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2009年7月30日 (木)

RBA総裁の強気見通しの陰に潜む危険:津田

豪州経済は、家計部門と企業部門の両方において、9か月前のリーマンショックの頃に危惧されたより、はるかに良好なパーフォーマンスを見せている。28日(火曜日)に発表された第二四半期のNAB(ナショナル・オーストラリア銀行)の企業景況感指数は11ポイント上昇して-9、企業信頼感指数も20ポイント上昇して-4となった。商業活動と収益双方の改善が確認された。しかしこれはあくまでも相対比較の問題であり、“アルマゲドン(人類最後の日の決戦)のレベルから1990年台初頭のリセッションレベルに改善しただけ”との見方も依然根強い。

28日のRBAスティーブンス総裁の講演内容(2005年に創設された“青少年のうつ病と自殺救済基金 Anika Foundation”での講演)を見ると、RBAが景気の先行きに対して非常に敏感になっているのが分かる。同総裁は「豪州人の受け止め方が昨年来の“グラスの中身が半分になってしまった”という失望感から“グラスの中身は半分まで戻ってきた”というポジティブな見方に変わりつつある」と述べている。また「6か月前に比べて下方リスクと上昇リスクがよりバランスしている」と述べて、金融政策が従来の緩和バイアスからニュートラルに戻りつつあるとの見方を示した。

これを受けて金利フューチャーマーケットでは向こう1年で1%の利上げを織り込む形になっている。

政府とRBAは過去9カ月間で消費者と企業の信頼感を取り戻してきたことが最も重要なポイントであると強調する。
金融緩和、給付金、first-home-buyerへの優遇措置の延長、車ローン補助は国民経済の回復に寄与してきたことは間違いのないところであろう。
しかし、これらの措置は他国でも一般的に取られた措置であり、ある意味で“計算できる政策”であった。

しかしここからが問題となるわけだ。つまり政府の景気対策、金融緩和は既に市場で消化された。ここから更に消費をけん引するインセンティブに欠けるし、また企業設備投資が年間を通して大きく落ち込むことが予想される。
Access Economics社によると本年度(20097月~20106月)民間設備投資は17%落ち込み、来年度は7%落ち込むと予想する。この予想は5月の政府予算案で見られる本年度投資予想 -18.5%とほぼ一致する。(来年度は-3.5%を予想)
現在政府とRBAは景気の二番底を避けるべく、向こう18ヵ月にわたる公共投資計画を作成している。それらの根幹は学校建設、道路及び港湾整備、住宅建設補助などの公共事業である。

RBAは今後“「初期の景気回復の芽」を摘まないように気を付けながら、同時に資産価格バブルの再来を阻止する”という難しいカジ取りを強いられることになる。

金融市場の回復にもかかわらず、下方リスクは依然として存在するという状況が続く。


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