先週の日経平均株価は2.89%上昇しました。その前の週が3.39%落ち込んだのですが、かなり取り戻しました。そのため、3月の大底からの上昇率は49%と再び5割に接近しています。
一方、先週のダウ平均株価も上昇したのですが、上昇率は0.1%にとどまり、3月の大底からの上昇率は46%弱となっています。
日米の株価の動きに乖離が見えるのですが、これからどうなるのか?
結論から言うと、怪しい雲行きです。日経平均株価は、あとしばらくは比較的に堅調でしょうが、年末にかけて、ブレーキを踏む局面が予想されます。
といっても、すでに大底から5割上げており、勝負所は過ぎているわけですから、これまでのような順調な上昇が、そのまま続くと期待するほうが欲張りすぎと言えるかも知れません。
ごく大雑把な理由は、米国の株式市場に頭打ち感が強まり、それに日本の株式市場が連動するということです。この論点は、これから多少時間をかけてお話することにして、今日は国内要因に焦点を当ててみたいと思います。
景気動向を示す指標である鉱工業の在庫循環モメンタムが株価と連動することは、これまでの何度か申し上げました。在庫循環モメンタムは出荷金額の変化率から在庫金額の変化率を差し引いたものです。
そこで、今後の鉱工業在庫循環モメンタムの動向を、わかる範囲で、予想して見たいと思います。指標の構成要素をチェックしていくわけです。
出荷数量:減少幅の縮小が続いています。ただし、今後の動きは多少複雑になります。8月は減少幅の縮小が続きそうですが、9月は拡大しそうです。前年9月の出荷が高水準であったため、前年同期比の減少幅が拡大する可能性が高いのです。10月には再び減少幅縮小が予想されます。前年10月の出荷の落ち込みが厳しかったためです。そうなると、9月の数字が発表される10月末は要注意です。
出荷価格:去年は8月まで価格上昇が続いていました。その後9月から下降を始め、10月以降は急落しています。したがって、今年の出荷価格の下落幅縮小は今後も続きそうです。8月までの縮小幅はわずかですが、9月までの縮小幅は限定的ですが、10月以降は目に見えて縮小が進みそうです。
在庫数量:自動車や鉄鋼の減産緩和の動きに示されるように、在庫圧縮の努力が弱まりつつあります。7月から9月にかけて在庫の減少幅が縮小しそうです。10月以降も、前年の在庫が急減していることもあって、減少幅の縮小が続く可能性が高いと見ています。
在庫価格:前年は10月以降に在庫価格が急落しました。国際商品市況が示すように、原燃料価格が急落したためです。今年は8月あたりまでは在庫価格の低下が続きそうなのですが、すでに原燃料価格回復の影響が見え始めており、9月以降の低下幅は大きく縮小しそうです。
以上、鉱工業在庫循環モメンタムの構成要素を組み合わせると、次のような展開が浮かび上がります。
(1) 出荷金額の減少幅縮小は8月までは続くが、9月に一時的に急拡大する。その後は再び縮小基調に。(プラス要因)
(2) 在庫金額の減少幅も8月までは続くが、9月以降は縮小基調が鮮明になる。(マイナス要因)
(3) この結果、鉱工業の在庫循環モメンタムは8月までは上昇基調を維持するが、9月に大きく落ち込む。そして年末にかけて徐々に上昇する。
この動きと株価の連動性が高いわけですから、株価の動きは次のようになりそうです。
(1) 8月の鉱工業生産動向が発表される9月末までは、日経平均株価は頭が重くなりつつも、堅調に推移する可能性が高い。
(2) 9月の鉱工業生産が発表される10月末は要注意。したがって、10月に入ると、つまり9月の鉱工業生産動向が市場に織り込まれ次第、株価は軟調な展開となることが予想されるため、シートベルトとブレーキを踏む態勢が欠かせないようです。
(3) ただし、10月から11月にかけて、株価の調整が進めば、2010年春にかけての上昇に備えて、再びブレーキからアクセルに切り替える必要がありそうです。シートベルは忘れずに!
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