注意報再発令!(その2) : かかし
2週間ほど好調な上昇が続いた日米の株式市場ですが、先週は打って変わって停滞感の強い1週間となってしまいました。
日経平均株価は0.25%と僅かな上げに留まりました。一方、ダウ平均株価は0.23%の下落となっています。
年初からの両市場の動向が、ここにきて一段と高い連動性を見せていることは、先週も申し上げました。
停滞の背景については、前回のレポート「注意報再発令!(その1):かかし」で指摘したことから大きく乖離してはいないようです。
そこで、これからどうなるかに焦点を絞りたいと思います。この停滞が本格的なものとなるのか? それとも軽微にとどまり、再び上昇軌道に復帰するのか?
結論を先に申し上げておくと、かなり早い時期に再び上昇基調に転ずると見ています。ただし、日米がほとんど同じペースで上昇するということではないようです。日本の上昇率が多少上回り、日米の株価乖離が再び拡大する可能性が高いのではないかと考えています。
まず、日米の株価が上昇軌道に復帰すると見る理由ですが、株価との連動性の高い在庫循環モメンタムが上昇基調にあるためです。そして、その上昇のペースを見ると、日本のほうが米国よりも速いということについては、前回のレポートでも指摘したとおりです。多少詳細な議論は、私のブログである「スケアクロウ投資経済研究所」の10月4日付け記事「予想外に好調だった8月の米国在庫循環モメンタム」をご参照いただければと思います。
それでは、なぜ日経平均株価の上昇率がダウ平均株価を上回るのか? 一つには、今申し上げたように、両国製造業の在庫循環モメンタムの動向の差が上げられるのですが、実はそれだけではありません。
注目しているのは、シカゴオプション取引所の開発したVIX指数の動きです。前年のリーマン・ショックのあたりにピークを付けたあと、大きく下落してきたのですが、どうも様子が変わってきました。再び上昇する兆しを見せているのです。
ただし、本格的な反騰になるのかどうかについては、現段階では自信がありません。長いスパンでVIX指数の動きを見れば、依然として底値圏にあるのが明白だからです。しかし、この指数が20という水準にあることに、注目しています。反発は、時間の問題であるように見えるからです。
では、VIXの反騰は何を意味するのでしょうか? 投資家のリスク許容度の低下です。
であるならば、考えられるシナリオがある程度見えてきます。VIX指数の上昇➱投資家のリスク許容度の低下➱国際商品からの投機的資金の引き揚げ➱国際商品市況の下落➱米国へのドルの回帰(ドル・キャリーの巻き戻し)➱ドル高(➱円安)
そうすると、日米の企業業績の動向に変化が生じてきます。ドル高は、これまでドル安メリットを享受してきた米国企業にはダメージとなりそうです。一方、円高に苦しんできた日本企業にとっては、収益底上げへの期待が高まります。
実は、日経平均株価に対する寄与度が大きい自動車やエレクトロニクスなどは、円安の恩恵を大きく受ける傾向が強いのです。
したがって、今後の日経平均株価とダウ平均株価の乖離が再び拡大する可能性が高いのではないかと考えています。
今後の展開を注視したいと思います。
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