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2009年7月 1日 (水)

米株式相場にとって試練の日が来ました:竜河

米株式相場は3月上旬にボトムをつけ反発してきました。S&P500種を例にすると、3月9日の終値である676.53から昨日の終値である927.23までの上昇率は37.1%に達しました。

 

株価が大きく下落する局面から回復する局面までの段取りは次のようなものと考えられます。まず、恐怖心理が全てを支配する状況下で狼狽売りが止まらず、株価は適正価格を大きく下回るレベルまで下落します。その後、空売りの買い戻しと安値拾いの買いが入り、株価は回復へ転じ、そこで、政府による政策対応と中央銀行の緩和措置などのバックアップがあれば、株価は一段と上昇ピッチを速め大きく反発します。そして、株価反発に伴い投資家心理が改善し、買いが一層広がります。

 

今のアメリカの株式相場はこのような投資家心理が改善し買いがさらに広がった状態にあると見られます。この状態の特徴を言うと、楽観心理が蔓延しているだけに、下落への備えが足りず、何かのきっかけがあれば、急上昇してきただけに調整しやすいことです。

 

そこで、考えられる相場急落の2つのきっかけは、長期金利が大きく上昇することと、企業の決算発表です。まず、長期金利について言うと、長期金利が高騰すれば、実体経済、中でも特に住宅市場への悪影響は非常に大きいと考えられます。幸い、今のところ、長期金利は5月の下旬で一服しました。もう1つの企業業績ですが、これから1か月ほどの間、米主要企業による2009年度第2四半期決算発表が目白押しです。無論、企業業績が失望的なものであれば、今までの株価上昇の拠り所がなくなり、相場が再び下落トレンドに入ることが明らかです。その意味では、米株式相場はこれから試練の時期を迎えると言えます。

 

我々の見るところでは、4月の主要20都市圏の住宅価格動向を示す(ケース・シラー)指数が前年比18.1%低下し、住宅価格の底打ちはまだ見られず、そして、個人貯蓄率が上昇傾向にあり(3月:4.3%、4月:5.6%、5月:6.9%)、米国民は消費抑制する指向を強めているなど、最終需要がまだまだ弱く、企業業績の大幅改善が期待できない可能性が大きい。言い換えれば、企業の決算発表を1つの転機に、株式相場が再び低下トレンドに入る可能性が大きい。

 

チャートも、米株がこれから試練の時期を迎えることを示唆しています。下記チャートはS&P500種の過去3カ月の推移を示したものですが、それをよく見ると、5月に入ってから三尊の形を形成しているように見えます。まず、5月上旬に左肩、そして6月中旬に頭が完成し、今は右の肩を作っている所のようです。また、出来高の方も右肩を作っている現在が左肩を作っていた5月上旬より少ない。言い換えれば、米株がこれから時間をかけ右肩を完成し、その後再び下落トレンドに入る可能性が大きい。


Spx

 

ただ、1つの留意されたいことは、米株式相場が下落トレンドに入るには、ダウ・ジョーンズ、S&P500種、そしてナスダックの3主要株価指数が共に下落することが必要で、上昇する指数が1つでもあれば、下落トレンドに入らないことは多い。

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