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2009年8月 6日 (木)

RBAの利上げ時期は??:津田

火曜日のRBA理事会後スティーブンス総裁が「豪州経済は予想よりはるかに強い回復を示している」と発言して以来、マネーマーケットでは向こう1年間で1.5%の利上げを織り込む形となっている。RBAは世界景気の後退への対抗措置として昨年9月から計4.25%の利下げを行ったが、その後8月まで4カ月連続で金利を据え置いたことになる。

RBA声明文から“追加緩和示唆文言”が消えるとともに総裁自身のコメントからも「世界経済のダウンサイドリスクが軽減した」「豪州の経済状態は予想されたより良好」との発言から、投資家は“次のステップは利上げ”と判断しているようだ。
金利フューチャーマーケットでは向こう1年間で152BPの利上げを織り込むレベルまで値を下げて(金利が上昇して)いる。
また債券相場は下落し、ベンチマークの3年物Commonwealth Securitiesの利回りは10カ月ぶりの高値4.9%まで上昇した。

多くのエコノミストはRBA2010年に引き締めに転じると見ている。しかしCitiグループのチーフエコノミストPaul Brennanは、RBAはクリスマスまでに0.25%を引き上げるという意見である。「現在年内利上げは少数意見であるが、2-3か月のうちにこのような見方が増えるであろう。しかし、たとえRBAが利上げをしたとしても金融政策は依然として非常に緩和的である」という意見。彼の見解は“年末の引き上げに続いて来年は更に引締めが継続し、来年末にはキャッシュレートは5.5%になる”。

一方ANZのエコノミストAlex Joinerは「RBA2010年下半期まで利上げをしないであろう。」と述べ、火曜日に発表された第2四半期の住宅価格指数が4.2%上昇したことの原因とされる、“行き過ぎた金融緩和が再び住宅バブルに火を付けると”いう懸念を軽視する。
RBAが住宅価格の上昇に対してどのような措置を取るかについては色々な憶測がある。金利が底を打ったことは間違いないが、これが即、利上げにつながるという見方はあまりにアグレッシブ」とみる。「まだ危機は去ったわけではない。事実今年下期についても企業設備投資の落ち込みの懸念が残る。したがって利上げは来年後半にずれ込む」と見る。

昨日の声明文を読む限り、RBAは少なくとも緩和バイアスからニュートラルバイアスに、政策を変更したと思われる。

7月まで聞かれたRBA再利下げ説や、少なくともの利上げが来年にずれ込むという意見の根拠は“雇用情勢の更なる悪化と世界経済の回復が遅延する”との危惧であった。
しかしながら、このところ各国当局の景気回復見通しは従来よりも楽観的であり、実際に各国ともポジティブな経済指標が出始めている。
また本日発表された7月雇用統計は失業率が6%予想に対して5.8%。また雇用者数はfull-time-job-16千人ではあったが、全体では-18千人の予想に対して、+32.2千人と大きくプラスに傾いたことなどを勘案すると、利上げ時期が遅れるという説の根拠に乏しい。

一方、利上げの時期が繰り上がるとする説の主な根拠は、投機的な住宅価格の上昇であった。これは2001年のリセッションの後2003年には住宅バブルが急激に膨らみRBAが利上げの前倒しを余儀なくされた状況が想起される。
今回も史上最低レベルの金利水準とfirst-home-owner-grant(初回住宅購入者への優遇措置)により、本来住宅購入不適格者まで購入熱にうなされているとのレポートもある。豪州統計局調べによると、第一四半期6.2%下落した住宅価格は第二四半期4.2%上昇している。
客観情勢からみれば、年内利上げがあってもおかしくないが、依然慎重な意見も聞かれるのは、今回の世界経済危機の規模があまりに大きかったからであろう。
利上げ時期を探る上で、年後半の世界経済動向、国内では特に雇用、住宅そして民間設備投資動向を注視していく必要があろう。


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