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2010年3月11日 (木)

為替悠々96、戦前の介入

「為替悠々96、戦前の介入」

今よりすさまじき戦前の統制売(介入)―しかし敗れた。」 
(為替史と正金銀行)

  1930年の金解禁とその再禁止の思惑のドル買いで暴利をむさぼった財閥への不振が高まり、井上準之助前蔵相や三井合名理事の団琢磨が暗殺された血盟団事件は有名である。政党政治が終わり軍部の台頭が始まる時代であった。ドル買いで暴利をむさぼった財閥が出たという当時の為替市場はどのようなものであったのだろうか。

  ドル買いについては三井を代表とする財閥銀行が狂奔し日本の再建金本位制を崩壊させ円価を下落させることによって巨利を博したとする認識が通説化している。しかし巨利を博したはずの三井銀行が1931年下期決算では大幅な欠損を計上し、対照的にドル買い筋に対しドルを売り応じて巨額の損失を被ったはずの横浜正金銀行が例年と同じ利益を実現していた。

 1930年1月11日に金本位制が再建されたがおよそ2年後の1931年12月13日にその機能を停止した。金輸出再禁止論は金解禁後すぐ台頭し円の先行きに対する不安が増大した為、ドル相場は金輸出点を下回る49ドル1/16(@100円)という異例の状況が生まれ 正貨流出が生まれ対外的にも日本の金本位維持能力に対する疑惑が生まれていった。したがって 1930年7月より横浜正金による外国為替の「統制売」が始められた。「統制売」とは政府日銀による正貨現送の承認を後楯としながら外為専門銀行の横浜正金が買需要に売り応じることである。(続く)

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