これから中国の株価の揺れが高まる可能性: 呂 新一
これからの1年から2年までの間、中国の株価変動性(ボラティリティ)がさらに高まると見られます。
それは、まず、短期要因から言うと、国慶節(10月1日)が近づいてきているため、中国政府・共産党はどのような代価を払っても、新中国誕生60周年記念日を賑やかにお祝いし、全中国人、いや、全世界の人に中国共産党の功績ならびに力を認めさせ、感じさせたいと見られ、その目標を達成するには株価の急落は防がなければならず、不動産価格の急騰など色んな副作用が目立ってきた過度な金融緩和策の調整を国慶節の後に先送りにする可能性が非常に高い。そうなると、国慶節が過ぎた後、実質的な金融引き締め(過度な緩和⇒節度のある緩和への政策変更)が行われ、株価が下落圧力にさらされる公算が大きい。
そして、「中国版ナスダック」である新興企業向けの株式市場である「創業板」(ベンチャー・ボード)は近いうちに開設され、今年11月にも50-100社のIPOが行われる予定です。「創業板」の開設は現存の株式市場から資金を分流させるほか、「創業板」には“投機性”の高い株(企業)が多いため、株式市場全体の変動性(ボラティリティ)が高まることになると見られます。
さらに、より長期的な観点から見ると、昨年の後半から中国政府が今年の最大目標を8%の経済成長確保と掲げ、それを達成するため、4兆人民元(日本円で約56兆円)にのぼる“超”の字が付く大型景気刺激策を実施して来ましたが、いずれその効果が薄れ、中国経済の実力が問われることになります。残念なことに、現時点では、今年の8%成長目標が達成できるとしても、その中身は、政府主導、土木工事が殆どの公共投資主導、そして資源多消費型であり、持続的な発展の保証である民間主導、内需主導、省資源・省エネルギー型産業には程遠い。言い換えれば、政府による刺激策の効果が薄れた後、中国経済が厳しい試練を迎えることになり、その試練期において株価の乱高下が予想されます。
上記のような外部要因のほか、中国にはブランド力が高く、品質が信頼でき、多くの消費者に愛される製品を送り出している企業はあまりに少ないことも1つの理由になると思われます。最後まで信頼が置け、安心して長期保有でき、長期保有への報酬として高いリターンが期待できる企業が少ない状況が続けば、いずれ、学習効果で殆どの投資家は株の長期保有をよしとせず、短期の売買に走り、その結果、必然的に中国株の変動性が高まります。
そのような理由で、これからは中国株の変動性がますます高まると見られます。
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