豪州の預金金利は何故キャッシュレート(政策金利)より2%近く高いか?:津田
豪州の預金金利は何故キャッシュレート(政策金利)より2%近く高いか?
高利率豪ドル預金 利率(%)
オンライン貯蓄口座 |
6カ月定期預金 |
12ケ月定期預金 | |||
Rabo direct |
6.40 |
Rabo direct |
6.31 |
Rabo direct |
6.40 |
ING direct |
6.25 |
UBank |
6.21 |
ME Bank |
6.40 |
UBank |
6.21 |
Citibank |
6.20 |
Suncorp Bank |
6.35 |
Westpac |
6.20 |
Gateway CU |
6.15 |
Citibank |
6.30 |
Bankwest |
6.15 |
Suncorp Bank |
6.15 |
Gateway CU |
6.25 |
上の表を見ていただきたい。当地の市中銀行及び金融サービス会社(貯蓄組合など)の提示している最近の豪州国内預金金利水準である。ちなみに現在オフィシャルキャッシュレートは4.50%であるので貯蓄口座から定期預金に至るまで2%近く政策金利よりも高い利率となっている。弊ファンドで豪ドル預金ファンドを募集し、Commonwealth Bank(CBA)の利率をベースにしているが、何も高利率はCBAに限られている訳ではないのである。
この政策金利から実勢金利の乖離幅は過去10年間で最大となっている。
相対的にリスク性が低く安全資産の一種と目される貯蓄型及び定期預金がだれの手にも6%の金利をオファーしているのだ。金融機関がこのような高金利を投資家にオファーするようになった原因はやはり今回の金融危機にあったと言える。つまり今回の金融危機で市場のファンディングコスト(調達コスト)が急騰した経緯から、金融機関はより安価(銀行間市場と比較して)かつ安定的な資金手当ての道を探った。その結果銀行間の資金調達よりも預金取り込みに注力するようになったのである。またこれは同時に“手元流動性比率を高める”という当局要請に応えるための手段でもあった。そしてこの銀行のオファーする高利回りは年金生活者、貯蓄者、ハイリスクを嫌う投資家などに恰好の投資機会を与えた。また不動産市場の高騰で高値警戒感を持ち始めた投資家がしばらく定期預金に滞留する動きも促した。
2008年のリーマンショックに始まる金融危機が昨年は終息に向かい、一時はリスクアセットの人気が復活した。しかしここにきて表面化した欧州発のソブリンリスクや豪州国内における資源超過利潤税案は再度投資家をリスクアセットから遠ざけつつある。
豪州の株価も今年のピークから10%以上下落したが、株価下落が預貯金へのシフトを加速させた可能性が指摘される。
RBAのエディー総裁補は「定期預金金利は平均して金融危機以前の政策金利マイナス0.5%から政策金利プラス1.0%に上昇した」と最近述べている。
CBAは今年第一四半期には熾烈な預金金利利上げ競争の結果、定期預金金利は一時銀行間金利の水準を上回るレベルまで高騰したと述べている。その後この利上げ競争は若干収まったものの、預金利率はさして低下していない。理由の一つはRBO BANKやINGなど豪州では後発の銀行が依然として預金獲得のためにアグレッシブな金利水準をオファーしていることがある。それらの銀行は新顧客を獲得しようと色々な甘味料を用意している。例えば新規顧客に通常より高い利率をオファーしたり、期間限定で更に高利率をオファーしたりする手法である。このようなゲリラ戦法は通常ビッグ4などの大銀行よりは、周辺の中小金融機関が取る手法であるが、投資家は銀行のレーティングよりはむしろ金利水準をショッピングする傾向にあり、4大銀行も渋々利率を引き上げざるを得ないという状況にあるようだ。
豪銀の資金需要は第二次資源ブームで将来的に多くの資源プロジェクトが予定されることや、旺盛な住宅需要を背景とした前向きのものであった。しかしここにきてソブリンリスクや資源税の導入から新規プロジェクト見直し機運が高まり、また6回の利上げにより住宅建設熱も一頃より冷めた感がある。にも拘らず逆に金融危機を経験した金融機関は、今回のソブリンリスクにより再び銀行間の資金調達がいつ何時困難になるかもしれないという恐怖心から再び今度は銀行が預金利率を上げざるを得ないのは皮肉なものである。
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コメント
はじめまして!投資の勉強をしたいと思い。いろいろなブログにお邪魔したところ「株式日記と経済展望」に辿りつきました。 内容の濃い記事ばかりでビックリです。これからたびたびお邪魔しますのでよろしくお願いします。
投稿: 貯金術&節約術ブログのおにぃ | 2010年9月 9日 (木) 15時42分