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2009年12月24日 (木)

鉄鉱石、原料炭、原油動向:津田

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(鉄鉱石、燃料炭はus$/tonne、原油はus$/barrel)

鉄鉱石、燃料炭は豪州の主要輸出鉱山資源であるあるが、上図より原油価格(WTI)とともにここ5年ほぼパラレルな動きを見せている。
特に2008年夏場にかけてリスクアセットバブルが急激に膨らみ空前の資源高となったが、その直後世界金融恐慌のあおりを受けて暴落したことは記憶に新しい。
しかし相場は今年年初に早くも底入れの兆しを見せ、今年1年間徐々にではあるが下値固めをし、2007年から始まる世界的なアセットバブル前の水準を現在回復した状況にある。

最近の鉄鉱石と燃料炭の動きを見ると、来年4月から始まる来年度の価格交渉を見据えて既に価格が上昇しつつあるようだ。
鉄鉱石は特に主な産地西オーストラリアにおけるサイクロン発生と、世界中の鉄鋼会社からの需要増加を背景にして年初来の高値に来ている。鉄の含有量62%の豪州鉄鉱石はCIF(運賃保険料込み)中国渡しベースで先週トン当たり107.50ドルまで上昇し、一方インド産含有量63.5%物は104.50ドルまで上昇した。
鉄鉱石は昨年11月に世界金融危機の影響と中国の融資規制の影響を受けてトン当たり65ドルまで下落し、今年に入ってからも続落していた。
しかし今年後半以降韓国、日本、EUの輸入増加により中国への供給が細ったことが価格上昇の背景にあった。
一方、燃料炭は大手鉱山会社であるXstrata(エクストラータ.)が早くも日本の電力会社との価格交渉の合意に近づいているとの憶測が流れており、売り手市場の様相から更に価格が吊り上がる可能性が指摘されている。
ニューキャッスル産は先週トン当たり81.45ドルまで上昇し、一方南アフリカのリチャード・ベイ産は68.45ドルに値を下げた。ただ現下の豪ドル高は価格競争力のない弱小山元には厳しい影響を与えているとの指摘がある。
アナリストは「燃料炭の価格が一定以下に下がる場合には、鉱山会社がより需給が逼迫している製鉄に必要な原料炭(コークス)に生産をシフトさせるため、燃料炭の大きな値崩れは予想できない」としている。
つまりBHPビリトンやリオ・ティント、Valeなどの大手はコストと採算を考えて鉄鉱石、原料炭、燃料炭などのいわゆる製鉄関連アセットの生産をうまく操縦している訳である。
特にBHPは高品質の原料炭(コークス)部門に絶対的な強さを持っており、一方、Xstrata-マッカーサーは原料炭と燃料炭の交換採掘権をうまく使ったトレードを行っている。
今週初に西オーストラリアを襲ったサイクロンによりPort Hedlandなどの鉄鉱石積出港が操業の停止を余儀なくされている。Fortescue Metal Groupやリオ・ティントやウッドサイド・ペトローリアムやNewcrest Miningなどの大手が西オーストラリアで鉄鉱石やLNG(液化天然ガス)の採掘を行っているが、毎年のこととは言え、鉄鉱石やLNGの輸出に大きな影響を及ぼすサイクロン発生状況が今年も気になるところ。

一方原油価格は今週のOPEC臨時総会で生産枠の維持が決定されるとの思惑もあり今週軟調推移していたが、根本原因はやはり世界的なリセッションからの景気回復の遅れから強いの原油需要の増加が見られない点と、生産過多による在庫のだぶつきにある。加えて米ドルが対ユーロで一時の安値から反発していることやイラン軍のイラクからの撤退も原油の上値を重くしている。米国のCommodity Future Trading Commissionによるとヘッジファンドや投機筋の原油投機ポジションは過去2ヶ月の最低まで落ちており、12月15日付けのネットロングポジションは2ヶ月前から22%減少して53,192コントラクトとなっている。
上図では3資源はパラレルに動いているよう見えるし、鉱山資源という一つの範疇には入るものの、投機市場の建つ原油や金など投機アセットの動きと、基本的には投機市場のない実需主体で決まる鉄鉱石や石炭市場の動きは一線を画していると言える。


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