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2009年12月22日 (火)

不動産バブルと高齢化社会-中国の2大難題: 呂 新一

中国の不動産熱は止まるところを知らなくなりました。住宅価格の上昇率が約1年ぶりの高水準まで加速し、11月の住宅・商業用不動産開発面積は前年同期より200%近く増え、住宅販売面積も前年同期の2倍ほどまで膨らみました。

 

住宅価格高騰の背景は、中央政府が景気刺激のために用意した4兆元(約536千億円)の追加支出と地方政府が増やした財政支出の一部が住宅市場に流入したことと思われます。政府資金が呼び水として住宅価格高騰のきっかけを作った後、国有企業、民間企業、富裕層および海外投資家などが住宅投資のうまみを嗅ぎ付け、争って資金を住宅市場に投入したことが、住宅価格の一段高に繋がりました。

 

今まで、殆どの普通市民は世界的に不況が広がっている現在、住宅価格の高騰はあり得ないと考えてきましたが、ここにきて、上昇し続ける住宅価格は彼らにとって悩みのタネとなり、このままでは、自分が永遠に住宅を買えないのではないかと恐れ、買い急ぐ動きが広がっています。ある調査によれば、最近、各都市で中古マンション購入した者の3040%が若者で、彼らは結婚のためではなく、単に恐怖心に駆り出されて住宅を買ったのであります。

 

どの資産投資にも同じですが、今まで無縁の人が、このままでは自分だけが相対的に貧乏になってしまうのではと恐怖心に駆り出され、手を出した時は、大抵、その資産バブルが絶頂期を迎え、崩壊まではそう遠くないと考えられます。

 

また、報道によれば、四川省の成都市で、新築住宅が売りだされる途端、買い手が群がり、十数時間待たされた後、物色対象の部屋を内覧できたのはただの2分間であり、その後、購入代金を払うために2時間も並びます。言い換えれば、極端な売り手市場で、買い手にとっては住宅を手に入れるため、スーパーで白菜を買うよりも短期間で結論を出さなければなりません。

 

中国政府は住宅価格の異常な高さに警戒感を強めています。つい最近まで、住宅を売却する際、保有期間が2年を超えていれば消費税を払う必要はなかったが、今月9日にそれが変更され、保有期間が5年を超えてから初めて消費税免除となります。政府の目的は明らかに住宅を購入してから5年以内での転売行為を抑制することにあると見られます。ただ、その効果は非常に限られるように思われます。というのは、中国では、高級官僚を始め普通の国家公務員まで数カ所に住宅を持っている人は少なくありません。こうした人達は、そもそも不動産を資産備蓄の手段と考えているため、転売するつもりはないと思います。言い換えれば、中国で保有住宅に固定資産税がかからないだけに、転売に消費税がかかるようになると、余計に中古物件が市場に出回らなくなり、住宅価格の低下はそれほど期待できません。

 

そして、中国でいま進行中の高齢化社会現象は、将来に起こる不動産バブル崩壊の悪影響をより深刻なものにする可能性があります。

 

中国は1999年に既に高齢化社会に仲間入りしました。国連の基準によると、国全体の人口に占める60以上の人口の割合が10%になった時点で高齢化社会に入りますが、中国は1999年にその基準を満たしました。そして、2009年現在、中国の老年人口が1.62億に達し、国全体の人口に占める比率が12.79%となりました。

 

また、中国の生産年齢人口(1564歳)比率は今年でピークに達し、その後低下していくことになります(日本は1995年に生産年齢人口比率がピークを付けました)。このように、中国の高齢化社会化が急速に進み、将来的に不動産バブルが崩壊する際、あり余る住宅を買い取る手が不足する恐れは十分にあります。

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