注意報再解除!(その1) : かかし
3週間ほど「注意報再発令」としてきたのですが、再び解除したいと思います。株価が下落してしまったために、注意報を出しておく意味が薄くなってしまいました。
先週の日経平均株価は2.45%と大幅に下落しました。月曜日の2.31%に達する急落がそのまま尾を引いてしまったことになります。一方、ダウ平均株価は3.20%と好調に上げています。そのため、日経平均株価が大きく出遅れてしまったような感じがします。新聞等でも、そのような論調のコメントが見られます。
しかしながら、年初からの日米の株価推移をみると、それほど大きく乖離してしまったわけではないことがわかります。赤い太線が日経平均株価、黒い細線がダウ平均株価です。
図からも読み取れるとおり、日米の株価の連動性が消えてなくなってしまったということではなさそうです。
となると、今後両国のマーケットがどう展開するかということが気になります。
結論を先に申し上げると、米国の堅調さが持続することが期待できることと、日米の株価の高い連動性が維持されるために、遅かれ早かれ、日経平均株価のパフォーマンスがダウ平均株価に追いつくと考えています。ということは、今後の日経平均株価の上昇率がダウ平均株価を上回る可能性が高いことを意味しています。
なぜ、そのように考えるのか? それを3つの段階に分けて考えてみたいと思います。、(1)なぜ米国の株式市場が堅調に推移すると考えるのか? (2)なぜ日米の株式市場が連動すると想定するのか? (3)何が日本の株式市場の上昇を牽引するのか?
この3つを一度にお話しするわけにはいかないので、今日は米国の株式市場が堅調に推移すると考える理由を述べてみたいと思います。
再び結論を先に述べれば、景気サイクルの局面が株価を押し上げるということです。
11月3日に米国商務省が発表した9月の「出荷、在庫及び受注統計」(Manufacturers’ Shipments、Inventories, and Orders)から、全製造業の出荷の前年同月比増減率の推移を見てみましょう。金額ベースの出荷ですから、全製造業の月次売上高の増減率推移と見ることができます。
ポイントは、この指標が示す方向です。明らかに上昇基調にありますね。
それでは、次に出荷の増減率から在庫の増減率を差し引いた「在庫循環モメンタム」を見てみましょう。この指標は、米国の在庫変動によって引き起こされる景気サイクルの局面を示しています。
この指標も上昇しています。出荷金額が着実に回復基調にあることと、在庫圧縮などのコスト削減努力の成果が表れているわけです。同時に、在庫が減少しているということは、作る以上に売れていることを示唆していますから、良いシグナルであることは言うまでもありません。
この在庫循環モメンタムの動きと株価の動きが強く連動していることは、合理的であるように思えます。そして、直近の在庫循環モメンタムが順調に上昇していることが確認できたわけですから、堅調な株式市場の上昇が期待できそうだということになります。
というわけで、今日の議論はここまでです。
一言追加すると、この「在庫循環モメンタム」の動きは、一般的な景気認識よりも早目にシグナルを出してくれるところに特徴があります。多少理屈っぽいのですが、在庫率の変動で描かれる循環を微分した導関数であるために、4分の1サイクルほど早目に動くのです。
面白いことに、株価はこの導関数と同じように動く傾向があります。ということは、一般的な景気指標よりも株価は早目に動いているということになります。
以上、最後の部分は全くの余談です。
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