自作の恐怖指数から日米の株式市場を見る: 呂 新一
今日は話題を変え、長期チャートから、今、日米の株価指数がどの局面にあるのかを見てみます。
ここで使う尺度は恐怖指数と言う筆者が開発したもので、全体の出来高のうち投資家による投げ売り(+カラ売り)が占める比率の50日移動平均です。その発想のもとは、投資家は相場の先行きに恐怖を感じればおのずと投げ売りに出るため、投げ売りの量が多いと恐怖感が高まったことを意味します。そして、この投げ売りが全体の出来高に占める比率を取るのは、計算された結果が0-1の範囲内に収まり、使いやすくなるためです。
そこで、まず、東京市場のTOPIXを見てみます。下記のチャートは08年9月に起きたリーマン・ショックを含めた期間のもので、赤い線は恐怖指数、ブルーラインはTOPIXです。チャートから、殆どの場合、恐怖指数が0.47-0.55の範囲内で動いていることが見て取れます。普通、恐怖指数が0.55まで高まれば、投げ売りが続出し相場が陰の極に達したため、長期投資家にとって株式購入の絶好のチャンスです(無論、リーマン・ショック直後の08年10月のように、今まで経験したことのないような大きな地殻変動が起きった時は、0.55を上回ることもありえます)。他方、投資家が相場の先行きにすっかり安心しユーフォリアに浸っている際は、恐怖指数が下落します。過去数年のデータでは、恐怖指数が0.47まで下落すれば、相場が陽の極に近づき、手持ち株を売却する好機と言えます。
そこで、今、日本の株式相場がどの局面にあるのかを見ると、恐怖指数が(米国の金融規制案、ギリシャの財政問題、トヨタの大規模リコールなどで)2月中旬に付けた1つのピークから下落する途中にあり、予想外のことが起こらなければそのまま下落し続ける可能性は高い。言い換えれば、日本株の上昇はまだ終わったいない公算が大きい。
続いて、NY市場のS&P500種を見てみます。下記のチャートが示しているように、TOPIXの場合と同じく、恐怖指数の上限は0.55前後であり、その水準まで恐怖指数が上昇すれば、長期投資家にとって株式購入の好機となり、昨年の2月末/3月初頭はまさにこういった時期でした。では、これからNY市場はどうなるのか、恐怖指数の下落ペースと現在水準を見ると、今回の上昇(1月下旬から始まった急落に対する反騰)はそろそろ一段落する可能性が高い。この期間の短い上昇が単なる反騰から上昇トレンドへ繋がっていくには、ファンダメンタルズによる後押しが必要であり、そのような後押しがあれば恐怖指数がさらに下落し、一段の株高が期待できます。
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