匍匐前進(その3) : かかし
先週は調整でした。日経平均株価は約1.8%、ダウ平均株価も約3.6%下落しました。果たして、この調整局面は長引いて、大幅な株価下落になる可能性があるのか?気になるところですね。
結論から言えば、調整は多少長引く可能性がありますが、それは次の上昇のために不可避なプロセスであって、構造的悲観論は避けるべきだということです。私は現在のスタンスを「前進」ではなく「匍匐(ほふく)前進」としているのですが、なぜ「匍匐」なのかというと、このような調整局面が想定の中にあるからなのです。
まず、先週の調整について考えます。これは、先々週の大幅な株価上昇の反動という要素が大きいと思います。日経平均株価は5%強、ダウ平均株価は4.4%も上昇したのです。加えて、3月上旬の底値から日経平均株価で31%、ダウ平均株価で26%も高い水準にあるわけですから、この程度の調整はあって当然という感じです。
ただし、おそらく調整はこれで終了というわけには行かないでしょう。しばらく続く可能性が高いと考えます。
その最大の理由は、日本の株式市場が上昇の拠り所としてきた米国市場が調整局面の可能性が高いことです。ストレステストという大きなテーマが織り込まれてしまったあと、それを引き継ぐ大きなテーマが見えないのです。CNNは投資運用会社スティフェル・ニコラス社のトム・シュレーダー氏の「私たちは次のカタリスト(触媒=市場牽引役)を待ち望んでいる」という言葉を引用して市場動向を解説していますが、まさにそのとおりです。
2つ目の理由は、日本独自に株式市場をリードするテーマが見当たらないことです。しかも、日本株の上昇率が米国株を上回ってきた結果、日米の株価乖離幅が大きく拡大してしまったことです。
3つ目は、豚インフルエンザ。それ自体は弱毒性とはいっても、2次感染のため、学校の休校、イベントの中止、外出の手控えなどが、当然消費動向に影響を及ぼしますし、株式市場のセンチメントを重苦しいものにする可能性が高いと考えられます。
最後に、5月20日の朝発表される第1四半期のGDPの1次速報値です。
他にも理由はあるのですが、いずれにせよ調整を念頭において株式市場に臨みたいと考えています。
ただし、この調整が中期的な上昇局面において必然的に生じるものであって、構造的な悲観論は避けるべきだということを頭に入れておくことが必要です。なぜ中期的な上昇局面と言えるのかという点については、すでに在庫循環モメンタムという指標をつかって説明させていただいたとおりです。
「匍匐」の姿勢を忘れないよう心がけています。
ところで、話は変わるのですが、私(「かかし」)がCDを作りました。といっても歌を歌うわけではありません。タイトルは「景気循環で株式を読むCD」。日本経営合理化協会から出ます。
景気サイクルと株価の関係を基本的な視点として、歴史的な転換点にある日本経済と株式市場の現状と今後を、思い切って分析してみました。
詳細については、お手数ですがこちらでご確認ください。http://www.jmca.jp/prod/1002/1033/
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