« 今週の豪ドル見通し:津田 | トップページ | ドル円、ユーロ円、朝イチ需給 »

2009年10月19日 (月)

注意報再発令!(その1) : かかし

せっかく解除した「注意報」なのですが、再発令です。決算を見る株式市場の目が厳しくなっていることが、最も大きな理由です。

 先週は日米の株式市場はともに堅調でした。日経平均株価は2.4%の上昇。米国の株式市場が強かったことに加えて、休暇明けの上海株式市場が大きく上昇したこと、さらに対ドルで大幅円高に振れた為替が多少円安方向に戻したことも株式市場の上昇を支えたようです。一方、ダウ平均株価は、いくつかの企業の好決算が牽引して1.3%高で週を終えています。

20091019   

 ところが、快調に見える上昇の中に、かなりはっきりといくつかの不安の芽が見えてきました。

 その中で、特に重要と思われるのは、米国の決算に対するマーケットの反応です。インテル、JPモルガン・チェース、グーグルなど、売上や利益が事前予想を上回った銘柄の株価は大きく上昇しているのですが、IBMやバンク・オブ・アメリカの例に見られるように、たとえ損益がコンセンサスより良いものであったとしても、売上が予想を下回ったり、あるいは今後の売上動向に不透明感が強い場合には、株価が容赦なく下落しているのです。

 決算シーズンは始まったばかりですから、断定的なことは言えませんが、株式市場の反応が意味するところは、コスト削減でひねり出された利益よりも、今後の業績回復基盤となるべき売上の回復が必要だということです。業績が回復基調を維持するための証拠を見せてほしいと株式市場は言っているわけです。

 このような動きは、26日に始まる週から本格化する日本の株式市場にも大きな影響を及ぼすと思われます。

 そこで、日米の売上の動向を大まかに検証しておきたいと思います。

まず米国の全製造業の出荷金額の増減率の推移です。出荷金額はすなわち売上高です。この図から判断するかぎり、本格的な上昇局面に入るかどうかは微妙です。

20091019_2

しかしながら、全製造業を構成するサブカテゴリ―の状況をチェックすると、出荷金額が上昇に転ずるところが月を追って増加してきています。したがって、全製造業の指標も今後さらに上昇基調を鮮明にすると見られます。そのため、それほど大きく心配しているわけではありません。しかし、回復の証拠を見たいというマーケットのセンチメントは十分に理解できます。

次に日本です。鉱工業の出荷金額の増減率を見ると、米国に比べて上昇基調が鮮明です。

20091019_3

年初からの日米の株価乖離を追っていくと、日本が米国を引き離している期間が長いことがわかります。この原因の一端は、この出荷金額、つまり売上動向の基調の差にあるのではないか見ています。

20091016

となれば、これから始まる決算もそう心配はないと思われるかも知れませんが、どうもそう簡単には行かないようです。

日米の株価乖離を見ていて気がつくのは、乖離が急速に縮まり、ほとんど消滅したということです。日本のパフォーマンスが落ちたのです。なぜか? 対ドル円レートが原因と考えます。対ドルでの急速な円高が、企業業績の回復を遅らせるという懸念がマーケットの頭を押さえているということです。

それでは、今後の対ドル円レート動きは? この点に関しては、私のブログである「スケアクロウ投資経済研究所」の中で、「今日の米国市場を振り返る 1016」及び「決算シーズン入りを前に」というタイトルで、多少詳細に検討しましたので、時間があるようでしたらご参照いただけたらと思います。

ポイントだけを指摘しておくと、シカゴオプション取引所のVIX指数の下落が示すように、投資家のリスク許容度が高まっているうえに、ロンドンのインターバンク金利(LIBOR)で見ると、ドル金利が異常な低水準を維持したままになっています。ということは、バーナンキ発言にもかかわらず、ドル・キャリートレードを促す環境に依然として変化はなく、ドル安、つまり円高と、国際商品価格の上昇が続く可能性が高いと言えそうです。

となれば、対ドル円高の重石はそう簡単には外れそうもありません。輸出売上の目減りと採算の悪化が、企業業績の回復を遅らせる要因として立ちはだかります。

というわけで、結論なのですが、日本も本格的な決算シーズン入りを前にして、米国株式市場が見せているような、決算に対する厳しい反応が見られる可能性が高いということです。そして、円高による業績回復の遅れに対して、株式市場が厳しい反応をする可能性が大きいことを考慮しておく必要がありそうだということです。

 もっとも、決して悲観的になっているわけではありません。多少の時間的な遅れがあったとしても回復は進むでしょう。あくまでも「注意報」の再発令であるにすぎないのであって、「警戒警報」や「退却勧告」ではないことは強調しておく必要がありそうです。

野村雅道と楽しい投資仲間達おすすめFX会社

|

« 今週の豪ドル見通し:津田 | トップページ | ドル円、ユーロ円、朝イチ需給 »

日本株」カテゴリの記事

6かかし(2)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 今週の豪ドル見通し:津田 | トップページ | ドル円、ユーロ円、朝イチ需給 »