日経平均株価10,000円到達の意味を考える : かかし
先週の米国ダウ平均株価はわずか0.4%の上昇にとどまったのですが、日経平均は約3.8%上昇して、とうとう10,000円の大台を突破しました。終値ベースで3月10日の7,054.98円から見ると44%弱上がったことになります。
このブログでの最初の投稿は昨年12月1日。タイトルは「嵐の船出」。厳しい相場環境でした。その後「不況に負けない元気な株を探し出す」、「次の一手を考える」、「さらに一歩」「ちょっと一息」そして「匍匐前進」と書き進んできました。
そして、次にどのようなタイトルで話を進めようかと思案中なのですが、なかなかいいアイデアが浮かんできません。
そこで、今日は日経平均株価が44%近く上昇したことの意味を考えてみたいと思います。
実は、この程度の上昇率は個別銘柄では決して珍しいことではありません。
私事にわたることで恐縮なのですが、みずほ証券という証券会社で株式のストラテジストをしていた時のことです。
2003年4月から5月にかけて銀行株が安いと感じで思い切って買いました。仕事の制約から従業員持ち株を通じて買うことしかできなかったので、みずほ銀行株を買ったのです。 一株6万円近辺。4月の安値が5万8千3百円でした。
1年後に所用のため持ち株の半分を売りました。一株35万円。その月の高値は45万5千円でしたから、うまい売り方ではありませんでしたが、それなりに満足でした。
さらに1年後、残りの半分を売りました。1株50万円。その月の高値は51万6千円でしたから、ちょっと自慢でした。
しかし、その翌年には株価が102万円を付けたため、自慢は止めてしまいました。
個別銘柄はこのくらい動きます。現在も、すでに動きだしているように見えます。
でも、市場全体が44%も上昇するというのは、かなりすごいことです。現在対ドル円レートは98円。もし円の価値が44%下がると141円。こうなると、世の中がだいぶ変わって見えてきます。これに匹敵するような変化がわずか3か月の間に現実に起こったわけです。
そこで、株式市場の変化による影響を考えてみたいと思います。
考える材料は、1991年(平成3年)に経済企画庁が発表した年次経済報告。タイトルは「長期拡大の条件と国際社会における役割」となっています。そこでは、資産価格の変動と景気循環に焦点をあてて、資産価格の変動が実体経済に与える影響をかなり詳細に論じています。
バブルの崩壊で株価が急落していることの影響を分析しているのですが、要はその分析を「逆さ読み」しようというわけです。
まず、「富効果」。経済企画庁はケインズ、ピグー、モディリアーニなどの経済理論を用いながら、株式市場の10%の下落が消費を0.4%低下させると指摘しています。ということは、43%の株式市場の上昇は消費を1.7%増加させるインパクトを持つと考えてもよいかもしれません。
もっとも、ブラックマンデーの時のように短期的な変化であれば、消費への影響は限定的であることに注意し負ければなりません。
次に企業行動への影響です。株価の下落で、エクイティーファイナンスが中断し、借入需要が減少し、資金調達も困難になるとしています。ということは、エクイティーファイナンスの復活、借入需要の増加、資金調達の円滑化が視野に入ってくるかもしれません。
三つ目は投資行動です。経済企画庁はトービン効果を論拠に、株価の下落が設備投資の減少を引き起こすと述べています。であれば、株価の上昇が設備投資の増加を導く可能性があると言えそうです。
これらの効果が表れて、新聞や雑誌が書き立てるのは、まだ何か月も先になるのでしょうね。しかし、3か月前とは状況が大きく変わったということは間違いないと考えてもよさそうです。
ところで、本当の問題はこれからです。どうもこの10,000円台到達が終着点ではなさそうなのです。むしろ、もっと大きな変化の出発点にすぎないのかもしれません。さて、これから一体どうなるのでしょう? その予測は、これからのお楽しみということに・・・・・
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