注意報解除!(その1) : かかし
日米とも株式市場が低迷しました。先週は、日経平均株価が5.2%と大幅に落ち込む一方で、ダウ平均株価は1.8%強の下落にとどまっています。
この結果、ダウ平均株価が底値を付けた今年3月9日を出発点にすると、日経平均株価は37.3%、ダウ平均株価は44.9%の上昇になりました。両市場とも一時は50%を超える上昇率に達していたので、かなり上げ幅が縮小しました。
そこで、これからをどう見れば良いのでしょうか。
これまで4週間にわたり「注意報発令!」というタイトルで、株式市場の低迷を懸念しつつお話してきたのですが、そろそろ注意報を解除しようと思います。
株価の下落を懸念しての「注意報」ですから、下落してしまえば「注意報」をわざわざ出しておく必要性が薄れてしまったというのが理由のひとつです。
もちろん理由はそれだけではありません。
もっとも注目しているのが、先週金曜日に米国商務省が発表した8月の「出荷・在庫・受注統計」です。その一部が、先行して「耐久財受注」として公表されるということは、以前にも申し上げました。
この商務省のデータをベースにして作成した全製造業の在庫循環モメンタムが、懸念に反して上昇しました。多少詳細な解説は、私のブログ「スケアクロウ投資経済研究所」での10月3日付けのコメント「予想外に好調だった8月の米国在庫循環モメンタム」をご参照いただければと思います。
ポイントは、この全製造業在庫循環モメンタムとダウ平均株価の連動性高さにあります。在庫循環モメンタムが上昇を続ける局面では、たとえ株式市場の調整があっても、一時的なものに終わる可能性が高く、基調の上昇トレンドは壊れない可能性が高いのです。
そうであるならば、注目したいのは日米の株式市場の連動性高さです。確かに、今年3月9日を起点に両市場の動きを見れば、連動性の高さは維持されているものの、直近では日本の下落のペースが多少早いようにも見えます。ところが、日経平均株価がほぼ9,000円、ダウ平均株価が9,000ドルという水準にあった年初を起点として、両市場の動向を見ると、単に日経平均株価の上昇率がダウ平均株価を上回ってきた分が消え、両市場が再び同水準に復帰したと見ることができます。
いずれにしても、重要な論点は、日米の株式市場の連動性が失われたわけではないようだということです。
となれば、ダウ平均株価の調整が一時的なものである可能性が高いにも関わらず、日経平均株価だけが下落を続けると考えることはとても不自然だということになります。おそらく、日本の調整も一時的なものにとどまる可能性が高いと考えられます。
ちなみに、経済産業省が発表した8月の鉱工業生産動向をベースに作成した鉱工業在庫循環モメンタムは次のようになっています。米国同様、上昇ペースの減速が懸念されたにも関わらず、むしろ上昇が加速したように見えます。この点につきましては、紙面の都合もあり、ブログ「スケアクロウ投資経済研究所」の9月30日付コメント「8月の鉱工業生産動向をどう読む?」をご参照いただければと存じます。
というわけで、そろそろ注意報を解除して、次の上昇局面に備える必要がありそうだという結論になります。
ただし、「10月は魔物が住む」というアノマリーがあります。気をつけるにこしたことはありません。注意報は解除ですが、積極的に買い進むということではありません。念のため。
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