« 南アランド円、マディバ、雲上人 | トップページ | 先ずは数字、総じて小動き »

2010年3月11日 (木)

金井先輩のお便りから

「金井先輩のお便りから」 

20100309 放送分原稿?

「円高進行の可能性」

あざみ:先週、円高が進んでいたドル/円相場は、アメリカの雇用統計発表を受けて、一気に円安に振れましたね。

金井:2月の非農業部門の雇用者数は3.6万人の減少という結果でしたが、市場では2月の大雪の影響を見込んで、もっと悪い数字を予想していたために、インパクトが強かったようです。

あざみ:ということは、大雪がなければアメリカの雇用状況は更に改善してきているとも考えられますね。

金井:そうですね。景気に対する楽観的な見方が強まってドル金利も上昇し、今後のドル高・円安の支援材料になる可能性はあります。ただ、他の経済指標では弱い数字も出ていますので、ここは慎重に見て行った方がいいのではないかと思います。

あざみ:弱い経済指標というと、金井さんは、どんな指標に注目されているのですか。

金井:2月の消費者信頼感指数は10カ月ぶりの低水準にとなり、製造業景況感指数も3カ月ぶりに悪化しました。それから、ゆるやかな景気回復を裏づけるものではありますが、12月の貿易赤字が2カ月連続して拡大し、1年ぶりの高水準になったことは、ドル安・円高要因になりますね。

*****去年からのドル/円チャート(90円にライン)*****

あざみ:このような強弱入り混じった景気動向を反映してか、ここ半年くらいのドル/円相場は90円を挟んだレンジ相場を形成していますね。(やや長い目で見ますと、これから1ドル=100円に向けて円安に反転するのか、それとも80円割れを目指して円の戦後最高値を更新することになるのか、見方が大きく分かれそうな感じもしますね)

金井:大保合(おおもちあい)が6ヶ月間も続いているということは、市場のポジションがどちらかの方向に相当積み上がっている可能性が高くなっていると思います。

あざみ:その市場ポジションはどちらの方向に積み上がっているのでしょうか。

*****ドル/円相場と主なクロス/円相場を単純合計したチャート*****

金井:まずドル/円相場と主なクロス/円相場を単純合計したチャートをご覧ください。主なクロス/円相場は、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、スイス/円、カナダ/円の5つの通貨ペアです。上に行けば円キャリートレードの拡大を示し、下に行けばその解消を示しています。この半年間、ドル/円相場では90円を挟んだ大保合(おおもちあい)ですが、このチャートでは上値が確実に重くなってきています。つまり、円キャリートレードの持続性が危ぶまれているという状況です。

あざみ:確かに、それまでは600円が強いサポートになっていましたが、先週のアメリカの雇用統計直前までは、600円を大きく割り込んでいますね。

金井:雇用統計発表前に、円キャリートレードが大規模な解消に至らなかったのは、日本の当局による円高対策があったからではないでしょうか。

あざみ:どんな円高対策があったのでしょうか。

*****当局による円高阻止の対策*****

・円売り介入上限枠を145円に引き上げ

・日銀の追加緩和検討の一部報道

・菅財務大臣の口先介入

*****

金井:いずれも目立たない形でしたが、3つありました。1つは財務省が円売り介入の上限額をこれまでの140兆円から145兆円に引き上げたことです。2つ目は一部報道で、日銀が追加金融緩和を検討していることが伝えられたことです。3つ目は先週末に菅財務大臣が「今日はユーロ相場が少し上がり、円高も少し収まるかなと思う」と口先介入したことです。日銀の追加金融緩和と口先介入は、去年11月にドバイ・ショックが起きて1ドル=85円割れを見た時の対策と同じ手法ですね。

あざみ:この円高対策の効果は、実際にあったのでしょうか。

金井:一時的な効果はあったと思います。しかし、先週、円キャリートレードが解消に向かった要因は、長引くギリシャ問題とアメリカの金融規制強化案、所謂ボルカー・ルールが明らかにされたことでした。このように、海外要因で日本からの資本流出が制限されることになりますと、日銀がいくら追加金融緩和しても継続的な円売りは期待できないことになります。そうなりますと、貿易収支や経常収支の動向が円相場を動かす重要な要因になってくるのではないでしょうか。

あざみ:指摘された貿易収支などの動向はどうなっているのでしょうか。

*****2009年からの貿易黒字チャート*****

金井:1月の貿易収支は852億円の黒字で、1月としては3年ぶりの黒字でした。特に去年半ばから日本の貿易黒字は堅調な推移を辿っていますので、累積貿易黒字は拡大しています。一方で、米国の貿易赤字は再び拡大する兆しが出ています。こうしたことから推理しますと、市場のポジションは大きくドルロング・円ショートに傾きつつあるのではないかと思われます。

あざみ:円売りポジションが拡大してきますと、円買い材料が出た時は、円売りポジションの解消から、再び円が急騰する可能性がありそうですね。

金井:そう思いますね。不均衡が拡大する兆しがあり、人民元の切り上げ圧力も徐々に高まってきていますので、当局の円高対策効果に余り期待し過ぎない方が良いと思います。

あざみ:ドル/円相場ではどのくらいまで円高が進むと思いますか。

金井:直近の85円割れが最初のターゲットになると思います。

|

« 南アランド円、マディバ、雲上人 | トップページ | 先ずは数字、総じて小動き »

外為入門2」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 南アランド円、マディバ、雲上人 | トップページ | 先ずは数字、総じて小動き »