米国の景気動向を読む : かかし
なぜ米国の景気動向なのか? 理由は単純です。日米の株価の連動性が非常に高いためです。日本の株価動向を把握する視点から、必要最小限の分析にとどめたいと考えます。
まず日米の株価動向から。先週は日米ともに堅調でした。日経平均株価は2.39%上昇する一方で、ダウ平均株価も1.82%上げました。昨年年初からの上昇率は、日本が19.41%、米国が17.53%と拮抗しています。
日米の株価乖離の動きを見ると、再びきれいに同期してきた様子がわかります。
ということは、今後の日本の動向を見るうえで、米国の景気と株価動向を考えておくことが欠かせないようです。
いつものやり方なのですが、米国商務省が1月5日に発表した11月の「製造業出荷・在庫・受注統計」を使って、「景気循環モメンタム」の動向を見たいと思います。(「景気循環モメンタム」については、株式ブログ「スケアクロウ投資経済研究所」の「在庫循環概念図」をご参照ください)ちなみに、この統計に一部が「耐久財受注」として事前に公表されます。
最初に出荷金額の動向です。加速して回復が進んでいます。対前年同期比でプラスに転じれば、実感としての回復感が急速に広がります。あと一歩ですね。
次に在庫金額です。在庫圧縮は一段落の兆しです。ただし、在庫を積極的に積み上げる動きではなく、原油など原材料価格の上昇が背景にあるようです。
この出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いたものが「在庫循環モメンタム」という景気指標です。赤い太線がそれです。出荷金額の回復を主因として、急上昇していることがわかります。
ポイントは、この「在庫循環モメンタム」とダウ平均株価との連動性が高いことです。現在は両者の乖離が拡大しています。単純に、株価の上昇余地が大きいと見ることもできそうですが、「在庫循環モメンタム」を構成する出荷金額が、緊急経済対策による底上げに支えられているため、割り引いて考える必要がありそうです。
とは言え、米国全製造業の「在庫循環モメンタム」の上昇が続いているわけですから、ダウ平均株価の堅調さが持続すると判断しても良さそうです。
しかしながら、急上昇する「在庫循環モメンタム」を見ていると、不安を感じます。いつまで、この上昇が続くのでしょう?
そこで、現在までに公表されている昨年11月の出荷と在庫の金額が12月以降も変化しないとして、2010年の「米国全製造業在庫循環モメンタム」の動きをシミュレーションしてみました。
実は、急上昇は長くは続かないようです。11月は8.4ですが、今年1月の17.0がピークとなりそうです。ただし、5月までは比較的に高い水準が続きますから、それまでは株価も堅調な動きが期待できそうです。ただし、6月以降は急速に下降すると予想されます。
となれば、6月の数字が公表される8月初め以降は要注意ということになります。日本の鉱工業生産動向を用いた「在庫循環モメンタム」のシミュレーションも、米国とほぼ似た動きになっています。(「2010年の株式市場は?:かかし」) 日米の株価の連動性が高いことを考えれば、当然の結論なのかもしれません。
日米両国とも、今年前半が勝負どころといった感じです。
最後になってしまいましたが、米国株式市場ではハイテク株の動きが好調です。ダウ平均株価の上昇率をナスダックが凌いでいるようです。そこで、コンピュータ及びその関連分野の「在庫循環モメンタム」の動向を見ておきたいと思います。
「在庫循環モメンタム」の動きが示唆する事業環境の改善が堅調な株価の動きの背景になっていると見られます。
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