「急減速」に注意! : かかし
自動車の世界では「急加速」が問題になっているようですが、株の世界では「急減速」に注意する必要があると見ています。
別段、悪いニュースがあるわけではありません。むしろ良いニュースのほうが多いくらいです。欧州の財政問題は一応の落ち着きを見せていますし、米国の2月の雇用統計や小売統計が示唆するように、米国経済も予想よりは堅調さが鮮明です。
では、なぜ「急減速」なのか? 欧州や米国の動きを背景に、日経平均株価が上昇を続けてきたからです。良いニュースは、かなり株価に織り込まれたと考えたほうが良さそうです。
先週の日経平均株価は3.69%とかなり大きく上げています。これで2月8日に始まった週から5週連騰となります。ダウ平均株価も堅調でしたが、0.56%高に留まっており、日本のマーケットの好調さが目立つ展開となりました。
日経平均株価:週間パフォーマンス
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%
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2010/01/18~2010/01/22 |
-3.57 |
2010/01/25~2010/01/29 |
-3.71 |
2010/02/01~2010/0205 |
-1.38 |
2010/02/08~2010/02/12 |
+0.35 |
2010/0215~2010/02/19 |
+0.31 |
2010/02/22~2010/02/26 |
+0.02 |
2010/03/01~2010/03/05 |
+2.40 |
2010/03/08~2010/03/12 |
+3.69 |
そこで、楽観的なムードが高まっている中で、敢えて懸念すべき点を指摘しておこうと思います。
l 明るくなった市場心理
今回の連騰が始まったころ、ある経済新聞のマーケット予想は「10,000円割れも」と悲観色に満ちたものでした。ところが今週は「昨年来高値に迫る場面も」と強気です。経験的には、このような楽観ムードは決して良いサインではないようです。
l 日本株が米国株を追い抜いた
ダウ平均株価と日経平均株価の連動性の高さをたびたび指摘しています。
細かい話になってしまいますが、今回の連騰が始まったころには、ダウ平均に比べて日経平均の出遅れが目立っていました。それが、みるみるうちに追いついて、先週は追い越してしまいました。ダウ平均がモタつくと、かなり強い下げ圧力が日経平均にかかってくる兆しがあります。
l ダウ平均株価の上値が次第に重くなっている
ダウ平均株価は先週0.56%と比較的に小さな上げ幅に留まりました。ザラバの動きを見ていると、利益確定の売り圧力が徐々に強まっているのを感じます。すでにかなり大きく上昇してきたわけですから、この動きは簡単には収まらないような気がします。
l ハイテク株の先行指標に頭打ちの兆し
先週もお話しましたが(「よたび、反騰は続くのか?:かかし」)、ハイテク株の先行指標であるコンピュータ及び周辺機器の在庫循環モメンタムに頭打ちの気配が見えています。これまでは、この指標に連動するように、ナスダックが大きく上昇してきました。しかし、どうやらこの急上昇がそのまま持続すると想定するのはリスクが大きいような気がします。
l 3月の国内市場要因に注意
日本のマーケットを見る場合、3月の季節要因から目を離せません。年度末にかけて株式の売り圧力が高まる可能性があります。特に銀行にその動きがあるように見えます。また、総合商社のドル売りなど円高要因が比較的に多いことも念頭に置く必要があると考えています。
以上、明るい雰囲気に水を差すのは不本意ではあるのですが、5連騰のあとですから、少し休憩しようと考えています。
もっとも、タイトルにあるように「急減速」を心配しているのであって、「逆発進」あるいは「逆噴射」を想定しているわけではありませんので、念のため。
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