注意報再発令!(その3) : かかし
停滞の一週間でした。日経平均株価は2.4%、ダウ平均株価は2.6%とともに下落しました。年初に日経平均株価が約9,000円、ダウ平均株価が9,000ドル程度で始まってから、現在までの株価の推移を追うと、両者の乖離が再び縮まってきました。
そこで、これからの日経平均株価について考えてみたいと思います。結論としては、今週も「注意報」を出したままにしておこうと思います。
実は、株式市場が比較的に大きく下落したこともあって、「注意報」を出しておく意味が薄れています。しかしながら、今日(2日、月曜日)は株式市場が大きく下げそうです。その背景については、私のブログである「スケアクロウ投資経済研究所」の「米国株式市場を振り返る 10月30日」をご参照ください。
そして、月曜日に下げた後は、大きな下落要因が見当たりません。ところが、残念なことに、大きく上げる要因も見えないのが現状です。そのため、月曜日の下げを引きずったままに終わるというのが現在の想定です。
先週は、シカゴオプション取引所が開発したVIXという指標を使ってお話をしました。ポイントは、VIXの上昇が投資家のリスク許容度を低める結果、ドル・キャリーの巻き戻しを誘発し、国際商品価格の下落を加速させる懸念があるということでした。詳細は「注意報再発令!(その2):かかし」をご覧いただければと存じます。
そうすると、問題は、果たして現在の株式市場の調整は、今後の長期的な下落の始まりとなるのか、それとも、急速な上昇を実現した株式市場が「一休み」をしているにすぎず、軽微な調整で終わるのか、ということになると思います。
私は、軽微な調整であろうと考えます。どのような上昇局面であろうと、ごく自然な波動としての調整局面は常に存在します。
そう考える理由は、経済の波動、つまり景気サイクルにあります。米国に関しての、この観点からのコメントは、「スケアクロウ投資経済研究所」の「予想外に好調だった8月の米国在庫循環モメンタム」で触れています。9月のデータが、あと数日で米国商務省から発表される予定です。
結論だけを簡単に述べれば、米国の製造業在庫循環モメンタムは上昇を続けており、この指標の上昇局面では、株式市場が重大な調整局面になる確率は極めて低いだろうということです。
では日本は? 10月29日に経済産業省が発表した9月の鉱工業生産動向は期待した以上に良い内容でした。在庫循環モメンタムは次のようになっています。
細い実線が鉱工業の出荷金額、つまり売上の増減率の推移です。着実に増加傾向が続いています。
細い点線は在庫金額の増減率の動き。在庫圧縮の努力が読み取れます。
そして、赤い太線が在庫循環モメンタムです。出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いたものです。
この在庫循環モメンタムが上昇している局面では、経済の需給バランスの改善が続いているため、株式市場も上昇基調であることが一般的です。
実際、在庫循環モメンタムと株価(日経平均株価)の連動性は高く、両者の乖離が長期間続く可能性は限定的です。現在はその乖離が進んでいるように見えるのですが、早晩解消されると考えています。
乖離の解消は、モメンタムの下落によって実現されるのではなく、株価の上昇によると見ています。多少詳細な議論は「スケアクロウ投資経済研究所」の「9月の鉱工業生産動向---需給改善が進む」をご参照いただければと存じます。
というわけで、株式市場の調整は軽微に終わるというのが結論なのですが、やはり株式市場の下落が続くと、構造論的な弱気論が必ず出てきます。皮肉ですが、この弱気のセンチメントが拡がることこそが、株式市場の下落を食い止める強力な力になりそうです。
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