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2009年11月25日 (水)

中国のGDPは統計で測れない訳: 呂 新一

先週金曜日から今週月曜日の4日間、親戚の結婚式のため中国に一時帰国しました。親戚の結婚式は上海のホテルで盛大に挙げられたが、結婚式の後、老いた母がいる泰興市に行き、その泰興市から上海に戻るため、乗っていた長距離バスで経験したことは中国の経済統計が当てにならないことを教えてくれました。

 

泰興市から上海に戻るのは日曜日の午後でした。泰興市では上海で仕事をしているまたは学生生活を送っている地元出身者が多いため、日曜日午後のバスでは混雑すると予想していました。ところでバスに乗って見ると、それほど混んでおらず、大型バスに40人ほどが乗っていて席にかなりの余裕がありました。

 

しかし、バスが大きくて立派に作られた駅を出た後、日本ではあまり経験できないことが起こりました。というのは、駅を出てから僅か50メートルの所で3人が切符なしで乗車してきました。そして、そのさらに50メートル先、70メート先、60メートル先、或いは100メートル先、…などなど、数えてみると、それほど大きくない泰興市の町の中で17回も臨時停車し、23人前後が切符なしで乗車して来ました。そのため、バスの中が非常に窮屈になり、高速道路に乗る長距離バスというより、前と後ろにある2つのドアが開けられないほど乗客が立っていて、通勤バスのようになりました。

 

駅から発車したのは午後4時半でしたが、あちこちで乗客を拾っていたため、高速道路に入る際はもう周囲がすでに暗闇になりました。そして、高速道路に入ると、今度、運転手の知り合いである女性が駅の外で乗車した人達からおカネを集め始めました。無論、切符を販売しているわけではなく、単に会社のバスを利用して運転手と共同事業をしているだけです。そこで良く見ると、私が駅で買った正規の切符は70人民元(日本円で約千50円)でしたが、皆さんがその女性に渡したのは一人当たり50元でした。なるほど、皆が駅の外でバスを待っていた訳が分かりました。

 

高速道路を使えば泰興市から上海市まで約2時間半の距離ですが、揚子江に掛っている大橋を通らなければなりません。今回の旅で初めてわかったのですが、大橋のふもとには定員オーバーになっているかどうかをチェックするポイントが設けられています。このような時は連携プレイと携帯電話の威力を発揮する場です。何と、そのポイントの手前でバスが止まり、定員オーバーとなった乗客を呼びつけてきた小型バスに分流にしたのではないか、そして、チェックポイントを過ぎてから安全とみられる所で、小型バスが追いついてきて、先ほど分流された乗客が再び私たちのバスに乗ってきました。

 

そして、今度いよいよ上海市に入りますが、その手前で、泰興市でしたことと同じように、バスが平気で高速道路の脇に止まり、切符なしで乗ってきた何人かは降りて行き、暗闇の中に消えていきました。

 

このバスの旅で経験したことは、中国のGDP統計がいかに信用できないかを教えてくれました。というのはどうなに真面目にデータを記録し統計を取っても、そのバスの運転手さんと彼の相棒の正確な収入が分かりません。そして、その日に23人前後を泰興市から上海に運んだ経済活動も記録に残りません。

 

その意味では、中国のGDP統計を真面目に信用せず、参考程度にほどほどにした方が良いと思います。

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