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2009年5月28日 (木)

(豪州特集)空売り規制解除:津田

オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は25日の株式市場の取引開始とともに金融株の空売り規制を解除する旨通告した。ASICは昨年9月に欧米に追随して全株式の空売りを30日間禁止する措置を導入し、金融以外の株については11月に解除したが、金融株の空売り規制は今月31日まで延長していた。

ASICは声明で「市場の効率性と金融システムの潜在的なリスクのバランスを考慮した結果、空売り規制の解除が望ましいと考える」と述べた。しかしASICは「引き続き市場をモニターし、豪州の金融システムに害があると判断する時は、躊躇なく再導入する」と付け加えている。

この結果豪州の銀行と金融機関は再び”空売りに攻められやすい”という海外銀行と同列に戻ることになった。しかし、5月31日の期限を待たずに25日の、しかも市場オープンの1時間前の発表に市場は大分戸惑ったようだ。面白いのは(?)今回25日の市場オープン直前での発表であったために空売りのための株の借り入れが間に合わないトレーダーも多く、またロンドン、ニューヨーク市場の休日を狙ったために、両市場からの空売りもできなかった。また今回の規制解除に両市場は乗れなかったことになる。

この空売り規制は昨年9月の金融危機・信用危機の最悪期にグローバル・ヘッジファンドが投資家の不安心理をあおり、金融市場を混乱させる行動に歯止めをかけるために導入された。

そもそも株の空売りとは証券会社から株を借りて売却し、その株価が下がった時点で買い戻すことにより利益を確定させる投資方法であるが、金融危機時に銀行株価急落や金融市場不安定化の元凶として非難された。
空売り規制は当時世界中で導入されたが、豪州の規制はより広範囲にわたっていた。英国、米国、欧州諸国ではこの規制の適用は銀行並びに金融機関に限定されたが、一方豪州では9月21日から11月19日まですべての株式取引に適用され、11月19日以降も金融機関に限定して規制が今まで継続されたのである。
米国やカナダが10月に規制を解除し、英国は今年1月に解除に踏み切ったのとは非常に対照的である。

この金融機関への空売り規制が実施された6カ月間を見てみると、S&P/ASX 200 Financials Indexはfinancialsを抜かしたS&P/ASX200 Industriesより10%程度上昇している。

しかし25日の解除日には予想されたことであるが、工業株、エネルギー株、鉱山株が上昇したにもかかわらず、金融株が大幅下落した。WESTPACは3.6%ダウン、NABは2.6%、マッコーリー銀行は同セクター中最大の6.5%下落した。ただ、ASICが解除日を前倒ししたことにより、多くのトレーダーは株式借入契約や担保の差し入れが間に合わず、空売りができず、一部予想ほどは大きな下落率とはならなかった。昨年の市場センチメントが今日よりかなり悪かったことにもよるが、カナダでは銀行株が4%、英国ではなんと37%が、米国では15%の下落を示した。

昨年導入された新ルールによると、トレーダーは空売りする前に株式を借り入れなければならず、そのために金額が規制されまた株式借入契約書を作成しなければならない。この契約では通常、借入株価の105%の担保が要求されることになる。まさに空売りの明細開示が要求される訳で当局規制が強まったと理解すべきであろう。

またその禁止期間中に金融機関における資本構成の変化や増強策が取られたことも見逃せない。豪州でも規制で守られた金融機関(WestfieldやWestfarmersなどの大手不動産信託を含む)では禁止期間中に総計44.8bioの資本増強が行われた。

今回の空売り規制解除は空売りや株式貸出に係わる業者にとっては無論ウエルカムであるが、一方借り株を確保しない信用取引が禁止されていることや、ASICが必要と認めればいつでも空売り規制を再導入できることなどから、従来のような熱狂的な空売りが起こる可能性が減少したと感じているトレーダーは多いはずである。

今回の空売り規制の導入経緯を見ても豪州の金融当局は欧米諸国よりも、コンサーバティブな印象を受ける。


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