案内図をチェックする時です:竜河
3月上旬のボトムから、日米主要株価指数はそれぞれ37%、34%ほど反発してきました。無論、その間、ファンダメンタルズの改善が見られ、エコノミスト達の論調もポジティブなものになってきました([アブダビ 25日 ロイター] ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン氏は25日、世界経済は絶対的な大惨事を回避したと指摘するとともに、先進諸国の経済成長率が年内にプラスに転じるとの見通しを示しました)。
他方、チャートを見ると、日米株がともに行き詰まりを見せています。今日の日経夕刊に、期間の違い移動平均線の組み合わせから見ると、日経平均がこれまでの上昇を維持できるかどうかの正念場に差し掛かっているとの分析を載っていますが、米株価についても同じことが言えます。
下のチャートはS&P500種の動きですが、日経平均と同じように、反発してきた株価の勢いが下がってくる200日移動平均の手前で衰え、頭が押さえられています。このチャートは、また、今月初め頃の戻り高値である930ポイントは年初の高値である944ポイントに迫っていたことを示しています。言い換えれば、S&P500種が近いうちに944ポイントを超えて上昇していかないと、年初の高値と今月の高値がダブル天井を形成し、これからずるずる下がっていく可能性が大きくなります。
株価と同じように、原油のチャートもここが正念場と示唆しています。というのは、今、原油価格が昨年11月中旬以来の価格上限に張り付き、一旦、62ドルを突破すると、青天井となり、原油高が再び世界経済の足枷になる可能性が出てきます。
原油価格が高止まりしている背景には、景気鈍化ペースのスローダウンとともに、ドルじり安傾向は挙げられます。ドルの先安観が払拭できなければ長期国債が敬遠され、長期金利は上昇しやすい。
今の米国にとって、長期金利が上昇してしまうことは厄介な出来事です。長期金利が上昇すると、企業は資金調達難に陥り、住宅が売れなくなり、金融機関の評価損が膨らみ、経済が圧迫されていきます。
このように、米国経済にとって長期金利を低く抑えることは非常に大事ですが、事実としては、長期金利が年初の2.461%から現在の3.47%へ1%超も上昇しました。長期金利上昇の悪影響はこれから徐々に出てくると思われます。
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