今の商品相場の堅調は本物か?:津田
最近のドルキャリートレードの結果であろうか、商品相場が堅調である。商品先物インデックス(CRB INDEX)は昨日262でクローズしたが、これは昨年7月の史上高値473に比べればまだ低位ではあるが、3月の安値200近辺から大きくリバウンドしており、260台を付けるのは今年6月、8月に続いて3度目である。はたして今回3度目の正直で抵抗線をブレークするかどうか。昨日金価格は1オンス1018ドルまで上昇したが、これは3月の史上高値1033ドルのわずか下であり、原油価格は1バレル72ドルに上昇し、銅やアルミなどの非鉄金属類もこの流れにフォローした。
昨日の商品相場反発の背景を見てみると米ドル安、前日発表された8月の米小売売上高や昨日の鉱工業生産指数の堅調な数字、バーナンキFRB議長による“リセッションは終わったのではないか”との発言等々。
ただ商品相場の専門家は今回のラリーを覚めた目で見ている。つまり実需よりは投機的資金の流入がもたらしている商品相場上昇というわけだ。
彼らが根拠として挙げるのは世界交易の状況を把握するバロメーターと言われる国際運賃レートが中国の商品輸入需要が低迷し始めているために、過去3か月で半分に下がっていることである。たとえば豪州から中国への鉄鉱石の運賃はトン当たり10米ドル以下に下がったが、これは昨年末の世界経済危機時の最安値より若干上という低運賃だ。また需要が弱いだけではなく、昨年の商品相場急騰時に運搬用のタンカーを大量に造船した結果との見方もできる。つまり船がだぶついているということだ。商品トレーダーは需要にマッチしない相場の上昇に懐疑的になっている。
実際投機マネーはCOMMODITY EXCHNAGE TRADED FUNDやCOMMODITY INDEX FUND などの投機ファンドに大量に流入している。特に金相場への流入が顕著であるが銅から原油まで押し並べて投機資金の流入が活発である。
ただバーナンキFRB議長も述べているように「たとえリセッションは終わったとしても、景気の実態は依然として脆弱である」との認識である。
商品相場がV字回復を示しても景気の回復が追い付かない場合には、商品相場が自ずと反落する可能性がある。
当地のマッコーリー大学の調べでは中国の商品需要が減速しており、原油や銅から鉄鋼まで在庫が積み上がりつつあるという。今年7月までの中国以外の国・地域の商品需要は昨年に比べて25%減少しているという。
London Metal Exchange (LME) の倉庫における銅の在庫は今週火曜日には322,550メタリックトンに達しており、これは7月14日の256,900トンから26%増加している。上海FUTURES EXCHANGEの在庫は先週金曜日に97,396トンであるがこれは7月中旬の54,167トンから80%増加している。上海ベースのMysteel社調べでは9月最初の10日間の中国の建設用鉄鋼在庫は前年同期比で 54%増加して10.95ミリオントンと今年3月の最高値近辺に戻ってきている。中国の鉄鋼生産は8月に52ミリオントンと過去最大を記録したが亜鉛や銅やアルミニウムも同様に急激に生産量が増加している。最終利用者が増加しない限り益々在庫が積み上がる可能性がある。
中国は今年8%成長を達成しそうな勢いであり、世界的な景気回復が持続すれば商品相場のV字回復も本物となるが、そうならない場合にはこの商品相場の堅調も長続きしない恐れが出てくる。
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