ユーロ金利:水谷
先週のECB定例理事会では、緩やかな回復基調のユーロ経済を指摘するトリシェ総裁の記者会見もギリシャ財政問題を質問する記者が目立ちました。出口戦略の具体策は先送りとなり、目立った動きがない定例理事会となりました。ユーロ金利の現状を見てみましょう。短期金利のEuribor市場では、引続き買い基調が続いているのが現状です。グラフは3月限です。現在は99.325と12月31日に安値99.23をタッチして以来の上昇です。金利が低下していることを意味します。3ヶ月物金利ですから、政策金利のRe-Financing Rateを25bps上回って取引されると言われます。利回りベースでは0.675%となります。政策金利ベースですと、0.425%となります。現在のECBの政策金利は1.00%ですから、5月までは利上げは全く行われないと言えます。期先物を見ると6月限99.050(0.95%), 9月限98.740(1.26%)となった金利体系です。6月限が政策金利ベースでは0.70%, 9月限が1.01%となります。9月になって初めて現在の政策金利ベースになります。12月限で98.455(1.545%)となり、政策金利ベースで1.295%となり、ここで0.25%の利上げが行われる水準となります。短期金利先物からは今年年末に利上げが行われると予想しています。ということで年末までは利上げがないとの金利観が基本となる為替相場と言えます。
ECBは現在資金供給策であるカバードボンドの買い取りを継続しています。そしてECBの中期インフレ目標は2.0%です。12月には0.9%に消費者物価指数が11月の0.5%から上昇しましたが、ガソリンなどエネルギー関連の価格上昇による要因のようです。短期的には1.0%にインフレ率を収めることが期待されています。そんな訳で政策金利は適切であるとトリシェ総裁は強調されています。
現在はユーロ圏の焦点はギリシャなどの財政赤字懸念です。ギリシャ問題は報道の通りで、助ける助けないなどと金融当局者の報道に翻弄されています。しかしその他ユーロ圏の国々に目を向けておくべきではないのでしょうか。同じラテン圏のポルトガル、スペインにも注目しておきたいところです。両国は10年国債では4.185%(ポルトガル)と4.014%(スペイン)とドイツ国債からは0.90%近くスプレッドはあるものの、ギリシャ国債の5.96%とは開きがあり、安心しているようです。しかし対GDP比では財政赤字比率(2009年)がポルトガル8%, スペイン9.5%とEUの安定協定(3.0%以内に赤字幅を抑える条件)からはかけ離れています。スペインの12月失業率は19.4%です。失業者数は300万人を超えました。人口4千万人強ですから、子供と高齢者を除くと5人に一人の割合の失業者を抱えるという事実に突き当たります。不動産、建設業はバブル崩壊からは抜け出せない状況です。観光が主たる産業であり、確か人口と同じくらいの外国人観光客がスペインを訪れると言われています。英国資本撤退からバブル崩壊となりましたから、今度は外国人観光客がお金を落とす経済回復とゆきたいところです。ポルトガルも同様の経済構造と言えます。
それでは。
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