調整完了!?(その2) : かかし
先週の日経平均株価は5.8%と大きく上げ、ダウ平均株価の上昇率4.0%を上回りました。3月上旬の底値からみると、日経が41%、ダウが39%とほぼ肩を並べています。
先週末のCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)における日経平均先物の清算値は10,000円を上回り、株式市場のセンチメントはすっかり明るくなりました。
さて、問題はこれからです。このまま大幅な上昇が続くことを期待して良いのでしょうか?
どうも、そううまくはいかない気がします。もちろん悲観的ではないのですが、過度な楽観も控えたいと思っています。
なぜか? 国内の政局や、続々と出てくる決算の行方を心配しているわけではありません。先ほどのグラフが物語っているように、日米の株価連動が鮮明になっている局面では、米国の状況が気になるのです。
その原因は、先週のマイクロソフトの決算に対する株式市場の反応です。4-6月の最終利益が29%減少したことは、ほぼコンセンサスに沿ったものでした。ところが、売上高が17%も減少したことに対して株式市場は強く失望したようです。
これまで、株式市場は「思ったより悪くない利益」に反応してきました。低迷する売上には目をつぶってきたのです。
売上高の動向を株式市場が気にしはじめたということは、明らかに景気や業績の回復に対する期待のレベルが一段高くなったことを意味すると理解しています。
その視点から、米国商務省のデータを使って、コンピュータ及び関連産業の月次出荷額、つまり売上高推移をみると、確かに減収率の拡大は止まりましたが、回復への明確なベクトルが示されているわけではありません。
そうなると、半導体など関連産業の株価に対する影響が気になってきます。現在の回復への動きは、半導体ユーザーの在庫調整完了による購買量増加にすぎないもので、最終需要が回復したわけではないのではという不安が台頭してくるからです。
回復が、原材料から最終製品に至るサプライチェーンの中流領域で生じている暫定的なものに過ぎないという見方が拡がるわけです。
そうなると、今後の株式市場は予想ほど悪くない利益を評価する段階から、売上高を含めた業績回復の質に対するより明確な証拠を要求するようになりますから、市場全体が一時的に調整する可能性があるのです。
とは言っても、私はその調整について大きく心配する必要はないだろうと考えています、なぜならば、このような議論は、大きな景気低迷の後の回復局面では、いつも出てくるものだからです。「不況下の株高」はこのような局面で進行します。株高の基調自体は変わらないでしょう。
出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いた在庫循環モメンタムで見ると、コンピュータ及び関連産業の状況は大きく改善しています。株価はこの指標に反応する傾向が強いため、出荷金額(売上高)の推移を懸念する株価の調整は、たとえあったとしても、一時的なものであると考えています。
この話題は、私のブログ「スケアクロウ投資経済研究所http://kakashi490123.cocolog-nifty.com/blog/ の中でも、「米国株式市場を振り返る 7月24日」という見出しで、より詳細な株式市場の動向解説とともに、言及しています。あわせてご参照いただければ幸いです。
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