日本が蚊帳の外状態の金利債券市場:水谷
それにしても金曜日の米雇用統計以降の金利債券市場は凄いですね。金利をベースに見ている私としては久しぶりに面白い展開と思っています。
米国市場では、10年債が3.86%、2年債が大きく利回り上昇の1.30%です。2日前には1.42%でした。金利先物市場のユーロドル市場(金利3ヶ月物)では、12月限が98.76と再び売られる展開です。先の長い限月ほど売られる展開です。米債入札で応札倍率が良くて、海外投資家の需要が旺盛とのことですが、短期市場には熱気が冷めることはないようです。先物市場では12月限以降の限月が昨日は売り基調のようです。冷静さを取り戻している債券金利市場ですが、根っこの部分は変わらないと見ます。今年夏から秋にかけてインフレ懸念はないようですが、年末には利上げという大きなテーマが合唱されることでしょう。債券バブルが逆回転しています。以前米国市場は債券バブルということを紹介しました。そのポジションの返しがあると思います。現在はイールドカーブ(利回り曲線)がフラットニング(平坦になる。)の操作を債券・金利ディーラーは行っているようです。今年も良い年になると確信しているディーラーは多いと思います。
しかし金利高で住宅ローン金利の上昇は不動産市況の回復基調には冷水と思います。長期金利は当然住宅市況には逆風ですね。そもそもサブプライム問題がきっかけに金融危機そして景気後退をもたらしました。回復基調を前提に考えていたFRBとしても頭の痛い問題です。しかし、金利市場が走ってしまい、それを止める具体策はないと思います。米国債を大量に市場から買い入れ、資金放出するにしても限度があると思います。海外の投資家 特に中国、日本に大量に投資してもらう以外にないようです。市場心理が一旦走り始めたからそれを止めように止める術がない。短期金利は、低金利にしてしまった弊害が出てきます。日銀がゼロ金利していた時代の教訓があるのですが、その場合は利上げに踏み切らず、経済を疲弊させました。
今日はNHKで、中国がIMF債を500億ドル購入すると報道していたようです。ロシアも100億ドル規模とのことです。IMF債はSDR建てとのことで、中国がドル基軸通貨を阻止しようとの思惑が見え隠れします。そうなると米国再投資も一方方向には流れないようです。米国としては継続的、恒常的にドル資金を海外から流入するようなフローを作らないと米金利上昇に繋がります。
そして欧州通貨でも金曜日以来短期金利の上昇が顕著ですね。ドイツ連邦債(ブンズ)10年債が3.64%、英国債(ギルト)10年債が3.84%と米国10年債と変わらず上昇を続けています。そして短期金利が上昇してきました。特にユーロ金利Euriborが売り基調です。これは昨日紹介した通りです。ECBはインフレ懸念が当面なく今年中は政策金利1.00%維持を決め込んでいたところ、突然の金利ディーラーの謀反から、市況環境も変化の兆し。実体経済と金利市場が乖離した状態で相場が動いてゆくかもしれません。これは為替市場にとっては重要なヒントです。大西洋を挟んで金利差が拡大、縮小を繰り返すことになると期待しています。
それに比べて日本の債券・金利ディーラーは意気地がないように思われてなりません。10年債で1.50%が高い利回り水準とみなす感覚が理解できません。やはり欧米のように3~4%台の長期金利が普通の感覚を早く取り戻してほしいものです。長期金利の低水準は、国債増発にも財務省、政治家にも財政膨張の金利負担が少ないことから、危機意識が欠けているように思われてなりません。これも金利ボケの弊害と思います。
それでは。
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