« 午後の豪ドル円 | トップページ | 夕刻のNZドル円 »

2009年6月25日 (木)

OECDによる豪州経済見通し:津田

OECDは昨日『豪州経済の見通し』を発表した。その中でOECDは”世界経済の最悪期は、やがて収束する可能性があるが、豪州経済については、企業収益悪化と設備投資の落ち込みにより今年第一四半期のプラス成長は再びマイナス転する可能性がある”との見方を示した。

本年度の世界経済の成長率については3か月前の予想値-2.7%から-2.2%に上方修正し、また2010年についても+1.6%から+2.7%に大幅に上方修正している。

しかし豪州経済については、第一四半期の+0.4%(前期比)を維持するのは困難であり、第二四半期には再びマイナス成長になる可能性を示した。
今年通年では-0.4%、来年は+1.2%に拡大するとの予想。国内経済は脆弱であり、主なリスクファクターは企業収益の減少、民間の設備投資計画の後退、信用収縮の継続を挙げている。
外需の弱さの影響がGDPの足を引っ張る。また景気の低迷が失業率をかなり押し上げ、今年年末時点の失業率を7%、2010年第四四半期には7.9%に達すると予想。(5月の失業率はちなみに5.7%)
ただ、スワン財務相はこのOECD報告結果について「豪州が他国より少ない”債務と財政赤字”にサポートされOECD加盟国中、最強の経済パーフォーマンスを示していることを確認している」と述べた。

また、OECDは”成長を促進させようとする政府と、中央銀行の非常に例外的な景気拡大策が取られなかった場合には、より厳しい景気後退に見舞われていたであろう”と指摘し”RBAの金利引き下げと政府の景気刺激策は非常に景気拡大的であり、ここまで経済縮小をある程度阻止してきたが、今後更なる刺激策の継続が必要となるであろう”と述べている。

現在、市場はRBAによる更なる利下げに否定的で、来月のRBA理事会における利下げの可能性を読む向きは13%に過ぎず、来年度における金融引き締め転換予想も出始めている。しかし、OECDは現在のキャッシュレート3%がボトムという見方には懐疑的で「危機のインパクトを和らげるために、金融当局は景気拡大策を継続する必要があり、金融政策は更に緩和に向かう可能性がある」と指摘する。

豪州統計局(ABS)が発表した第一四半期の民間設備投資は-9%と大幅に落ち込んだが、この設備投資の落ち込みが成長に対するの主な障害となるとの見方。当地でもCoca Cola AmatilのマネージングダイレクターTerry Davisは7月1日期限の大企業の設備投資に対する税制優遇措置の延長を呼びかける。

政府の財政見通し対して2015-2016年度に黒字転換を目する政府のシナリオ(2010年度のGDP比マイナス5%から2017年には+1.4%に改善)をOECDは支持。

また外的要因としてOECDは国際金融市場の安定化傾向と、(これはRBAの見解と一致するが)中国をはじめとする新興国の景気回復基調が豪州に恩恵を与えつつあることを特記。OECDは今年の中国の成長率を7.75%、2010年は9.25%と見通す。ただしこれらのサポート要因については、依然として不透明感を伴うことも付記している。

世界経済の展望としては”3月以来リスク偏差はよりバランスしつつあり、破滅的な経済崩壊の可能性は後退しているとしている。後進国における景気の下降局面はもうすぐ終わり、戦後最大の景気後退の最悪状態は過ぎ去ろうとして”としながらも”しばらくは脆弱さが残り、また経済面、社会面における今回の危機のネガティブインパクトは今後も後を引く”と懸念も表明。

今回のOECDの経済見通しは今週、同じく見通しを発表し今年の世界経済の成長率を3月時点の-1.7%から-2.9%に下方修正した世界銀行の見通しとは逆に見通しをアップグレードしたが、同時に不透明感を指摘している点は、主要国の政策当局の見方と近いものがある。

津田


「Joeの豪ドル道場」FXマガジンにて毎週 月・水・金 執筆中
!


ご購読はこち らから



野村雅道と楽しい投資仲間達おすすめFX会社

|

« 午後の豪ドル円 | トップページ | 夕刻のNZドル円 »

2津田穣」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 午後の豪ドル円 | トップページ | 夕刻のNZドル円 »