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2010年1月20日 (水)

ソフトランディングの可能性が低い中国の不動産バブル: 呂 新一

まず、中国国家統計局が今日(119日)発表した住宅関連の数値を見てみましょう。

 

中国の昨年全国住宅および商業用不動産売買総面積は93,713万平方メートルと、一昨年(2008年)に比べ42.1%上昇しまして、そのうち、住宅売買総面積は43.9%の上昇となりました。また、売買高は43,995億元(約586,600億円)と、一昨年に比べ75.5%上昇し、そのうち、住宅売買高は80.0%の大幅増加となりました。そして、開発業者が銀行から借りた資金は1兆1,293億元(約15537億円)と、一昨年より48.5%も膨らみました。

 

住宅価格が高騰し売買高が増えたことで、開発業者のみならず、地方政府も大きな恩恵を受けています。例えば、経済開発特区で有名な深圳市では、昨年の11月までの不動産取引税は既に2008年の1.2倍弱になり、そして、建築業者が納めた税金を加えると、不動産関連税収が深圳市の税収の22%以上を占めるようになりました。

 

無論、不動産取引が活発で税収が大幅に増えたことの背後に高いリスクが潜んでいます。ここで、やはり深圳市を例にすると、販売された住宅の入居率が約45%に止まっています。言い換えれば、大半の住宅が投機のために売買されています。このような状況では、仮に中央政府の抑制策またはその他の理由で、住宅価格が一旦下がり始まると、大量な売り物件が途切れなく湧いてくることは容易に想像できます。他方、銀行の住宅ローン貸出残高は3,393億元(約45,270億円)と年初より41.5%も増えました。そこで、住宅価格が下落し始まると銀行の不良債権が急速に膨らむと同時に、住宅を手放してもローンの返済ができない家庭が続出すると考えられます。これは、まさに時限爆弾を抱えているようなことです。

 

こうして見ると、不動産バブルの退治(ソフトランディング)がまさに喫緊の課題と思われます。

 

ただ、果たして中国政府もそう考えるのかと言うと、非常に微妙と言えます。事実、中国国家統計局のチーフエコノミストである姚景源氏が18日マスコミに対し、住宅産業が中国にとって景気拡大のエンジンであり、2010年に入ってもその重要性は変わらないと強調しました。恐らく、政策当局のなかでGDP成長を中心に物事を考え、姚氏と同じ見方をしている人は少なくないと思われます。中国の政策当局者にしてみると、日本、アメリカおよび西欧諸国が金融危機の影響で低成長またはマイナス成長に苦しんでいる傍ら、中国だけが高成長を謳歌している現状は自分たちの功績であり、誇りであり、国を統治する正統性にも繋がっています。そのため、2010年もなんと言っても高成長を保ちつことがすべてを圧倒する主要な目標であることに変わりがありません。

 

また、たとえ中央政府が不動産バブルの抑制を決めたとしても、地方政府が素直にそれに従うかどうかは大いに疑問です。不動産バブルで地方政府の財政が大いに潤っただけでなく、多くの幹部・役人が個人的にも不動産市場の盛況で蓄財でき、或いは今でも数多くの不動産を保有しています。

 

こうして見ると、中国政府の不動産バブルの退治が中途半端に終わり、その結果、最終的にソフトランディングが達成できない可能性が高いと思われます。

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