの国が、外国からの投資かまたは国債発行かなどの形で、他人または子孫のおカネを使っていることです。例えば、日本は新規国債で予算を組み、アメリカは海外からの借金で国民の車買い替え・新規住宅購入を補助し、財政赤字を増やしてきました。このような状況はとても長く続けられるようなものではなく、大局的に見ると、世界経済が袋小路に入ったことも十分に考えられます。

 

これからのグローバル株価動向を考える際、我々は慎重的な楽観論者です。

 

まず、中国株はさらに下落する可能性が高い。過熱した経済をちょうど良い状態まで冷やし、バブル気味の不動産市場をソフトランディングさせることは決して容易に達成できる目標ではありません。それに、ここ数カ月、ユーロがドルに対し14%も下落した(昨年末:1ユーロ = 1.45ドル 現在: 1ユーロ = 1.27ドル)ことが、中国経済に深刻な打撃を与える可能性があります。中国は自国通貨をドルにほぼ連動させているため、最近のユーロ下落で人民元もユーロに対し約14%上昇しました。ユーロ圏が中国にとって最大の輸出相手であるだけに、ユーロ安による輸出への影響は大きいでしょう。

 

米株について言うと、今後、長期ブル相場を展開するには中身の伴う景気回復が不可欠であり、言い換えれば、雇用状況の改善がキー・ポイントです。ただ、製造業の空洞化を考えれば、雇用の改善が今後も非常に緩慢なペースに止まる可能性は高い。

 

また、米株の中短期動向について言うと、暫くの間、(NYダウは)4月26日に付けた高値と先週金曜日(5月7日)に付けた安値の範囲内で動く可能性が高い。そのうち、新高値を付ければ上昇トレンド入りとなりますが、それが出来なければ、5月7日の安値を下回る可能性が高くなり、2月の安値が新たな下値サポートとなろう。

 

そして、今回の救済措置にそれなりの効果があるかどうかの試金石は、米株よりヨーロッパの株、中でもギリシャへの貸し出しが多いフランスの株価動向と思われます。

 

さらに言うと、ユーロレートの変動は、今回の救済案の成否を測る基準になりません(例えば、ユーロの下落が救済案の失敗を意味しません)。というのは、今回の救済案はユーロを少し犠牲にしても、ギリシャを財政危機から救うことが先決であるという性格を持っているからです。

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