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2010年4月28日 (水)

中国株 ― 高成長≠高収益:  呂 新一

経済の高度成長は、必ずしも高い株式投資収益率を意味しません。中国株投資をしてこられた方に、このような感想を持っている人は多いでしょう。

 

無論、より正確に言うと、高度成長は必ずしも株価の持続的上昇を意味しません。長期的に見れば、高度成長は高い株式投資収益率をもたらすが、投資するタイミングを間違えると、何年間は失望、落胆、我慢を強いられることになります。

 

2000年以降、中国の経済成長率は8%以上を保っています。しかし、中国株は2005年年末までの間、ずっと下落し続けてきました。その後、中国政府による非流通株改革が成功を収めたことで、株価がようやく上昇トレンドに入りました(最も、上昇トレンド入りした後、過去の遅れを急いで取り戻すように、上海総合株価指数は2年余りの間、6倍も上昇しました)。

 

そこで、昨年後半以来、中国株式投資は再び高度成長が必ずしも高収益を意味しない時期に入りました。このことについては、筆者はある程度予想していました。2009年の中国の高度成長は投資への依存が異常に突出し、質の良い、持続できる成長とは言い難いと言い続き、そして、20091230日付けの本欄2010年の中国―物価上昇抑制と株価」において、「仮に政府が固い決心をし、金利などの政策手段を用いて物価上昇、住宅価格の高騰の抑制に乗り出すと、少なくとも短期的に中国株が強い押し下げ圧力を受けることになると思われます」と書きました。今は、まさにこのような状況です(下記チャート参照)。

 

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今回の株価下落は、不動産株がリードしています。下記チャートは不動産開発大手“万科”の株価推移であるが、昨年12月以降下落し続き、中央政府が住宅価格抑制策を発表した後、下落ペースをさらに速めました。

 

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中国政府による住宅価格抑制措置は、不動産開発業者に膨大な資金を注ぎ込み、住宅ローンの貸し出しに積極的であった銀行も直撃し、銀行の株価がここにきて大幅に下落しました(中国農業銀行が20日に大掛かりなIPOを発表したことも銀行業株価を押し下げた一面があります)。次のチャートは大手銀行である工商銀行の株価推移です。

 

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今後の中国株を展望すると、我々はそれほど楽観的になれません。と言うのは、中国経済が第1四半期に11.9%も上昇したので、通年8%の成長という目標を掲げた政府にとって、当面、政策の中心を経済成長から過熱抑制、不動産バブルのソフトランディングにシフトする余裕ができました。言い換えれば、抑制的な経済・金融政策は当面続く可能性が大きい。

 

そして、厄介なことに、今の中国は市場機能を通じて住宅価格を調整する手段はまだ整えていません(他の国が整えているとも言いにくいですが)。そこで、政府が何でもかんでも目標を実現したいなら、最終的に強制的な行政手段に出る可能性があります。言い換えれば、今回の住宅価格抑制は、完全に失敗に終わり、住宅価格がさらに上昇するのか、又は住宅価格が急落し、実体経済に深刻な打撃をもたらすのか、のどちらかになり、うまくソフトランディングすることは難しい。前者であれば、中央政府のメンツが丸つぶしになりますが、後者であれば、株価はさらに下落することになります。

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