4月の鉱工業生産動向を読む : かかし
先週は日米とも堅調でした。日経平均株価の上昇率は3.2%とダウ平均株価の2.7%を上回っています。
ダウ平均株価の伸び率を日経平均株価が上回る状況が2月中旬以降続いており、どうやら日米の株価乖離が恒常化しそうな気配です。
個人的には日経平均株価の短期的な調整リスク、つまりスピード調整がいつあってもおかしくないと思っています。そのリスクは常に念頭に置くとして、はたして基調はどうなのでしょう?
先週金曜日に発表された4月の鉱工業生産動向を通して、株式市場の方向性を見てみたいと思います。
まず、鉱工業生産の動向です。原指数の前年同月の水準を31.2%と大きく下回っています。とても底打ちを確信させるような力強さは見えません。
ところが、鉱工業出荷や在庫の動きを見ると、まったく異なった姿が浮かび上がってきます。
出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いたものを「在庫循環モメンタム」と呼ぶことは、これまで何度か説明させていただきました。
鉱工業の在庫循環モメンタムがかなり鮮明に底打ち、反騰の動きを見せ始めています。図をご覧いただければお解りのとおり、点線で示した在庫金額が大きく減少している中で、細い実線の示す出荷金額がようやく底打ちの気配を見せ始めました。そのため、赤い太線の示す在庫循環モメンタムが大きく反発したのです。
なぜこの指標を、株式市場の基調判断の重要な材料にするのか? 言うまでもないことですが、この指標と日経平均株価がほとんど同じ動きをしているからです。
そこで、ちょっと細かな話になって恐縮なのですが、在庫循環モメンタムを構成する要素について、それぞれの動きを追ってみましょう。太い青線は出荷数量の増減率の推移を示します。細い赤の実線は在庫数量の増減率です。そして、細く青い点線が産出価格、つまり出荷価格の推移です。最後に細く赤い点線が投入価格、すなわち原料調達価格の推移です。これらが、在庫循環モメンタムを構成しています。
このグラフから読み取れるのは、在庫数量の減少が続く中で、ようやく出荷数量にも底打ちの気配が見えだしたこと。そして、出荷価格の下落はつづいているものの、下落率はわずかに緩やかになりはじめる一方で、投入価格つまり原料購入価格は一段と下落しています。
とりわけ重要なのが、在庫数量に投入価格を掛け合わせて算出する在庫金額の動向であることは言うまでもありません。
このように、ひとつひとつの要因をチェックしていくと、在庫循環モメンタムの今後の方向性は上昇基調であって、下落基調ではないことが確認できます。
そして、この指標と日経平均株価との連動性を考えれば、株式市場の基調としての方向性は上昇であって下落ではないということになりそうです。。
鉱工業生産動向について、主要セクター別に多少詳しく分析したものを、昨日(5月31日)私のブログである「スケアクロウ投資経済研究所」http://kakashi490123.cocolog-nifty.com/blog/ に「鉱工業生産動向が6月相場の牽引役に?」というタイトルで掲載してあります。もしお時間があるようでしたら、合わせてご参照願えれば幸いです。
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