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2009年11月23日 (月)

注意報再解除!(その3) : かかし

 今日のコメントは、すっかり長くなってしまいました。すいません。気楽に読み飛ばしていただけたらと存じます。

注意報を解除して3週目に入ります。1週目の日経平均株価はたしかに下げ止まりの兆しを見せたのですが、2週目、つまり先週は2.79%の下落となってしまいました。ダウ平均株価が0.46%とわずかですが上昇したため、日経平均株価の低迷ぶりが目立ちます。

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 そこで、今週の日経平均株価をどう見るか? 結論として、「注意報再解除」はそのままにしておこうと思います。理由は、マーケットがすでに悪材料を大きく織り込んでしまっているということです。テクニカル面でも底打ちの兆候が出はじめています。

 先週は、悪材料が重なりました。現政権の政治手腕に対する不安が大きく取り上げられました。米大統領の来日もあってか、特に外交面での問題点が指摘されたようです。加えて、政府による「デフレ宣言」がマーケットに影を落としました。デフレに対する具体的な対応策が明示されていないことが不安を増長したようです。

 それだけではありませんでした。大企業による相次ぐ増資によるマーケットの需給悪化懸念が大きな話題になりました。そして、人民元をめぐる政治的な駆け引きの過程で、対米ドル円高への振れに対する恐怖心が高まったような気がします。

 主な悪材料だけでもこれだけあります。これらが同時進行でマーケットに襲いかかったわけです。ところが、どうにも腑に落ちないことがあります。それにしては、マーケットの下落幅が小さいのです。皮肉ですが、もっと下げても良さそうな状況でした。

 しかも、先週木曜日の後場には、日経平均株価に底堅さが見えはじめ、金曜日には米国株式市場の大幅下落のために、かなり安く寄り付いたにも関わらず、大引けはこの寄り付き価格を上回っているのです。

 弱気のセンチメントがマーケットを覆っているにもかかわらず、株価が必ずしもその通り素直に反応しているとは思えない理由は2つ考えられそうです。1つは、マーケットが鈍いだけであって、悪いニュースを十分に織り込むことができていないからという見方です。つまり、マーケットはこれから本格的に下げるということです。2つ目は、マーケットが、すでに早々と悪いニュースを織り込んでしまっていて、下げ余地が限定的になっているという考え方です。

 私自身は2つ目の見方をしています。そこで、主な悪材料を多少詳しく見てみたいと思います。

 まず、現政権の抱える様々な問題点、特に外交面での問題点について。これは、対米を主軸として、すぐれた外交手腕が高く評価された小泉政権と、対照的に、外交面の弱さが大きな問題点として批判されたノ・ムヒョン前韓国大統領の時代の株価の動きを比較するのが参考になりそうです。ノ・ムヒョン前大統領の時代の株価上昇率が圧倒的に高いのです。(詳細は「スケアクロウ投資経済研究所」の「鳩山民主党政権とノ・ムヒョン韓国前政権118日付けをご参照ください)

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 これをもって、政治的な問題は株価に関係ないと見ているわけではありませんが、少なくとも、政治的な要因が株価に及ぼす影響は意外に大きくないようです。

 デフレの問題は長期的な観点からは重要です。ただ、今年7-9月期のGDPデフレーターがきっかけの一つなった議論であるとすれば、ちょっと慎重に考えてみる必要がありそうです。わずか1年前にはデフレどころかインフレ問題が真っ盛りでした。日銀の製造業部門別投入・産出物価指数を利用して、製造業の出荷(=産出)価格と原材料調達(=投入)価格の推移をみると次のようになっています。

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 とくに、昨年の8月は原油価格の驚異的な高騰を背景に、原材料調達価格が17.9%という前代未聞の大幅な上昇となり、未曾有のインフレ時代が到来すると大騒ぎしていたのは記憶に新しいところです。デフレとは長期にわたる趨勢的な価格下落であると昔教わったような気がします。去年インフレ、今年デフレといったものではないようです。

 しかも、図をよくご覧いただくと、直近では、価格下落の最悪局面から脱出の気配をみせていることに注目する必要がありそうです。しかも、グローバル・マネーがふたたび商品に向かいつつあって、商品価格の高騰が危惧されていることも考慮すべきでしょう。

 つぎに、増資によるマーケットの需給懸念です。たしかに株の供給量が増えるわけですから、マーケットの需給は悪化してしまいます。しかしながら、興味深いのは、日経平均株価への寄与額という観点からみると、実はマーケットに与える影響が極めて小さいようなのです。この問題が大きくクローズアップされた先週木曜日(19)を例に挙げると、この日の日経平均株価は127円も下げてしまいました。ところが、話題の「増資関連銘柄」として、三井住友FGNEC、日立、日本郵船、三菱UFJなど5社を合計しても、日経平均をわずか2.6円引き下げたにすぎませんでした。一方、増資とは何の関係もないファースト・リテイリングただ1社で約36円も引き下げていたのです。増資の問題も意外にインパクトは限られているようです。(詳細は「スケアクロウ投資経済研究所」の「今日の株式市場を振り返る 1119」をご参照ください)

 残った問題は、対米ドル円高への振れの問題です。これは他の問題よりも深刻なようです。注目しているのは、シカゴオプション取引所のVIX指数。直近で上昇の気配を見せていたのですが、再び下落に転じました。意味するところは投資家のリスク許容度の高まり。投資家がより大きなリスクをとるようになっているわけですから、低金利にある米ドルのキャリー・トレードが加速することを示唆しています。となれば、米ドル安による円高への圧力は避けられそうもないように見えます。人民元の問題を震源とする円高の可能性も予断を許しません。

Vix20091123

 以上を総合的に勘案すると、対ドル円高への振れがマーケットへの圧迫要因となる可能性は高いのですが、その他の要因については、マーケットにはかなり織り込まれてしまっていて、一段の下落リスクは限定されてきたと見て良さそうです。

 見方を変えて、テクニカル面から考えると、ボリンジャー・バンドでは、日経平均株価は-2シグマ(標準偏差)のところで、反転の兆しを見せはじめています。今後は、低下するバンドに沿って株価も下落してしまうというバンド・ウォークが避けられるならば、-3シグマに向かって下落があるとしても、極めて一時的であるように思われます。したがって、株価は現在を底値に回復に転ずる可能性が高いと見ています。

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 ストキャスティックスとRSIがともに底値圏にあって、反発の可能性を示唆するシグナルを出しはじめていることにも注目しています。

Stkrsi20091123_2 

 というわけで、再解除した「注意報」は解除したままにしておこうと思っています。

 

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