豪州6月消費者信頼感の大幅改善:津田
豪州がリセッションを回避したことが消費者信頼感の大幅ジャンプアップに寄与した模様である。
WESTPAC-メルボルン研究所が10日発表した6月の消費者信頼感指数は+12.7%の100.1となり、調査を開始した1974年以来過去2番目の大きさで、22年ぶりの上昇率となった。指数そのものも16ヶ月ぶりの高水準となった。
直接の原因は先週発表された第1四半期GDPが小幅とは言えプラスを確保し2期連続マイナス成長のリセッションを回避したことにあるようだ。一方9日に発表された企業信頼感指数も12ポイント上昇してマイナス2となったが、建設、製造、卸売り部門で大幅な改善が見られていた。
今回の結果は年後半に豪州経済が回復に向かうとするRBAの見通しを裏付ける結果となっており、金融緩和政策の終焉が近いとの見方が更に増えるであろう。WESTPACのチーフエコノミスト ビル・エバンスは「これはすばらしい内容であり、RBAは景気に対する自信が確認されたとして、来月もRBAが金利を据え置く可能性が強くなった」と述べている。
消費者側からすれば昨年後半以来モーゲージ金利は3.85%低下しているし、加えて政府の給付金が140億ドル支給された上に更に50億ドルの上乗せが予定されている点も信頼感の上昇に繋がった。
また豪州株価が3月の底値から約26%回復していることも人々を勇気付けたようだ。
今回の指数の内訳を見ると1200人に調査した結果、向う1年の景気見通しに関する指数が37%の大幅上昇を示し、向う5年間の景気見通しも20.2%上昇した。一方今後1年間の家計見通しは11.1%上昇した。また貯蓄型よりも株式投資を好む投資家は3月時点の6.7%から今回は12.3%に増加した。
先週のプラスGDPに加えてこれらの強いセンチメント系指数の結果をもって、市場ではRBAは予想より早く引き締めに転じるとの見方が出ている。
背景には世界経済の回復速度が当初予想を上回り、米国FRBの引き締め転換も予想より早まるとの観測がある。
このFRBの動向に従いつつインフレの再燃を警戒し始めるRBAが1年以内に少なくとも0.5%利上げを行うと見るエコノミストが増えている。彼らの悲観論の論拠であった失業率の更なる大幅悪化が回避されるとの見方も出ている。
しかしいつぞや小職が「悲観論のエコノミストは早晩楽観論に鞍替えする」と指摘したが、何故にエコノミストは年初の総悲観論から、今度は楽観論に簡単に振れるのか??残念ながら修正論拠を明らかにするエコノミストはほとんどいない。
しかし同時にビル・エバンスのように警戒的な見方を変えないエコノミストも中にはいる。彼は「6月の信頼感の積極的な結果をもって景気回復と断言するのはまだ時期尚早であり、第1四半期のGDPは依然として脆弱であり国内消費は1%減と2000年第4四半期以来の弱い数字となっている」、「結局Q1は輸入が7%減少したことから純輸出が2.2%ポイントGDPに寄与した結果に過ぎない」と指摘する。またWESTPACは驚くことに今後第2四半期、第3四半期連続のマイナス成長を予想している!!(第2四半期GDP発表は9月)。労働市場の悪化も今後の景気減速の大きな要因としている。
5月の雇用統計は本日発表になるが(予想値:雇用者数-30千人、失業率5.7%、前月雇用者数+27.3千人、失業率5.4%)先月のようにサプライズな強い数字が出るか、あるには先月良かった分の反動が現れるか非常に注目される。
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