米国株が高値を維持している間は日本株にチャンス: 呂 新一
米国株は3月上旬に付けたボトムから大幅に上昇しまして、S&P500種で言えば上昇率は約71%に達しました。では、これからも今までの調子で上昇し続けるのかと言うと、そうではない可能性が大きい。
と言うのは、今までの株価上昇は、ファンダメンタルズが改善したほか、FRBの緩和策に起因するドル安も大きな要因であったと言えます。しかし、ここにきて、ドル安を背景にした資源・エネルギー価格高騰がインフレ懸念をもたらし、緩和策の継続に疑念が広がり、その影響で、長期金利が上がり始め、ドルも反発の兆しを見せています(ドル・インデックスは11月末の74.2から現在の76.35まで反発してきました)。
また、ここ数日、バンク・オブ・アメリカに続き、シティグループとウェルズ・ファーゴも政府に公的資金返済計画を発表し、大手銀行が揃って非常事態を脱したようですが、一方では、どの銀行も個人と中小企業への融資に消極的で、貸出総額の前年比伸び率がマイナスのままとなっています(下記チャート参照)。事実、中小企業の業界団体であるNFIBが今月発表した調査結果によれば、中小企業の景況感は前月よりもさらに9ポイント低下し、融資を受ける難しさも3カ月前に比べ殆ど改善していません。この結果は非常に深刻なもので、中小企業の就業者は全体の雇用の半分を占めているだけに、このままでは、消費の回復、そして一本調子の株価上昇が難しいように思われます。
このことは、大手投資銀行であるゴールドマンの株価動きにも反映されているようです。下記のチャートはゴールドマンの株価とS&P500種の過去2年間の推移を並べたもの(GSが赤い線、S&P500種は蝋燭足)ですが、チャートから、ゴールドマンの株価がS&P500種を約数カ月ほど先行し、そのゴールドマンの株価が9月末ごろに既にピークを打ったことが見てとれます。言い換えれば、米株価が今までの上昇勢いを維持できない可能性が大きい。
ただ、日本株について言うと、米株価が3月以来の上昇勢いを維持できなくても、現行の高値圏に滞在さえできれば、上値余地はあると思われます。というのは、日本株が米株に比べ大きく出遅れている上、米国でインフレ懸念が台頭し長期金利が上昇すれば、それに連れられドル安が是正され、そうなれば、日本株に見直し買いが入る可能性は大きいからです。
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