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2009年6月 4日 (木)

(豪州特集)輸入減少がQ1GDPを押し上げたが、、:津田

オーストラリア統計局(ABS)が昨日発表した第1四半期のGDP伸び率は、前期比プラス0.2%、前年比プラス0.4%となった。当初の予想は前期比マイナス0.2%(前年比マイナス0.1%)であったが前日発表された経常赤字が予想を大きく下回ったため、市場予測の中央値(ロイターまとめ)は前期比プラス0.2%、前年比はプラス0.1%に直前修正されていた。また 2008年第4四半期のGDP改定値は前回の前期比マイナス0.5%からマイナス0.6%に下方修正された。
 2009年第1・四半期は、輸入の減少で貿易収支が大幅に改善したことで、企業投資や住宅投資の減少が相殺され、プラス成長に転じた。これにより、オーストラリアはリセッション(景気後退)入りと定義される2四半期連続のマイナス成長を回避した。リセッション入りしていない先進国は韓国と豪州のみとなる。

火曜日に発表されたQ1経常収支は-4,614mio豪ドルと前期の-6,357mio豪ドルから大きく改善し、市場予想値-5,425mio豪ドルをも大きく下回った。この驚きの赤字減少を見てGDPプラス予想が俄然強まっていた。
しかし当地のエコノミストは今後輸出の落ち込みが予想されるため経常赤字は再び増加傾向になると警戒的な見方をしている。
豪州貿易によく出てくる言葉”term of trade”(輸出価格総額の輸入価格総額に対する比率)は昨年の史上高値から続落中である。
輸出価格の下落はQ1における年率22%増の農業生産物輸出の大幅増加を相殺した。
term of tradeは今後中国の豪州産鉄鉱石値下げ交渉(40~50%を要求)の結果次第では更に大幅に低下する可能性がある。
火曜日のRBAによる金利据え置き決定後にリリースされた声明文で、RBAは「昨年Q4に世界経済が大きく後退した後、現在安定化している証拠がある。多くの国における巨額の景気刺激の結果、景気の後退が阻止され、最終的に景気は回復に向かうであろう。景気の転換は中国をはじめいくつかのエマージング市場で明らかである。しかし主要国における景気の回復はより速度が遅く、より長い道のりである」と慎重な見方を示した。
同時に予想比強いQ1GDP発表後においてもスワン財務相は「豪州経済はまだ危機を脱していない。世界的なリセッションの本格的な影響は今後も続く」と述べている。

事実Q1においては国内需要の減退から輸入が激減し、結果として純輸出(輸出から輸入を差し引いたもの)がGDPを2.2%ポイント押し上げたという見方まであるようだ。
したがって昨日の予想を上回るQ1GDPの結果も手放しでは喜べないということであろう。

それと同時に年初に比べて豪ドル米ドルは25%以上上昇しているが、豪ドル上昇による交易条件の悪化も今後の景気回復の足をひっぱる可能性は否定できず、外需を景気回復の牽引車にしたい政府筋の意向を汲んで、過度の豪ドル高に対しては当局の牽制が働く可能性も否定できない。

ところで世界経済の現状を如実に表すと言われる指標の一つに”バルチック海運指標(Balitic Dry Index)”がある。これはロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航不定期船の運賃指数で、同取引所が海運会社やブローカーなどから鉄鉱石、石炭、穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を聞き取り、結果を指数化するものであるが、2008年のピーク時には12,000pts近くの史上高値に達していた指数は、世界景気の後退から昨年末には1,000pts以下に下落していたが現在4,000pts近くまで回復しており、今後の世界景気の回復を示唆すると取る向きもある。かたや”このBDIの動きは単にW-SHAPEリカバリーの典型であり、4,000で頭打ちになる”、”中国の鉄鉱石輸入急増が原因のすべてであり、局地的なものである”という慎重な見方も付きまとう。

為替の相場観同様に、景気の行方に対しても楽観論、悲観論が明確に分かれて来るのは景気回復期における一つの特徴と言えよう。

 






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